愛するわが子の顔を思い出せない。それが発達障害の特性だと知り…

ライター:GreenDays
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発達障害の特性の1つに「人の顔が覚えられない」というものがあります。(全ての方が持つ特性ではありません)私はずっと、自分がこの特性を持っていると知らずに生きてきたのです。

わが子の顔を思い浮かべる…それってみんなができることなの!?

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「お子様の顔を思い浮かべてください」、と言われたとき、皆さんの頭の中にはどんな表情のお子さんが描かれるでしょうか。

笑った顔、怒った顔?泣いた顔でしょうか?

残念ながら、私は自分の子どもの顔を思い浮かべることができません。それに気がついたのは、子どもが発達障害と診断され、その特性についてあれこれ学んでいるときでした。

「人の顔を覚えられない」

発達障害の特性の1つにあげられていたこの項目を見た私は、軽いパニックに陥りました。

ちょっと待って!
人の顔ってみんな頭に思い浮かべられるの!?
えっ!?どういうこと???
私、大好きな子どもたちの顔がわからないんだけど…!!!

それまで私は、それが普通だと思って生きてきました。
多少の違いはあるにせよ、みんな同じような感覚の中で生きているんだと。だから、頭の中に人の顔や映像を浮かべられる人を「特殊な能力を持った人だな、すごいな」と思うことはあっても、自分がその能力に欠けているとは思いもしなかったのです。

そんなはずはない!と何度も子どもの顔を思い浮かべようと頑張ってみましたが、無理でした。

浮かんでくるのは、漢字やアルファベットで書かれた子どもたちの名前、丸顔・大きな目・への字口、メガネ・奥二重・唇に傷…そんな文字列ばかりだったのです。

努力で特性を改善させることにもチャレンジした。でも、できなかった

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数日経って落ち着きを取り戻してから、いろいろと自分について考えてみました。

・どうやら私の頭の中は言語で埋め尽くされていること

・画像や映像を記憶することができないのを補完するように、記憶ははすべて言語化されていること

・親しい人の顔は特徴を言語化して記憶するので、会えば判別できること

・誰かと知り合った時にまずフルネームを漢字で教えてもらうのは、似た名前の人と混同しないように、まず記憶の箱にフルネームを漢字で書いたラベルを貼り、そこに相手の特性を言語化したものを放り込んでいくからだということ

・よって名前を知らない人の情報は箱がないので整理することができず、特徴も言語化されないので、近所の人や幼稚園の保護者など名前を知らない人の顔は判別できないこと

・外国の俳優名が覚えられないのは、カタカナやアルファベットの羅列に意味を持たせられないから

・写真を撮るのが好きなのは、記憶にとどめておけない景色を私の代わりに記録してくれるから
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ショックから抜け出して頭の中を整理しながら、人とは違うということを知るにつれ、また落ち込む日々が続きました。

特徴を言語化して紐付けしていく、というのは私が知らず知らずのうちに身につけた「人を判別する方法」だったのだと思います。

そんなことをしなくても、人の顔を思い浮かべられることができれば、どんなに楽なことでしょう。

何より愛するわが子の顔を思い浮かべられない、という衝撃が大きすぎて、なんとかあの笑顔を手に入れたいとパーツを1つひとつ思い浮かべる練習をしたりもしましたが、進展はありませんでした。

生まれ持った特性というのは、努力ではどうにもならないのだなぁ…と、身に染みて感じているところです。

自分の特性を知った今、思うこと

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「人の顔を覚えられない」という特性を知らずに生きてきた40年。

学生の頃、新学期の始まりは名簿を覚えるのに必死でした。名簿順に並んで座っている間に、名前と特徴を一致させないと、一体それが誰なのか分からなくなるからです。

子どもが幼稚園に入った時は、クラスの名簿を壁に貼ってフルネームを覚えるところから始めました。三つ編みでブランコに乗っているのは誰?と娘に聞いて「Aちゃんだよ」と教えてもらうと、Aちゃんのラベルがついたボックスに「三つ編みでブランコ」などの言語化された情報を放り込んでいくのです。

みんなそうしていると思っていた。でもそうじゃなかった。
それに気づいた今、私が思うことは「もっと早く自分の特性を知りたかった」ということです。

そうすれば、同じような悩みを持つ人の体験談を読んだり、どんな風に工夫しているかを知る手立てになったと思うのです。

出来ないことを嘆く時間を「いろんな方法にチャレンジしてみる」という前向きなエネルギーに変えることができていれば、訳の分からない焦燥感に苛まれることも少なかったのかもしれません。
次ページ「自分と同じ辛さを経験しないよう、今わたしが子どもたちにできることは…」

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