うつ病の症状や原因、単なる気分の落ち込みとうつ病の違いや、発達障害との関わりについてまとめました

ライター:発達障害のキホン
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うつ病とは気持ちが落ち込み、その感情を抑えることができずいつも通りの生活を送ることができなくなる精神疾患です。日本では約15人に1人がうつ病を経験したことがあるとも言われています。発達障害とも深いかかわりのあるうつ病について詳しく説明します。

目次

うつ病(大うつ病性障害)とは?

うつ病とは、繰り返し気分が落ち込んだり、意欲がなくなることが特徴の精神疾患です。これらの症状がただの気分の落ち込みではなく病的なうつ状態であることを意味しています。

人間は誰しも、身の回りで起きる出来事によって気分の落ち込みを感じたり、やる気がなくなってしまったりすることがあります。しかし何もないのに気分が落ち込み、感情を自分自身でコントロールできないときはうつ病を発症している場合があります。

軽症を含めると日本の人口のうちの15人に1人がうつ病を発症したことがあると考えられており、現代社会では珍しい疾患ではありません。しかしながら、うつ病は自然治癒が難しく、治療が必要な障害という認識が重要となります。

うつ病は、2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)の診断基準においては、双極性障害(双極症)とはっきり区別するため、大うつ病性障害という診断名に分類されています。本記事では、一般に普及しているうつ病という表記で説明していきます。

※双極性障害は現在、「双極症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「双極性障害」といわれることが多くあるため、ここでは「双極性障害(双極症)」と表記します。

うつ病の症状

うつ病の症状には精神症状と身体症状に大きく分けられます。それぞれ代表的なものを中心に紹介します。

精神症状

持続的な抑うつ気分
うつ病の代表的な症状です。症状として、気分がひどく落ち込む、憂うつ、ひどく不安になる、落ち着かない、イライラするなどの抑うつ気分が持続的に生じます。

症状の多くは朝方が最もひどく、夕方になると少し良くなるという傾向があります。症状が進むにつれて、罪悪感などを感じ自分を責めてしまうようになり、悪化すると自殺願望を起こしてしまう場合もあります。

意欲の低下
何事にもやる気をなくしてしまいひきこもりがちになったり、趣味などに対してこれまでと同じような興味がもてなくなります。意欲の低下が進行すると日常生活に支障が出るようになり、外出や家族以外の交流をしなくなる傾向があります。

思考・行動の抑制・抑止
物事に集中することができなくなり、注意力・判断力が低下し、決断したり行動したりすることが難しくなります。
これにより、

・感情の動きが小さくなる
・自己評価の低下
・自分を責めてしまう
・不安・焦燥感
・妄想
・自殺願望

などの症状が現れやすくなります。

身体症状

全身のだるさ・疲れやすさ:
激しい運動をしていないのに、全身がだるく感じられ、疲れやすくなります。この疲労感は休憩しても回復せず、慢性化することが特徴です。

睡眠障害:
うつ病のほとんどの人が睡眠障害になります。代表的な症状としては、不眠(眠ってもすぐに目が覚めるなど)が全体の8割、過眠(眠っても眠り足りない)が2割を占めます。特に、いつもより早く目が覚める人が多いようです。

食欲低下とそれに伴う体重低下:
食欲低下もほとんどのうつ病がある人が経験します。味覚が分からなくなることで、食事の楽しさを感じることができなくなるなどの症状を発症します。食欲低下に伴い、人によっては体重が大幅に減少することがあります。
また、うつ病の症状は人により大きく異なります。長期間気持ちの落ち込みが続き、日常生活に支障をきたす場合は、一度うつ病の可能性を考えてみましょう。そして、うつ病かもしれないと思った場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
体の不調はうつ病でも現れます。かかりつけ医へ相談してみましょう。|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-07-004.html

ライフステージごとのうつ病

学童期(6~12歳):
子どもがうつ病を抱えてしまう可能性は低いですが、まれに発症する場合があります。学童期のうつ病では頭痛や腹痛、吐き気・嘔吐、チック症、おねしょが特徴となります。また、ひねくれたり、反抗的な態度を起こしてしまったりする問題行動が現れることもあります。
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思春期・青年期(11~20歳):
思春期や青年期は精神的な葛藤を抱えやすく、うつ病の症状も成人とあまり変わりません。身体とこころの成長バランスが崩れやすいので、突然の発症・症状の進行が一気に進むことがたまにあります。

また、登校拒否やひきこもりの状態、アルコールや薬物に手を出してしまうなどの問題行動を起こすこともあります。

青年期・壮年期(21~64歳):
青年期・壮年期は、仕事や人間関係、夫婦・親子関係など、生活のあらゆる場面でプレッシャーを感じやすいため、比較的うつ病にかかりやすくなる時期です。そうした背景もあり、うつ病の平均発症年齢は20歳台となっています。

またホルモンバランスの崩れにより、更年期障害の症状としてうつを発症することもあります。女性の場合は、女性ホルモンの増加、妊娠、出産をはじめとする女性特有のうつ病があります。

老年期:
老年期になると、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、アルツハイマー病などの疾患からうつ病を合併することが多くあります。その他にも退職や家族・友人との死別などの喪失体験から来る精神的ストレスも、発症の原因となります。

老年期のうつ病は、身体の不調などの身体症状が前面に出ることが特徴ですが、妄想などがみられることもあります。
次ページ「発達障害の二次障害としてのうつ病」

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