「あなたは自分勝手」その烙印に怯えた子ども時代。親になった今考える、子どもに必要なサポート

ライター:林真紀
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息子には、自閉症スペクトラム障害とADHDがあると診断されています。息子の障害をすぐに受け入れることができたのは、私自身に思いあたることがあったからです。

わかりにくいと言われる「女の子の発達障害」。私も、子ども時代に障害があることに気づかれませんでした。トラブルはすべて私の性格のせいだと否定され、自信を失いました。

周りの大人が理解してくれたら、生きづらさは解消されていたかもしれない…。そこで、どのようにしてもらえたら救われただろうかと、考えてみました。

発達障害であることに気づかなかった私。失敗を重ね、二次障害に苦しむことに…

女の子の発達障害は、「気づかれにくい」と評されることがあります。男の子の発達障害にくらべて、特性があっても目立ちにくく、多動や他害などの問題行動が出ることも少ないことから、周りの人から障害があることに気づかれにくいようなのです。
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女の子の発達障害の特徴、特有の悩みへのサポートなどを解説【専門家監修】

かくいう私も、息子(自閉症スペクトラム障害・ADHD)の診断からほどなくして、自分自身もADHDだと診断をされました。

ですが、「実は私も発達障害で」と周囲に話しても、「嘘だ~!全然普通じゃん」「え~?普通にコミュニケーションできてるよ?」と言われることがほとんどなのです。

はじめから、いわゆる「普通に」コミュニケーションができていたわけではありません。長い間、二次障害(うつ病やパニック障害)に悩まされてきました。カウンセリングや投薬にかけた期間は10年以上です。

最近になってようやく、周囲から見ても違和感のないコミュニケーションがとれるようになってきました。ですが、今でも3人以上の人が集まる場ではうまく会話ができません。余計なことを言ってしまって、相手を怒らせてしまうこともあります。

大量の「失敗経験」を経て、今の私があるのです。

「おしゃべりが止まらない」と指摘され続けた、幼少の頃の私

息子の発達障害に気づいたきっかけは、「多動」の症状が強かったからです。息子は、少しもジッとすることができませんでした。

いついかなるときも子どもから目を離すことができず、一日中追いかけまわしていなければなりません。私は心も体もぐったりと疲れ切ってしまいました。そして「息子には発達障害があるのかもしれない」と思ったのです。

息子が診断されたとき、母親である自分自身の発達障害を疑い始めました。これまでどうしてもうまくいかなかった部分、特に人間関係などでのトラブルの背景に、障害があるのではないかと思ったからです。

早速、実家に帰って、自分の幼少期の記録がないかを探しました。母子手帳や母親がつけていた育児日記、通知表などを読んでみました。読んでみると、息子の特性とは明らかに違うのですが、判で押したように同じ言葉が書かれていました。

「一日中喋っている。朝起きてから夜寝るまで、一人で喋り続けている。やはり女の子は言葉が発達しているのであろう。一日話し相手をしているので、とても大変」(2歳/母の育児日記より)

「授業中のお喋りがなかなかなおせない。先生の話を最後まで聞かず、勝手に回答を言ってしまう。給食の時間中もお喋りが止まらず、食が進まない。食事量が少ないのが心配」(小学3年生/通知表より)

どの資料を見ても書かれているのです…「お喋りが止まらない」と。

息子のように多動や癇癪などがあったという話は聞いたことがありません。勉強も遅れていませんでした。けれども「人の話を聞かないで喋り続ける。おしゃべりが止まらない」ということが、通知表でも一貫して指摘されていたのです。

「自分勝手な子」と非難され、自己肯定感は地に落ちていった

「おしゃべりが止まらない」ことが本格的に日常に支障をきたすようになってきたのは、小学校高学年になってからです。他の女の子たちがガールズトークをし始める時期。女の子たちのひそひそ秘密話の中に乗り込んでいって、自分の話したい話ばかりをする私は、次第にクラスメイトたちから嫌われていきました。

そして、小学校6年生のとき、担任の先生が私にこう言ったのです…

「人の話を聞かずに、自分のしたい話ばっかりする。あなたみたいな人をね、自分勝手って言うんです」

この言葉を、私はその後の人生で人間関係がうまくいかなくなるたびに、思い出すことになります。

さらに困ったことに、私は授業中も黙っていられないという困った行動がありました。「あ、先生、私それわかるわ。それってこうやってこうやって解くんでしょ?」と、先生の言葉を遮って話をしてしまっていたのです。この行動については、担任から親に連絡が入りました。

「お嬢さん、授業中にものすごく知ったかぶりするんです…。困ります」

自分勝手に知ったかぶり…これを聞いて、私の自己肯定感はどんどん低くなっていきました。「自分の何がいけないのだろう。自分の何が人をムカつかせているんだろう。誰か教えて欲しい。どうしたらいいのかわからない」そんなことを考えていたのを、今でも思い出します。
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