「なぜ言葉は消えたの?」悩む私に校長先生が告げた驚きの一言

ライター:シアン
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二男の言葉が消えてしまったのは、2歳の時。肺炎で入院し、3日後に退院した時には、言葉が全て消えていました。
「どうしたら、言葉が戻るでしょうか?」心配し、問いかけた私に、校長先生がおっしゃったひと言とは…。
お子さんの言葉がでないと悩んでいるご両親に、是非、お伝えしたい話です。

おしゃべりな息子から言葉が消えた

息子は、生後からとても愛嬌があり、いつもにこにこと笑っている子どもでした。
3人目の子どもは可愛いよ!と、聞いていましたが、まさにその通り。可愛くて、可愛くてたまりませんでした。

ある時、微熱と咳が出ていたので、念のため診てもらおうと、知人に聞いた総合病院に軽い気持ちで出かけて行きました。

診察を受けると、「肺炎になっています」と告げられ、入院を勧められました。当時、息子は甘いシロップの薬が苦手で、オレンジジュースに混ぜたりして飲ませるのに苦労をしていました。そのことを医師に話すと、「薬を飲まないのなら、なおさら入院でしょう」と、強く言われ、結局医師の指示に従うことになったのでした。

息子は2歳半なので、付き添いたいとお願いしましたが、「完全看護なので付き添いは出来ません。面会時間が過ぎたら、すぐに帰ってください」と冷たく言われてしまいました。私は、仕方なく、「明日また来るからね。」と息子に告げて帰宅したのでした。

その夜、息子は初めて私たちと離れて、ひとりぼっちになったのでした。

翌日、面会に行くと、息子はベッドに横たわっていました。生気が無く、私を見てもにこりともしない息子に、驚きました。とても憔悴しているように見えました。

薬を飲んだのかを看護師に尋ねると、「嫌がって暴れるので、みんなで押さえつけて飲ませました。」とのこと。詳しく聞くと、「身体をベッドに縛り付けて動けないようにして、看護師が馬乗りになって飲ませました。」と説明を受けました。どうやら、両手足を縛られたようでした。

私は驚きました。「薬を飲ませるために、たった2歳の子どもに、そこまでするのか…それがこの病院のやり方なのか」抵抗する子どもには、大人が力づくでも無理やりにでもしないといけないのですよと、言われたのでした。

息子は、抵抗し続けて、疲れ切っていました。気力も無く、放心状態でした。あんなに愛想よく、にこにこと笑う息子が、たった一晩でこんなにも変わるものなのだろうか…私は信じられない気持ちでした。

入院は3日間でした。息子の変貌ぶりに驚きましたが、家に帰れば、また元気な息子になるだろうと、私は軽く考えていました。

ところが、退院しても息子は笑いませんでした。笑うどころか、私が近づくと、怯えるような態度を見せたのです。

そして、もっと驚いたのは、息子の言葉が、全部消えてしまった事でした。
兄姉の中でも一番おしゃべりだったのに、家族が近づくだけでも大声をあげて拒否をするようになってしまい、日常生活にも支障が出始めたのでした。 

なぜ言葉が消えてしまったのだろう…

息子のあまりの変化に驚いた私は、保健所の育児相談に行きました。
そこで療育センターを紹介され、初めて医師の診察を受けました。

医師は、息子の顔も様子も見る事もなく私が記入した問診票だけに目を通し、「全般的発達障害+精神遅滞です。」と静かに告げたのでした。

まだ一言も話しもしていないのに、そう言われた私は驚き、すぐさま、医師に息子が入院してから起きた変化について、夢中で話をしました。けれども、医師は、「普通の子どもなら、そういう事があっても、変化はありません!」と答えるのです。

「では、なぜ、こんな変化が起きたのでしょうか?」私の問いに、医師は「脳の器質的な障害です。先天的なものです。」と説明をしたのでした。

私は、納得できず、すぐに受け入れることが出来ませんでした。

その後、療育センターに1年半通い、特別支援学校の幼稚部に在籍することになりました。言葉は相変わらず消えたままです。ある時、校長先生に思い切って聞いてみました。

「言葉が消えてしまったのは、なぜでしょうか。どうして、言葉を話さなくなってしまったのでしょうか。」

すると、校長先生は、思いもよらない一言を仰ったのでした。
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私をハッとさせた一言

「言葉は、必要ですか?」

校長先生のお言葉に、私は、耳を疑いました。そんな私に、校長先生は 続けて仰いました。

「私たちは言葉がなくても、(子どもたちの気持ちは)分かりますよ。」

私は、本当に驚いてしまいました。思いがけないお言葉に、ただ呆然と立ち尽くしてしまったのでした。
なんという事でしょう!言葉はなくても良い、必要のないものだなんて…。

衝撃でした。自分がいかに言葉だけにとらわれていたのかに気づき、ハッとしました。

思い返すとその数年間は、言葉、言葉!と息子に言葉が戻る事ばかりを考えて過ごしていたのです。

「一体、自分は何をやっていたのだろう。息子を追い詰めていただけなのかもしれない…。」

そう気づきました。
言葉はいらない、言葉はなくても息子の気持ちを大事にすれば良い。たとえ、一生言葉が出なくても私たちが息子の気持ちを分かれば、それでいい。そう思ったのです。

その日から、私は息子に言葉を求めることをやめ、いつの間にか言葉の事など忘れて過ごしておりました。

すると、どうでしょう。あれほど言葉が出なかった息子の口から、溢れるように言葉が出てきたのでした。
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