作業療法士の仕事や資格について、発達障害の人にOT・作業療法士が行う支援について紹介【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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作業療法士とは、人々の個性や症状を考慮しながら、その人らしくいきいきと生活していけるように、からだとこころのサポートをしてくれる存在です。発達障害がある方にも、様々な困りごとを理解してぴったりの解決法を見つけてくれるとても心強い味方です。人々の生活に欠かせない作業療法士の資格・お仕事、発達障害への支援方法・体験談についてまとめました。

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監修: 高畑脩平
藍野大学 医療保健学部 作業療法学科 講師
NPO法人はびりす 理事
作業療法士。NPO法人はびりす理事。専門は読み書き障害の子どもへの支援。著書に「子ども理解からはじめる感覚統合遊び 保育者と作業療法士のコラボレーション (クリエイツかもがわ)」ほか。
目次

作業療法士(OT)とは?

作業療法士(OT)とはOccupational-Therapistの略で、看護師、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)などとともに活躍するコ・メディカルスタッフの一員です。

作業療法士は、理学療法及び作業療法士法が制定された翌年の1966年に、国家資格として認可されました。主に作業を通じた人々の身体機能回復・獲得に加えて、学校や職場、地域活動といった社会参加のサポートや、いきいきと生活していくための精神面のサポートまで行う役割を担っています。

作業とは、工芸、手芸、園芸、絵画、おもちゃの操作などの手作業から、食事や入浴などの日常生活にかかわる作業まで、すべての活動のことを指します。

作業療法士は様々な機関で活動しているため、人生のあらゆるステージでかかわる可能性があります。特に発達障害に関しても、療育施設で作業療法士の作業療法を受ける人も多く、生活面の機能の発達をうながしてくれる心強いスタッフです。
理学療法士及び作業療法士法|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80038000&dataType=0&pageNo=1

作業療法士の役割

作業療法士の役割は、人々の基本動作能力、応用的動作能力、社会適応能力を維持・改善し、仕事、趣味、遊びなど元気な日常生活を送ってもらうための支援をすることです。

基本動作能力とは、食事やトイレ、家事など、日常で必要となる活動をする能力のことを言います。また、応用的動作能力とは、より高度な運動や感覚・知覚、認知・精神などの心身機能のことを指します。

一方社会適応能力とは、基本動作能力や応用的動作能力などの心身機能と違い、対人関係を構築し、社会性を身につける能力です。主に、地域活動への参加、就労、就学などが挙げられます。

これらの能力を維持・改善するために「日常生活活動(ADL: Activities of Daily Living)」の治療や援助を行うことはもちろん、工芸、手芸、園芸、絵画、おもちゃの操作などを通して、人々が社会に適応できるように支援します。

作業療法士と理学療法士の違い

作業療法士とよく混同されやすいものに理学療法士というものがあります。両者とも国家資格をもつ専門家ですが、どのような違いがあるのでしょうか?

理学療法士は、からだの基本的な機能回復・獲得をサポートします。基本的な機能回復とは、寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基礎となる動作の改善のことを言います。

例えば患者が脚を骨折したとき、理学療法士は運動療法や物理療法などを用いて、その部分を曲げたり、伸ばしたりできるよう、身体の基礎的機能の回復をサポートします。

一方作業療法士はまず、その人がどのような生活をしたいのかを考え、障害のない日常生活を送るために必要な機能回復・獲得を考えます。その上で、着替える、入浴をする、散歩するなどの作業を通して脚の機能回復を支援します。

作業療法士になるには?どんな人が向いているの?

作業療法士になるために必要な教育・資格

作業療法士になるためには、毎年1回行われる国家試験を受験し、国家資格を取得する必要があります。試験の合格率は例年約80%であり、2015年実施の試験の合格率は77.5%でした。

受験には高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設で3年以上学ぶことが必須です。

養成施設として、4年制の大学、3年制の短大、3年制または4年制の専門学校があり、講義と実習を通じて学んでいきます。習得する内容は、解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床心理学、リハビリテーション医学など多岐にわたります。

作業療法士に向いている人は?

作業療法士には主に2つの適性が求められます。

1.コミュニケーション能力: 面談を通じて患者の心身の状態や気持ちをしっかりと把握し、最適なプログラムを考えるためにコミュニケーション能力が必要です。特に、相手の話をしっかりと聞き、ちょっとした反応から相手の感情を読み取ることが求められます。

2.温厚な人柄: 作業療法を行う上で大切なのは、患者に安心してもらい心を開いてもらうことです。そのためには常に温厚な気持ちで患者に寄り添う姿勢が求められます。
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DCD(発達性協調運動症)とは?具体的な特徴や対応法/専門家監修

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