視覚障害のある人が障害者手帳によって受けられるサービス 

「身体障害者手帳」によって受けられるサービスには、次のようなものがあります。

・盲導犬や白杖などを借りられる場合があります。

・国税や地方税が控除されたり、減免されたりします。

・公共施設の利用料や交通機関の運賃が割引されることがあります。

・公営住宅に優先的に入居できます。


これはあくまで一例です。障害者手帳の等級やお住まいの地域によって受けられるサービスが異なるので、各自治体に確認することが必要です。
参考:よくあるご質問|独立行政法人福祉医療機構
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/qa/

視覚障害者向けサービス・道具

近年、ユニバーサルデザインやバリアフリーなどが一般的になりつつあり、障害のあるなしにかかわらず生活できるような社会の実現に向けて進んでいます。

視覚障害のある人が生活しやすくなるためのサービスや道具も多くあります。このような道具は大きく3種類に分けることができます。

・目から情報を受けとりやすくする
・目の代わりに耳から情報をいれる
・手触りで判断できるようにする

目から情報を受けとりやすくする

全盲の方の場合は、目から情報を受け取ることは難しいですが、弱視や視野が狭い方の場合は工夫することで目から情報を受け取ることができます。

例えば、拡大読書機というものがあります。拡大読書機には、虫眼鏡のように新聞の上におくと文字が拡大されるようなものや、特定の台の上に本を置くと、文章が拡大されてディスプレイに表示されるものがあります。

目の代わりに耳から情報をいれる

目の代わりに耳から情報を入れるような方法は、身の回りのさまざまなところで確認することができます。

例えば、信号機ではカッコーやピヨピヨと鳴ることで青であることを視覚障害者に伝えています。

他にも、パソコンやスマートフォンを利用するときに、画面上に表示されている文字やエラーを音声で伝える機能があります。この機能を用いることで、画面を見ることなく操作することができます。

手触りで判断できるようにする

点字や白杖など、手触りや足触りで周囲の状況を判断できるようにする道具もあります。最近では、点字も紙面上だけでなく、ディスプレイや視覚障害者向けのスマートウォッチの開発も行われています。

「手触りで判断できるようにする」という考えは多くのユニバーサルデザインにも活用されています。シャンプーの容器にギザギザがついていたり、牛乳パックの開け口でないほうに扇形の小さな切り口があったりします。

視覚障害のある人への教育の場

視覚に障害のある子どもが小学生以上の年齢になったときに、どのような教育の場で学ぶのかは非常に大切な問題です。

現在、視覚障害のある子どもの教育の場としては、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導、通常学級の4種類があります。それぞれについて詳しく見ていきます。

特別支援学校

2007年4月1日から、盲学校は聾学校、養護学校とまとめて、「特別支援学校」という名称になりましたが、呼び名が変わっただけで障害種類別に運営されています。特別支援学校では、特別支援教育の教員免許状を持っている教員によって視覚障害に対応した教育を行います。

各教科の指導要領には、通常の学級と同じレベルの教育を行うことと記されています。しかし、視覚障害の特性に合わせた教育を行うため、目標は同じでも指導法は異なります。

具体的には、そろばんを用いた指導が例として挙げられます。視覚障害のある子どもは、筆算をつかって複雑な計算をすることができませんが、視覚情報がなくてもそろばんを用いることで計算できるようになります。

特別支援学級

特別支援学級は、小中学校に設けられている障害のある子どもが学ぶ学級です。視覚障害を対象とした学級を弱視学級と呼んでいます。弱視学級では、視覚障害の特性に合わせた教育を行います。

また、他の子どもと一緒に受けられる授業があれば、通常の学級で授業を受けることもあり、子ども同士ふれあう機会が多くなります。

通級による指導

通級に通っている子どもは、普段は通常学級で教育を受けています。しかし、小中学校の教育課程のほかに、視覚障害の特性に合わせた指導を受けることができます。

通常学級

視覚障害があったとしても、特別支援学校・学級に通ったほうがいいと判断されなければ、通常学校に通うことになります。この場合は、先生から授業で使う教科書や資料を事前に拡大してもらっておくなどの合理的配慮を受けながら学習していくことになります。

これらの教育の場のどこに通うのか決める目安として、次のようなものがあります。

特別支援教育における障害の程度の目安

特別支援学校に通う基準
両眼の視力がおおむね〇・三未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの

引用:学校教育法施行令第22条の3|e-Gov
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail...
特別支援学級に通う基準
拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度のもの

引用:障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)|文部科学省
出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340331.htm
通級に通う基準
拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度の者で,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とするもの

引用:障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)|文部科学省
出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340331.htm
しかし、これらはあくまで目安であり、市町村教育委員会と相談しながら決めていきます。そのときには、障害の様子や保護者と子どもの希望、各専門家の意見、学校や地域の状態が判断材料になります。

もし時間があれば、通う可能性のある学校の見学に行ってみると雰囲気がよくわかるかもしれません。
次ページ「視覚障害のある人の職業」

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。