2度の転校から学んだ、引っ越しを「成長の転機」にする工夫とは?

ライター:SONO
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NPO法人HAHATO.CO盛岡支部代表SONOです。転勤などで引っ越しとなると、通勤時間と住環境を優先してしまいがちではないですか? すると、学区の学校に子どもたちは自動的に通学することになります。一度住所が決まってからの越境や更なる引っ越しは、とてもエネルギーの要ることですよ。我が家の体験から、引っ越しと学校選びについて書いてみたいと思います。

我が家の引っ越しと転校

我が家は主人の転勤による引っ越しが多く、子どもたちは2度の転校を経験しました。人見知り・場所見知りが激しく変化に抵抗のある子どもたちには、転校は一大事。そこで行った工夫をみなさんにお伝えしたいと思います。

一度目の転校は…

小さい頃何度か引っ越しを経験してましたが、3歳から10歳になろうという時まで、約7年間も関東で過ごした息子。
友だちもでき、学校生活も徐々に慣れてきていた時期だったこともあり、京都への引っ越しを伝えると大荒れに荒れました。

「オレのせいじゃないのに、なんでオレがこんな目にあわないといけないんだ!」

引っ越した京都には息子の好きな自然もありました。学校も大きすぎず落ち着いており、クラスの子どもたちも暖かく迎えてくれました。

しかし息子は、何とか教室に入れても、席にはつけず、給食も食べられず…といった状況に陥りました。
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担任の先生は息子に無理強いをせず、加配の先生も丁寧に相手をしてくれました。

それでも毎朝登校までに時間がかかったり、たどり着いても教室の隅に座り込んでいたりとなかなか馴染めない様子に、担任の先生から勧められて、通級と児童相談所通いがスタートしました。

元々マイナス思考な息子は、前の学校では当たり前だった、学校に通うことや集団活動に参加することができなくなってしまった自分に大ショック。

できていたことができない。できるはずのことができない。

クラスの子たちも先生方も親切にしてくれましたが、息子は「何が分からないのかも分からない」ので、つまづく度に本人にも先生にも「前の学校との違いは何なのか、どうすれば抵抗が少ないのか」を伝えました。

その地域やその学校では当たり前となっていることが、息子にとっては知らないこと・初めてのこと。

息子には分からないかもしれない・難しいかもしれないのだと、想像を働かせてもらわなければならないので、理解してもらうには、なかなか時間がかかりました。

多くの方の協力により少しずつ学校に慣れていった息子ですが、その後クラス替えによってまた状況は振り出しに戻ってしまいます。

それ以降、5年生から中学校1年生の1学期までの間は、教室を変えても何をしても給食が全く食べられず昼食抜きの日々、体操服にも着替えられず小学生の間は私服、中学生になってからは制服の下に体操服を着ることでしのぎました。

どんなことで、なぜつまづくの?

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転校は子どもにとって大きなストレスです。

地域や学校によって、「当たり前」とされていることが大きく違っているのですが、保護者も先生も、どのような変化があり、どれくらいのことを克服していかなければならないのかという具体的な課題とそのストレスを、あまり重く見ていないように思います。

私も実際、息子がつまづくことで気付いたことが多いです。
1度目の転校で息子がつまづいた点は次のとおりです。

前の学校は校舎の入口が一つで、全学年の靴箱が並んでいたが、新しい学校は学年ごとの校舎や靴箱に変わり、履き替え方が分からない。

前の学校は壁のない教室だったが、新しい学校は壁やドアのある教室で、ドアを開けなければならず入りづらい。

・給食に出てくるメニューに見たことのないものが多く、食べられない。

・体操服が変わり、体育の授業での着替え方も違っていて、どう着替えていいか分からない。

・移動する授業で、どこに移動したらいいか分からない。

・「リュック」→「ナップザック」など、モノの呼び方が違っていて分からない。

教科書が変わって、習う順番も違っているので、みんなが覚えていることが分からない。

・図工で「コンテ」を持ってくるよう言われたが、どんなものか分からない。買っても使い方を知らない

・話されていることが方言だったり訛りがあったりで、よく分からない。

周りの子の見様見真似で乗り切ることのできる子でも、このような違いに自ら気づき質問することができたり、周りの友だちや先生が「当たり前と思わずに」教えてくれなければ、新しい環境に対応できないでしょう。

発達凸凹っ子がすんなり対応できるかどうかは、言う必要もありませんね。

二度目の転校…の前に一工夫

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一度目の転校は、良い先生方に恵まれ、通級教室の親の会の方々にも助けていただき、食べる・着替える以外のことには徐々に対応できるようになり救われました。「少しでも馴染める環境を」と配慮していただき、運と縁に恵まれたと思います。

次なる夫の勤務先が決まったのは、息子が小学校卒業、娘が卒園を間近に控えた時です。どちらも入学という時期ですので、いずれにせよ環境の変わる今が転校のチャンスだと、夫や親戚の人たちは言いました。

しかし実際は、入学先の学校と何度も面談をしたり、本人も見学や体験に行ったりなど、環境の変化に対応する準備をいくつも積み重ねる必要がありました。

一度目の転校で、住まいや学校の違いによるストレスが大きいことを学んだ私は、あまりにも急な転勤に、「転校までの移行期間」を設けました。

「転校しても良い」と子どもたち2人が思え、共に良い転校先が見つかることを目的に、すぐには転校せず少し時間を設けたのです。
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夫には単身赴任を体験してもらい、子どもたちはゴールデンウィークに父親の元へ遊びに行きました。

「引越す場所を見に行く」のではなく「父親の住んでいるところへ遊びに行く」というのは、抵抗なく楽しめた様子です。

短期間の滞在でしたが、見知らぬ町が「行ったことのある町」になりました。父親のワンルームマンションでぎゅうぎゅう詰めの不便さも、楽しい思い出となったようです。

その後、子どもたちは「引越してもいい」と言うようになりました。

そこから本格的な就学相談をスタート。既に父親が住んでいることもあり、仕事の合間に様子を見たり相談に出向いたりもお願いしました。
次ページ「そしていよいよ転校。子どもたちは…?」

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