利用できる障害福祉サービスを左右する「障害支援区分」とは?

「障害支援区分」とは、障害福祉サービスの必要性を明確にする目的で、障害の多様な特性やその他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示す区分のことを指します。

市区町村は、介護給付の申請があった際にはこの区分に関する審査をし、その審査結果に基づいて認定を行います。障害支援区分は「区分1」から「区分6」まで全6区分(数が大きい方が必要とされる支援の度合いが高い)が定められており、区分により受給できるサービス内容やサービスの量に差があります。

具体的な調査項目は、
1)移動や動作等に関連する項目(12項目)
2)身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)
3)意思疎通等に関連する項目(6項目)
4)行動障害に関連する項目(34項目)
5)特別な医療に関連する項目(12項目)
の計80項目となっています。

より詳細に、全80項目を確認したいという方は、下記のリンクをご参照ください。
障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/1_26.pdf
参考:「障害福祉サービスの利用について」全国社会福祉協議会
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000059663.pdf

障害福祉サービスの申請から受給までに必要な手続き

障害福祉サービスの申請から受給までに必要な手続き

障害福祉サービスは介護給付と訓練等給付のそれぞれで申請の流れが異なります。介護給付を希望する場合は「障害支援区分認定」を受けることが必要になるからです。また訓練等給付を希望する場合でも、共同生活援助(グループホーム)を利用するにあたり、障害支援区分認定が必要になることがあります。

申請してからサービスの利用開始まで、一般的には1ヶ月前後の日数を要するようです。ただし、市区町村によって異なる可能性もあるので、急を要する場合などはお住まいの市区村長に問い合わせてみるとよいでしょう。
障害福祉サービスの利用を希望しますが、支給申請手続きはどうしたらいいのですか。|川口市
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/faq/kenko_kaigo/syogai/18030.html
以下が申請からサービス利用までの流れです。
申請からサービス利用までの流れ
申請からサービス利用までの流れ
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1. 市区町村の障害福祉担当窓口へ申請
申請の際には、状況に応じて障害者基礎年金1級の受給の有無や介護保険申請の状況などを聞かれる場合があります。

2. 障害者支援区分認定調査
市区町村の認定調査員による面接が行われ、全国共通の質問票から心身の状況に関する80項目と状況の調査が行われます。

3.一次判定
認定調査及び医師意見書の一部の結果に基づき、コンピューター判定が行われます。医師意見書とはかかりつけ医に申請者の心身の状態、特別な医療などの意見を求めるものです。(市区町村が依頼します。)

4.二次判定
一次判定の結果と状況調査、医師意見書などを踏まえ、市区町村審査会で二次判定が行われます。

5.障害区分認定
二次判定の結果に基づき、非該当、区分1~6の認定が行われます。各サービスの区分ごとのサービス量は上記のリンクを参考にしてみてください。

6.サービス利用意向の聴取・サービス等利用計画案の提出
市区町村から計画案の提出が求められている場合は提出をします。サービス利用計画案は指定特定相談支援事業者が作成しますが、申請者自身による作成も可能です。

7.支給決定
障害区分や本人・家族の状況、利用意向、サービス等利用計画案などを踏まえてサービスの支給量などが決まり、支給決定が申請者に通知されます。

8.サービス担当者会議
申請者が利用する全てのサービスの各担当者が出席し、利用者に合ったサービスを提案、サービス等利用計画の作成案が出し合われます。

9.支給決定時のサービス等利用計画の作成
サービス担当者会議での案をもとに、指定特定相談支援事業者がサービス等利用計画を作成します。利用計画は申請者自身による作成も可能です。

10.サービスの利用開始
申請者はサービス提供事業所と契約を結び、サービスの利用を開始します。サービスの量や内容については、利用開始後も一定期間ごとに確認が行われ、必要に応じて見直されます。

障害福祉サービスを利用した人の経験談

障害福祉サービスの介護給付を利用する人の中には、身体障害や難病により入浴や移動で介護を必要とする方、発達障害により料理や掃除といった家事に困難を感じており助言や手助けを必要とする方などがいます。

以下の記事では、40歳台でアスペルガー症候群と診断された女性が障害福祉サービスの利用手続きをした経験談を、各段階での感情とともに紹介しているので、興味のある方はご覧になってみてください。
45歳。障害者として生きていくと決めた私を待ちうけていたのは…のタイトル画像

45歳。障害者として生きていくと決めた私を待ちうけていたのは…

障害福祉サービスの利用費は?

利用負担は原則1割負担

障害福祉サービスを利用した人は、原則としてサービスの提供に要した費用の1割を負担することになります。

また、施設入所や日中活動サービスに伴う光熱水費等の実費や食費については、在宅で生活する人との公平を図るため、自己負担となります。

ただし、定率負担、実費負担ともに所得の少ない人の負担が大きくならないよう、さまざまな軽減措置が設けられています。詳しくは市区町村のホームページなどから確認してみるとよいでしょう。

収入に応じた月額上限負担額

・生活保護受給世帯・・・0円
・市区町村民税非課税世帯・・・0円 ※3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が約300万円以下の世帯が対象
・市町村民税課税世帯(収入が約670万円以下の世帯)・・・9,300円 ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く
・収入が約670万円以上の世帯・・・37,200円 ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を含む

障害者総合支援法における障害福祉サービスの利用料金は、世帯ごとの前年度所得に応じて負担額の上限が定められています。そのため、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じないことになっています。
「障害者の利用者負担」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html
次ページ「障害福祉サービスと介護保険の関係は?」

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