発達障害がある大学生が困ったときに頼れる「学生相談室」とは?学校生活から恋愛の悩みまで相談できる場所

ライター:発達ナビ編集部
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学生相談室は、恋愛などの悩みごとから合理的配慮などの学内の調整が必要なことまで、学生生活におけるどんな困りごとにも対応してくれる学内の相談機関です。この記事では、発達障害の傾向がある大学生が直面しがちな問題から学生相談室の対応例まで紹介します。

自立が求められる大学生活...発達障害の傾向がある大学生が直面する問題とは?

受験勉強を終え、待ちに待った大学生活。入学直後は新歓期で食事会に誘ってもらえたり、クラスの友達ができたりと楽しいことも多いですが、新たな環境の変化にともなって、さまざまな悩みも生じてくる時期です。

高校までは先生や保護者が学業や生活を指導してくれますが、大学入学後はひとり暮らしが始まったり、履修登録をしたりと、自分で自分を管理する度合いが増えていきます。

それに伴って発達障害の傾向がある学生は、履修計画が立てられない対人関係がうまくいかない講義ノートがうまくとれないなどの困難に直面してしまいがちです。

その結果、大学に通うのが億劫になってしまい単位の取得が難しくなったり、気分が落ち込んでしまいうつ病などの二次障害が生じてしまう可能性もあります。

このような深刻な状況におちいる前に、身近なところで悩みを解決できればいいですよね。

今回は学生にとってはもっとも足を運びやすい相談機関であり、学生生活をサポートするために設置されている学生相談室について紹介します。

学生相談室ってどんなところ?

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学生相談室とは?

ほとんどの大学において、学生相談室や学生相談センターなどの名称のもとに、学生が困ったときに相談する機関が設けられています。今回は、こうした学内の相談機関について説明していきます(以下、学内の相談機関を「学生相談室」と統一表記します)。
学生相談室では、履修関係の困りごとなど学内のことだけでなく、勉強の仕方や恋愛の悩みごとまで、さまざまな困りごとに対応してくれます。障害の有無に関係なく、学生なら誰でも相談可能です。大学によっては臨床心理士や弁護士による無料相談を行っているところもあります。

学生相談室の特長としては、基本的にはキャンパス内にあるため公的な相談機関や病院などと比べると足を運びやすいこと、無料で相談できること、多くの学生の悩みに対応してきた蓄積があることなどが挙げられます。

合理的配慮を求めたいときにも力になってくれる

合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特性や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。

合理的配慮の提供は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称「障害者差別解消法」)により、国立大学では義務、公私立大学では努力義務となりました。

そのため、発達障害の傾向やその二次的障害による困りごとがあり、大学側になんらかの合理的配慮を求めたいときは、その窓口としてまず学生相談室に相談することをおすすめします。
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合理的配慮とは?考え方と具体例、合意形成プロセスについて【専門家監修】

場面別の困りごとと、学生相談室の対応例

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ここでは、日本学生支援機構が公開している情報をもとに、発達障害の傾向のある学生が直面するよくある困りごとと、学生相談室の対応例を場面別に紹介します。

履修登録

■進級・卒業のための適切な履修登録ができない
【対応例】優先度の高い必修などの講義から優先的に割り当てていくようにそのつど指導をする

■無理な時間割を組んでしまい、結果的に講義に出られなくなってしまう
【対応例】支援担当職員などが余裕をもった時間割を組むようにアドバイスをする

講義・演習

■文字を読むのが困難
【対応例】資料の電子データを提供する

■文字を書くのが困難
【対応例】パソコンの持ち込みを許可する

■講義に注意を向け続けること・ノートとることが困難
【対応例】講義の録音を許可する、配布資料の受け渡しをする

■講義に遅刻してしまう
【対応例】ビジネス手帳などの手帳、スマートフォンのスケジュール管理機能やアラーム機能の利用などによる時間管理スキルを指導する

成績評価

■文字が読めない
【対応例】試験時間を延長する、問題文の電子化をする

■文字が書けない
【対応例】パソコン筆記での解答を許可する、口述試験に変更する、レポートなどの代替課題を出す

■試験日時を間違える
【対応例】個別に注意を喚起・伝達する

■期限までに課題提出できない
【対応例】提出期限を延長する

■試験中に集中できない
【対応例】別室受験を許可する

生活面

■自分に必要な支援を説明できない
【対応例】本人の同意のもと、どのような支援をどのように要請すると良いのかを指導する

■サークルや下宿での人間関係に問題が生じる
【対応例】本人の同意のもと、障害を公表し周囲に理解を求める。カウンセラーなどによる心理カウンセリングをする

■その他日常生活で生じる問題
【対応例】定期的な面談を継続することで、カルト被害や健康管理などが適切に行われているかを確認する。学外の専門家や発達障害者支援センターなどの専門機関を紹介する。保護者との連携をする
参考:「教職員のための障害学生修学支援ガイド(平成26年度改訂版)」(PDF版)|日本学生支援機構HP
https://www.jasso.go.jp/gakusei/tokubetsu_shien/guide_kyouzai/guide/index.html
以上の対応は、あくまで対応例であって、全ての大学で同じように対応するとは限りません。必要な支援や具体的な方法は一人ひとり違います。また配慮をする側にも人手が足りなかったり、金銭的資源に限界がある場合もあります。過度な負担とならないよう、実現可能な配慮を検討していく必要があります。

そのため、具体的にどんな合理的配慮が必要かつ実現可能か、本人と周りの人たちが対話をしながら決めていくことが大切です。

配慮を求めるにあたって、障害者手帳や医師の診断書などの根拠資料を提出すると支援がスムーズです。とはいえ、根拠資料がない場合も配慮が受けられることもありますので、まずは学生相談室に相談してみましょう。

その他、具体的な対応例については以下のリンクで確認できます。
参考:発達障害・LD及びADHD|日本学生支援機構HP
https://www.jasso.go.jp/gakusei/tokubetsu_shien/chosa_kenkyu/jirei/hattatsu_ld_adhd.html
次ページ「学生相談室以外の相談場所 」

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