ADHD(注意欠如多動症)は男女で発現率が違う?

男女の違いによって、かかりやすい病気の違いや発症率の差があるようにADHD(注意欠如多動症)も男女によって発現率の違いがみられます。男女による違いは男:女の比率は4:1とされています。この比率の差は脳の働きや仕組みが男女によって異なるからではないかと推測されています。

また、性別によって症状にも違いがあります。男の子は多動の症状が多く見られており、女の子は不注意の症状が多く見られています。この症状の差から女の子の場合、ADHD(注意欠如多動症)の症状が分かりづらいため、見逃されてしまうことも少なくありません。そのため、この4:1という男女の比率の差は実際はもう少し小さいのではないかとも言われています。

ADHD(注意欠如多動症)であることが診断される年齢が男の子は8歳前後、女の子が12歳前後と差があります。この診断年齢の差も、女の子の場合は発達障害であることに気づくことが遅れやすいことに関係があるとされています。

ADHD(注意欠如多動症)を検査する方法はあるの?

妊娠中に病気や障害を知るための検査として超音波検査・NIPT・絨毛検査・NT超音波検査・母体血清マーカー・羊水検査・新出生前診断・胎児ドッグなど様々な出産前診断があります。出産前診断は近年めざましい発達をしていますが、出生前にADHD(注意欠如多動症)の可能性を知るための検査は現在ではまだありません。

ADHD(注意欠如多動症)は脳の働きや神経伝達物質の働きが原因であると言われていますが、身体に特徴的なものもなく、出生後にも生理学的な検査だけではADHD(注意欠如多動症)の診断はできません。

現在は、アメリカ精神医学会で定められている判断基準である『DSM-5-TR』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版・改訂版)を用いて診断がなされます。本人への面談や問診、行動評価、知能・発達・神経学的検査などから、ADHD(注意欠如多動症)かどうかが総合的に診断されています。
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ADHD(注意欠如多動症)の特徴は?何歳ごろ診断される?【専門家監修】

ADHDの原因はまだ解明されていない

ADHD(注意欠如多動症)は古くから症状としてはありましたが、障害として認識されてはいませんでした。ADHD(注意欠如多動症)という障害として研究され認識されるようになってまだそれほど時間がたっていません。脳の前頭前野周辺である脳の前側の部分の働きのかたよりや神経伝達物質の働きの低下など研究が進められてはいますが、ADHD(注意欠如多動症)の発現の原因はまだはっきりとは解明されていません。

しかし少なくとも、以前によく言われたような、育て方やしつけ、愛情不足などが原因ではないことは判明しています。ADHD(注意欠如多動症)の症状が原因で子どもが問題行動やトラブルを引き起こしてしまうことが多くあり、周りから親のしつけ不足や愛情が足りていないせいだとか、育て方が悪いと言われることもあります。中には子どものADHD(注意欠如多動症)の症状をみて、自らに責任を感じてしまうご両親もいるとは思いますが、育て方や単純な遺伝が原因ではないということを知っておきましょう。また周りの人々も育て方やしつけが原因ではないということを理解し、パパ・ママや子ども本人のサポートをしましょう。

ADHD(注意欠如多動症)は特性のひとつです。その子にあった環境を整えたり、接し方を工夫することで、逆にその特性を強みとして活かすことができます。ADHD(注意欠如多動症)の人の行動力や自由な発想、興味のあることををつきつめる集中力は目を見張るものがあります。その子らしく生きられるように、子どもがのびのびと育つことができる環境を、周りが整えられるように心がけましょう。
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