シャフリングベビーの不安を相談するには?

乳幼児の発達は特に個人差が大きく、スピードも経過も十人十色とはいうものの、ユニークな赤ちゃんの育児に不安を感じるのは親心としては自然なことかもしれません。育児書の目安とは異なるシャフリングベビーとの暮らしに疑問や迷いが生じたときは、以下に紹介する相談窓口を利用してみてはいかがでしょうか?

小児科
地域子育て支援センター
児童相談所(こども相談所)
保健福祉センター


もし住居の近くに上記のような機関があるか分からない、相談するタイミングがつかめないというときは、自治体主催の乳幼児健康診査(乳幼児健診)を利用しても、同様の相談ができます。

赤ちゃんにハイハイやつかまり立ちを促す工夫は?

シャフリングをする赤ちゃんの姿はユニークで愛らしいものですが、ハイハイや、つかまり立ちやつたい歩きを心待ちにしている、という方もおられるかもしれません。そこで、この章ではハイハイやつかまり立ちを促す親子遊びの方法を3つずつご紹介します。

ハイハイを促す場合

ハイハイを促す場合は、うつぶせでお腹がつく姿勢に慣れていくことが初めの一歩です。うつ伏せを嫌がらない範囲で、少しずつ慣らせていきましょう。

・うつぶせ姿勢で遊ばせる
うつぶせ姿勢を嫌うのはシャフリングベビーの特徴ですが、ハイハイを促すためにうつぶせの姿勢に慣れることは必要でしょう。仰向けで寝転がった大人のお腹の上で赤ちゃんをうつぶせにすると、体が密着していて目が合うので赤ちゃんは安心し、少し長めにうつぶせをしてくれることが多いといわれています。赤ちゃんの体が落ちないように配慮しながらバランスボールの上でうつぶせにさせてもよいでしょう。
この姿勢は頭を支える肩や背中の筋力を鍛えるとともに、うつぶせで重心をとる感覚を強化していくことができます。大人がうつぶせの赤ちゃんを抱えあげて前後に揺らす、飛行機遊びのような動きも喜ぶかもしれません。

・赤ちゃんの背後や左右から呼びかける
シャフリングベビーは、お座り姿勢から別の姿勢になることを避ける傾向があります。正面からの呼び掛けには方向転換の必要がないため赤ちゃんはシャフリングで移動をしますが、背後や左右から呼び掛けた場合はすばやく方向転換をするために手を使う頻度が上がります。この過程で赤ちゃんは自然に重心を左右に傾ける感覚をつかんでいき、いつしかお座りから四つ這い、四つ這いからお座りになることに慣れていきます。

・ハイハイを見せる、追いかけっこをする
保護者やほかの赤ちゃんがハイハイする姿をたくさん見せてあげるのもよいでしょう。また、シャフリングをする赤ちゃんをハイハイで追いかけたり、ハイハイしながら逃げるそぶりを見せる遊びをすることで、赤ちゃんが手と脚を連動して動かすことを視覚的に覚え、ハイハイする意欲を引き出せるかもしれません。熊や犬、猫など、四足歩行の動物の出てくる絵本や動画をいっしょに見て、真似をしてみるのもよいでしょう。
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つかまり立ちを促す場合

赤ちゃんが足裏で床などの感触を感じて、足腰で体重を支える遊びを取り入れることで、つかまり立ちへの興味がわくかもしれません。シャフリングベビーは前述の通り足裏の感覚が過敏なな傾向があるため、赤ちゃんが不機嫌になるようなら短時間で切り上げ、無理のない範囲でやってみるとよいでしょう。

歩行器の使用については、シャフリングする赤ちゃんの足腰の発達を促したい場合、控えたほうがいい場合もあるでしょう。歩行器は上半身を支える力を補助する効果がある一方で、爪先だけの軽い蹴りでも移動ができてしまうからです。立つ/歩くということは、すなわち自分自身の力で体を支え、腰と足裏でバランスをとって移動できるようになることなので、補助器具を用いた練習はほどほどにしたほうがよいかもしれません。

・足裏でキック
お座り赤ちゃんの足の裏に手のひらや膝(ひざ)を合わせて軽く押します。力をかけることで、足の裏で体重を支える感覚を疑似体験させるとともに、筋肉の発達を促します。保護者の太ももや膝に腰をかけさせ、足裏をしっかり床につけた状態で、赤ちゃんの脇を支えて左右に一緒に揺れる運動もおすすめです。

・布団などをよじ登らせる
少し高さのあるものを乗り越える遊びは、高い位置に手をついて立ち、手と足裏で体を支える練習になります。この遊びは視野が広げる経験が増えるため、立つ・歩く意欲を自然に引き出すことが期待できます。布団がなければ大人がうつぶせになった上を乗り越えさせたり、低めのテーブルを使ったりしてもよいでしょう。転落、転倒防止のため、最初は低い段差から挑戦しましょう。

・家具越しに「いないいないばぁ」
テーブルやソファ越しに赤ちゃんと「いないいないばぁ」をします。赤ちゃんの座高より高い位置から顔を出すと、赤ちゃんは保護者の顔をのぞきこもうとして手をつき、自然とお尻を浮かせる動作をすることがあります。赤ちゃんはこの動作で、腰から膝、足裏に重心を移動しつつバランスをとる感覚を覚えていきます。
参考書籍:久保田競/著『能力と意欲を伸ばす積極育児法』(主婦の友社,2004)
https://www.amazon.co.jp/dp/4072423122
自分の体を自分の力だけで支え、動かす感覚は、歩き始めたあともさまざまな運動の発達に関係してきます。運動機能の基礎は歩き始めてから鍛えても遅くはありませんが、自力で移動できること自体が赤ちゃんと保護者の喜びや自信につながるのは、乳幼児期ならではの経験です。この時期だけの成長過程を楽しみつつ、その後につながる運動能力をつけてあげられるとよいですね。

まとめ

シャフリングベビーとは、お座り姿勢のまま移動する個性的な赤ちゃんの呼び方です。シャフリングベビーは歩き始めるのは遅めでも、その後の発達に問題はないという統計データがあるので、その赤ちゃんなりの運動発達の道筋として温かく見守ってあげてください。

もしユニークな移動方法に不安を覚えた場合でも、シャフリングを卒業するためにできる工夫はいろいろあります。赤ちゃんの体の状態や生活環境を理解し、遊びの中でハイハイやつかまり立ちを促すことも工夫の一つですし、小児科医や地域子育てセンターに相談し、支援してもらうのも、保護者だからこそできることではないでしょうか?

赤ちゃんはその子らしいペース、方法で必ず成長していくものです。保護者の前向きな言葉かけや笑顔も赤ちゃんのハイハイやつかまり立ちの意欲をひき出します。動作のバリエーションを数多く体験をさせてあげることがシャフリングの卒業につながります。
能力と意欲を伸ばす積極育児法―脳の発達期0‾2才 (ベビモブックス)
久保田 競 (著)
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