支援学校で息子が習った「働く」意味。その内容にショックを隠せず…

ライター:立石美津子
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子育ての渦中にいると目先のことに囚われてしまい、ここ一二年のことしか視界に入らないことがあります。
でも、人生80年。進学すれば卒業がありますし、卒業すれば就労が待っています。そして、就労した後も人生は続きます。それぞれの時代が分断されてはならないと思うのです。

特別支援学校高等部に入学した、自閉症の息子。その時間割を見てみると…

こんにちは。『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。

2000年に生まれた、知的遅れを伴う自閉症の息子は2016年4月7日に特別支援学校高等部に入学しました。

息子が高等部入学したばかりのころ、私は時間割を見て驚きました。

「あれ?数学、国語はこんなにちょびっとなの?」

そこにあったのは、作業、作業の連続の時間割でした。
時間割
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特別支援学校高等部は正式には高校ではありません。就労するための職業訓練校的色彩が強いです。

障害も重い子、軽い子がいます。それぞれの能力に合った就労先を見据えて、園芸班、紙工作班、清掃班、接客班、事務班などに分かれて訓練しています。

仕事=つらい?息子が学校で習った内容は…

ある日、息子が学校から持ち帰ったファイルを開いてみると、「仕事頑張ります」と書いてありました。

社会に出るということも仕事の意味もわかっておらず、ただ担任に言われたことをそのまま写してているような気がしました。何だか切なくなりました。
日誌
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更にそのファイルには、仕事に関する穴埋め式の問題が入っていました。○のなかに回答を書くものです。

問題:高等部を卒業したら?
○○→○○をもらう→生活する

息子が書いた答えには、「働く」「給料」の文字が入っていました。

問題:お給料をもらうためには、仕事をしなくてはならない!
仕事は遊びではないので○○仕事や嫌な仕事もある

○○には「辛い」という文字が入っていました。
働くことについての学習プリント
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息子の精神年齢は5歳くらいです。この穴埋め問題の意味をどれくらい理解しているのでしょうか。

先生が模範解答として示したものを、そのまま書き写したんだと思います。確かに書いてあることは正しいことなのですが…。

障害のある息子にとって、仕事はただつらいだけ?

社会に出れば学校時代のような見守られる環境ではなく、厳しい面もあります。嫌でもしんどくてもやらなくてはならないことも多々起こります。

でも…。「‟仕事は辛い“と最初にインプットしないでほしい。仕事が始まる前から‟苦しいもの”という先入観を持たせないほしい」と思いました。

仕事をするのは給料のため、生活のためだけではありません。息子には卒業後、障害があってもやり甲斐や張りのある毎日、「こんな僕でも誰かの役に立っている」という充実感を持ちながら働いてほしい。そう感じました。

「仕事は楽しい、だから頑張って技術を身に付けて仕事ができるように頑張ろう」

そんな穴埋め問題だったら良かったのに…と母として思いました。
次ページ「働くことはゴールではない。むしろ、その先の人生のほうがもっと長い」

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