フリースクールとは?不登校の子どものための授業内容、費用や利用方法、在籍校の出席認定について解説

ライター:発達障害のキホン
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フリースクールは、主に不登校の子どもたちを受け入れる教育機関です。公的な学校ではないため、その目的により規模や形態、費用はさまざまです。本記事ではフリースクールの概要、対象、費用、義務教育上の出席扱いは受けられるのかどうかといった点の解説や、本人に合ったフリースクールの見つけ方を紹介します。

目次

フリースクールとは?

フリースクールってどんなところ?

フリースクールは法や制度などによって定められた学校でないため、その定義はさまざまですが、文部科学省は以下のように示しています。
不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設を言います。

引用:フリースクール・不登校に対する取組|文部科学省
出典:https://www.mext.go.jp/march_lion/torikumi_futoukou.htm
つまりフリースクールは社会において「不登校の子どもたちの居場所」という役割を果たしています。それぞれの施設の運営は個人や民間の企業、NPO法人によって担われおり、さなざまな規模や形態のフリースクールが存在します。

フリースクールは学校教育法上の公的な学校とは認められていないため、義務教育課程の子どもであれば、もともと通っていた小中学校に籍をおいたままフリースクールに通うことが一般的です。

フリースクールの最大の特徴としては
・入学資格を設けていないこと
・異なる年齢・年代の子どもが集まっていること
・決まったプログラムやカリキュラムを持っていないこと
が挙げられます。

授業内容は学校教科の学習ばかりではなく、他者との交流を行いながら自分の好きなことを自由に学ぶことができる場所であることが多いです。「もちつき大会」のような季節に合わせた行事を自分たちで企画したり、ハイキング、潮干狩りなどのレジャー活動、運動会、劇や合唱の発表会、料理、旅行などを行ったり、その活動内容は実にさまざまです。

また、自由や個性を重んじながら、施設のスタッフやほかの子どもと接することのできるフリースクールは、不登校の子どもたちにとって社会との接点をもつ場所であり、ソーシャルスキルのトレーニングの場ともなっています。
参考:不登校支援における適応指導教室とフリースクールの役割について|LITALICOジュニア
https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/news/detail/freeschool001/
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フリースクール誕生の背景と現状

フリースクールは、1975年頃から増加していく不登校を背景に80年代半ばから徐々に市民の手で広がっていきました。1992年には国も「不登校は誰にでも起こりうること」という認識を示し、フリースクールに通う日数も学校の出席日数として認められる事例も増えていきました。

今日、フリースクールは、2015年に行われた文部科学省の調査によって把握されているだけでも、北海道から沖縄まで全国474ヶ所が確認されています。
出典:「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」|文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tyousa/__icsFiles/afieldfile/2015/08/05/1360614_02.pdf
その数を見ても分かるように、フリースクールは今や子どもが学び育つ場として必要不可欠な場となっています。また、不登校の子どもを預かるフリースクールは、子どもたち本人のみならず、彼らと24時間ともに過ごす保護者や家族の精神的疲労を軽減する役割も果たしています。

令和4(2023)年度時点で、不登校児童生徒数は、小・ 中の合計では299,048人にのぼります。その数は前年度と比べ54,108人増加しており、 フリースクールのニーズは今後も増えていくと考えられます。
出典:令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|こども家庭庁
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5aa667da-fe7f-4ea9-9ee2-7510121e6751/2d6548bb/20231016_councils_ijime-kaigi_dai2_01.pdf
以上のように社会的なニーズはあるものの、社会におけるフリースクールへの理解や支援は未だ不十分といえます。以下で説明する出席認知と通学定期以外の公的支援はほとんどないため、運営の財源探しに苦心するフリースクールが多いようです。

国も、フリースクールで学ぶ子どもや保護者への支援を検討しはじめています。

フリースクールにはどんな子が通えるの?

主として、何かしらの理由で学校に行っていない子どもが通います。理由は、いじめに遭って学校に行くのが怖くなってしまった、学校生活にうまく馴染めない、学校の授業についていくことが難しい、受験競争のストレスで疲弊してしまったなどさまざまです。それぞれ、自分の目的に合った形態のフリースクールに通っています。

また、上記のような例の中にはASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)など、発達障害のある子どももいます。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)の子どもは共同生活におけるコミュニケーションを苦手と感じることも少なくなく、発達障害のない子どもよりも不登校になる可能性が比較的高いと言われています。

発達障害の状況によっては、フリースクールに通うことで、特性の偏りによる困りごとが減り、集団生活への順応度が高まる可能性も考えられます。

ただ、全てのフリースクールが発達障害のある子どもにとって過ごしやすいとは限りません。フリースクールといってもその性格や方針はさまざま。発達支援の機能を備えているわけではないので、本当に子どもに合う環境なのか検討する必要があります。

フリースクールに通いつつ、発達支援・療育を実施している他の施設を併用するという方法もあります。詳しくは以下のサイトもご参照ください。
フリースクールが担う不登校支援の可能性について|LITALICOジュニア
https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/news/detail/freeschool001/
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サポート校とフリースクールの違いは?

同じように学校に籍をおきながら通える形態として「サポート校」の存在があります。フリースクールが主に精神面のサポートを行い、広く不登校の子どもたちを対象としているのに対して、サポート校は主に学習支援に軸足を置いており、学習塾という色合いが強いです。

そのためサポート校の対象は高等学校通信教育を受けている者(高等学校における「通信制の課程」に在籍している者、または、中等教育学校の後期課程における「通信制の課程」に在籍している者)や高等学校卒業程度認定試験合格を目指す人に限られる傾向にあります。

フリースクールへの出席は学校への出席日数として認定されるの?

フリースクールに通う子どもの出席認定は、小・中学生については1992年から、高校生についても2009年から実施されています。フリースクールに通うことを在籍校の出席扱いとするかどうかは在籍校の校長先生の判断に委ねられ、校長先生がそのフリースクールが「不適切」だと判断しない限り出席扱いになります。

児童の不登校の問題に関して、文部科学省は以下のような姿勢を示しています。
不登校児童生徒の中には、教育支援センター(適応指導教室)やいわゆるフリースクールなど、学校外の施設において相談・指導を受けている者もおり、このような児童生徒の努力を学校として適切に評価し、学校復帰などの社会的自立を支援するため、小・中・高等学校の不登校児童生徒が学校外の機関で指導等を受ける場合について、一定要件を満たすとき校長は指導要録上「出席扱い」にできることとしている。

引用:不登校の児童生徒への支援について|文部科学省
出典:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1286947.htm

そもそも「義務教育」って、親の義務?子どもの義務?

日本国憲法では義務教育について以下のように示されています。
憲法第26条第2項
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。

引用:日本国憲法第26条|e-Gov
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail...
教育基本法第5条第1項
国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。

引用:教育基本法|e-Gov
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail...
一般的に義務教育といわれているものは、保護者が負っている「教育を受けさせる義務」(教育義務)によって子どもが受ける教育のことをさします。保護者は、児童を小中学校などに通学するように取り計らう「就学義務」という義務を負っています。

一方、子どもには、基本的人権の一つである教育を受ける権利があります。しかし義務教育は「子どもが学校に行かなくてはいけない」という義務があるということは意味していません。
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