子どもの障害を周囲に伝えるとき…3つの事例から見えてくるもの

ライター:OKASURFER
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子どもの障害の「カミングアウト」は親にとって1つの課題かもしれません。どのように伝えればいいの?タイミングは?誰から伝えればいい?今回は、私自身が経験した3つの場面でのカミングアウト経験をお話します。

やっぱり知りたい!よそのおウチのカミングアウト事情

周囲に子どもの障害を知ってほしいとき、伝えなくてはいけなくなったとき、みなさんはどんな風に告知していますか?

今回は我が家の3つの事例を振り返りながら、障害のカミングアウトの在り方について考えてみました。

最初にお伝えしておくと、長男は広汎性発達障害の診断が下りています。次男は発達が緩やかで、診断は出ていませんが、「先の見通しのつかないこと」への恐怖感が強い特性があります。

1回目 夫婦で綿密な計画の上、慎重にカミングアウト

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私が最初にカミングアウトをしたのは、長男の幼稚園の保護者会での集まりです。

長男は当時、他のお子さんのように指示に従ったり椅子に座ったりが難しい状況でした。

幸いお友達も保護者のみなさんも、とても温かく優しかったので、息子をいじめたり叱責する人は1人もいませんでしたが、だからこそ、様々な理由でパニックを起こし暴れる息子が、みんなに迷惑をかけていないか?と、常にとても心配していました。

そんな我が子のことを周りに知ってもらい、できない部分を認めてもらうため、勝手だとは思いつつもある種の「免罪符として」、私はクラスにカミングアウトをすることに決めたのです。

そして当時の担任の先生に何度か相談し、「保護者会の日に伝えよう」ということになりました。
当日は何を話そうか、主人と何度も相談を重ねました。

いよいよ訪れた保護者会の日。伝えたことは以下のような内容でした。

・障害があること、障害名、どのような障害なのか
・聴覚に過敏さがあり、イヤーマフを使っていること
・障害によってご迷惑をおかけすることがあること、ご迷惑をおかけしたら遠慮なく教えてほしいこと
・パニックで暴れているときは、危険が無いかだけ見て頂き、後は構わないでOK

保護者の皆さんは私が想像していたよりもさらに温かい雰囲気で、私の話を聞いて下さり、中には涙しながら私の思いに共感してくださる方もいらっしゃいました。

その後、それまでよりも更に長男のことを理解し、応援してくださる方が増えたのです。

このときは、クラスメイトや保護者の皆さんの人柄を信じたことが、カミングアウトの成功に繋がったのだと思います。

2回目 保護者会のレクリエーションで出たお題でカミングアウト!?

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次は、次男が通っていた保育園の保護者会でのカミングアウトです。

次男はどちらかというと「全てにおいてゆっくりタイプ」なため、カミングアウトについては完全にノープラン。しかも保育園なので、他の保護者の皆さんとはあまり接する機会もありません。

先生と相談し、子ども同士のケアができていれば、特にカミングアウトをする必要も無いよなぁ…と思っていました。
しかしそのときは突然訪れたのです。

保育園の保護者会での一幕でした。「最近お子さんと接していて困ったことを教えてください」というお題で、フリップに絵を描いて発表するというレクリエーションが行われたのです。

他の親御さんが「下品な言葉を連発してくる」「口喧嘩で子どもに勝てない」など、思わずクスっとなる年相応の可愛い「あるある」を披露していきます。
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そんな中、私が発表した内容は…

言葉が話せないので『ハァ~』『んん~』などの、ニュアンスで物事を伝えようとしてくるので困る

と、およそ4歳児の「あるある」とはかけ離れたネタでした。
正直、このネタをネタと受け取ってもらえるのか?引かれてしまうのか?気を遣われてしまうのか?…賭けでした。

でも、嘘の「あるある」を発表するのは、保護者の皆さんも我が子をもバカにしているように思えたので、正直にそのとき感じていた困りごとをイラストと共に発表しました。

このときは結局、それ以上お伝えすることもありませんでしたが、「あの子がおしゃべりができないのは、悪気があるわけじゃないんだな」とは、わかってもらえた感触がありました。

そしてその数ケ月後、あるお母さんから「◯◯くん、お話が増えたよね」と話しかけてもらえたときに、「ああ、あんな曖昧なカミングアウトだったけど、ちゃんと伝わったんだな」とあらためて実感することとなりました。

3回目 はじけた酒の席での、第三者によるカミングアウト

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そして最後のカミングアウトは、長男が転園した保育園の、保護者との飲み会です。

いろいろあって幼稚園をやめることになった長男。その後、偶然欠員が出た保育園になんとか転園することができました。
次男とは別の保育園で、園の雰囲気や保護者の皆さんのカラーも、また違ったものでした。

どちらかというと、元気でノリのいい雰囲気の保護者さんたち。ざっくばらんで話しやすい方々という印象だったので、そのうちの1人であるAさんに、息子のことや発達障害が原因で幼稚園をやめたことなどを伝えていました。

その数週間後、クラスで飲み会が開催されました。
出産後、飲み会どころかランチもほとんど断り続けていた私でしたが「みなさんとの親睦を図るため」と、一念発起して飲み会に参加することにしたのです。そこでの乾杯の音頭をAさんがとることになり…

Aさん「みんな~!新しく入った◯◯くんは、成長に凸凹があります!!イエーーーーーイ!!乾杯!!

というわけで、私は全く気を揉むことなく、乾杯の勢いでサプライズ的にカミングアウトをしてもらうこととなったのです(笑)。

正直ビックリしましたが、「ああ、別にそんな大したことじゃないんだよな…」と感じ、実は私にとって一番嬉しかったカミングアウトの思い出となりました。

酔いが冷めた後も、親子ともども優しく接してくださりクラスメイトに助けてもらいながら、長男は元気に保育園に通っています。

カミングアウトに正解なし!でも、知っておきたいことは…

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いかがでしたか?

●場を設けてもらってしっかりと説明
●たまたま機会があったのでなんとなく
●周りの方がいきなり発表

私は色々なタイプのカミングアウトを経験してきました。そんな私が言えるのは、「カミングアウト、万人に当てはまる正解はない」ということです。

自分にとってはこの方法が良い、子どもはこうして欲しいはず、という思いも大切ですが、カミングアウトを「する側」があれば「される側」もいるということを忘れてはいけないと思うのです。

「される側」が期待通りの反応をしてくれなかったと思うこともあるでしょう。でも、私は思うのです。心の準備ができていない状態で障害のことを伝えられ、困惑しない人の方が珍しいと。

「カミングアウトする必要があるかどうか」「いつ、どのタイミングがいいのか」探りながら相談しながら、当事者にとっても周りにとっても負担のないカミングアウトの方法を見つけていくことができれば、周囲との関係性は良い方向へ変わっていくと私は思うのです。
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