医療保護入院の対象、手続き、精神科入院から退院までの流れ、医療保護入院の費用や受けられる助成金まとめ
ライター:発達障害のキホン
医療保護入院とは、精神障害の人を対象とした入院の形態の一つです。これは、入院の必要性が明白であると医師が判断したにも関わらず本人から何らかの理由で同意が得られない場合に、保護者などから入院の同意を得て行うものです。この記事では、医療保護入院の対象、条件、手続き、入院から退院後までの流れ、費用や受けられる助成金などについてご紹介します。
医療保護入院とは?
医療保護入院とは、精神保健福祉法により定められた精神科への入院形態の一つです。
まず、精神科への入院の形には
・本人の同意を得て行う「任意入院」
・自傷他害のおそれのない本人の家族等から同意を得て行う「医療保護入院」
・自傷他害のおそれのある場合に行政の命令により行う「措置入院」
があります。この記事では、二つ目のトピックを扱います。
医療保護入院をするにはいくつかの条件があります。
■本人に自傷他害のおそれがない
医療保護入院は、本人に自傷他害の可能性がないときに限ってとられる入院形態です。本人が周りの人や自分を物理的に傷つける可能性のある場合には、当人と周囲の人を保護するために措置入院という方法がとられます。
■精神障害があり、入院に同意できる状態でない
つまり医療保護入院の対象者は、精神障害のある人です。精神障害がある場合には、入院や治療の必要があっても、病状によっては本人が入院の必要性について理解・同意をできないことがあるかもしれません。このように本人に入院の必要性が明白であるのに、本人が入院することに同意できない場合に、本人の同意を得ずに入院対応を行う形を医療保護入院といいます。
■家族等から入院の同意が必要
医師が医療や保護のためにどうしても入院が必要だと判断した場合には、家族等から同意が得られれば、本人は入院することになります。家族等の範囲とは、配偶者や親権のある者、扶養義務者です。そのほかには、後見人や保佐人(判断能力の十分でない人の法的行為を支援する人)も「同意をすることのできる家族等」に含まれます。
入院中本人の権利は最大限に保障されるように義務付けられています。確かに、入院が行われるまでは、本人は意思決定にかかわることができませんが、入院の際には可能な限り、入院の必要性を十分説明した上で入院の措置をとることが、本人に告げられます。また入院中には本人は退院や医療の内容に改善をしてほしい旨の書類を出すことにより、意思を伝える機会の保障がされています。
まず、精神科への入院の形には
・本人の同意を得て行う「任意入院」
・自傷他害のおそれのない本人の家族等から同意を得て行う「医療保護入院」
・自傷他害のおそれのある場合に行政の命令により行う「措置入院」
があります。この記事では、二つ目のトピックを扱います。
医療保護入院をするにはいくつかの条件があります。
■本人に自傷他害のおそれがない
医療保護入院は、本人に自傷他害の可能性がないときに限ってとられる入院形態です。本人が周りの人や自分を物理的に傷つける可能性のある場合には、当人と周囲の人を保護するために措置入院という方法がとられます。
■精神障害があり、入院に同意できる状態でない
つまり医療保護入院の対象者は、精神障害のある人です。精神障害がある場合には、入院や治療の必要があっても、病状によっては本人が入院の必要性について理解・同意をできないことがあるかもしれません。このように本人に入院の必要性が明白であるのに、本人が入院することに同意できない場合に、本人の同意を得ずに入院対応を行う形を医療保護入院といいます。
■家族等から入院の同意が必要
医師が医療や保護のためにどうしても入院が必要だと判断した場合には、家族等から同意が得られれば、本人は入院することになります。家族等の範囲とは、配偶者や親権のある者、扶養義務者です。そのほかには、後見人や保佐人(判断能力の十分でない人の法的行為を支援する人)も「同意をすることのできる家族等」に含まれます。
入院中本人の権利は最大限に保障されるように義務付けられています。確かに、入院が行われるまでは、本人は意思決定にかかわることができませんが、入院の際には可能な限り、入院の必要性を十分説明した上で入院の措置をとることが、本人に告げられます。また入院中には本人は退院や医療の内容に改善をしてほしい旨の書類を出すことにより、意思を伝える機会の保障がされています。
どのくらいの数の人が利用しているの?
医療保護入院をしてケアを受ける人の数は、平成27年の時点で約17.7万人であり、これは精神科病院に入院する患者全体の4割を占める数です。入院者数のうち、もっとも多いのは統合失調症のある患者です。
また、厚生労働省のデータでは平成24年時点では、入院の期間や年齢については以下のように述べられています。
(在院期間)
1年未満が約35%、1年以上5年未満が30%、5年以上 が約35%となっている。
(年齢構成別)
65歳以上の占める割合が年々増加しており、現在では5割 近くになっている。
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医療保護入院を含む、精神科入院のベースとなる「精神保健福祉法」って?
「任意入院」「医療保護入院」「措置入院」といった形態での入院対応は、精神保健福祉法(正式名称:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)という法律に基づいて行われています。
この法律の目的は、精神障害者の人権の擁護と、社会復帰をできるように援助していくことです。この目的をかなえるため、以下の条文があります。
この法律の目的は、精神障害者の人権の擁護と、社会復帰をできるように援助していくことです。この目的をかなえるため、以下の条文があります。
①病識の無い精神障害者や自傷他害の恐れのある場合には、自ら入院を希望しない患者を強制的に入院させることがあります。そうした場合、患者の人権を擁護することが重要となり、人権侵害が生じないよう適切な医療と保護が行われるよう定めています。
②精神障害者は患者であると同時に、社会的ハンデを持つ障害者(他に、身体障害者、知的障害者)であるので、社会復帰の促進を図り、地域で自立できるよう福祉施策を援助することを法で定めています。
③精神障害の発生予防、早期発見、再発予防等と一般健常人の精神的健康の保持・向上の施策を行うことを定めています。
精神科医療関連制度|精神科医療総合サイト「e-らぽーる」
長期入院者の削減と家族の負担を減らすために、平成26年に精神保健法が改正されましたが、以上で示した3つの観点は、改正前からも一貫しており、精神障害者福祉において国の考える重要なポイントであるともいえます。
医療保護入院をするための要件は?
先ほどの章では医療保護入院の対象となる要件についてお伝えしました。「本人に自傷他害のおそれがない」「精神障害があり入院の同意ができる状態ではない」「家族の同意が必要である」という3点でありますが、その要件を満たすためにはさらに以下の3点が必要となります。
■精神障害であるという診断が必要
まず必要なことは、本人が医師の診察を受け精神障害という診断を受けることです。入院や保護の必要があると家族が判断したとしても、精神障害の診断を受けない限りは医療保護入院をさせることはできません。
■「精神保健指定医」という免許をもつ医師だけが入院の判断をできる
そしてその次は、入院が必要かどうか判断する段階ですが、この判断をできるのは精神保健指定医のみです。
精神保健指定医とは、精神科医療において高い資質や経験をもつ場合にのみ与えられる免許をもつ医師です。人権上適切な配慮をする必要があるこのような入院形態の場合には、特別な資格をもつ精神保健指定医が判断を行う決まりになっています。医師の免許は定期的に更新しており、精神保健指定医は、精神科医療におけるプロフェッショナルであるともいえます。
■入院に同意を行うのは「家族等」のいずれかでなければならない
診断を受けた際に指定医から入院の必要があると判断された場合には、家族等のうちいずれかの人の同意が必要です。家族等とは、配偶者(妻・夫)、親権のある人(娘・息子)、親権を行使される人(母親・父親)、そのほかの扶養義務者(姉妹兄弟・孫・祖父母・曾祖父母・ひ孫)です。そのほかには、後見人と佐保人も含まれます。ただし、未成年の場合や行方のわからない人の場合には「同意をできる家族等」からは除かれます。
以上の家族等のうち全員が何らかの理由によって同意の意思を表明できる状態にない場合や、当人に家族等がいない場合には市町村長が同意を行います。
■精神障害であるという診断が必要
まず必要なことは、本人が医師の診察を受け精神障害という診断を受けることです。入院や保護の必要があると家族が判断したとしても、精神障害の診断を受けない限りは医療保護入院をさせることはできません。
■「精神保健指定医」という免許をもつ医師だけが入院の判断をできる
そしてその次は、入院が必要かどうか判断する段階ですが、この判断をできるのは精神保健指定医のみです。
精神保健指定医とは、精神科医療において高い資質や経験をもつ場合にのみ与えられる免許をもつ医師です。人権上適切な配慮をする必要があるこのような入院形態の場合には、特別な資格をもつ精神保健指定医が判断を行う決まりになっています。医師の免許は定期的に更新しており、精神保健指定医は、精神科医療におけるプロフェッショナルであるともいえます。
■入院に同意を行うのは「家族等」のいずれかでなければならない
診断を受けた際に指定医から入院の必要があると判断された場合には、家族等のうちいずれかの人の同意が必要です。家族等とは、配偶者(妻・夫)、親権のある人(娘・息子)、親権を行使される人(母親・父親)、そのほかの扶養義務者(姉妹兄弟・孫・祖父母・曾祖父母・ひ孫)です。そのほかには、後見人と佐保人も含まれます。ただし、未成年の場合や行方のわからない人の場合には「同意をできる家族等」からは除かれます。
以上の家族等のうち全員が何らかの理由によって同意の意思を表明できる状態にない場合や、当人に家族等がいない場合には市町村長が同意を行います。