感覚過敏も多動もOK!自閉症の女の子が主人公『500ページの夢の束』の、すごい取り組みを取材!

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現在公開中の映画『500ページの夢の束』は、自閉症がある女の子が主人公。その上、感覚過敏がある人に配慮した”センサリーフレンドリー”での上映も行われると聞きつけて、マンガライターのかなしろにゃんこ。が取材してきちゃいました!

自閉症のある女の子のドキドキの冒険劇はもちろん気になるけど、さらに「大きな音が苦手でも、光が苦手でも楽しめる映画」ってどんな感じ!?をルポします。

取材・文・イラスト/かなしろにゃんこ。

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発達ナビニュース
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音や光に過敏のある人も楽しめる映画って?かなしろにゃんこ。が渾身ルポ!

500ページの夢の束の主人公
©2016 PSB Film. LLC
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9月に、自閉症がある女の子が主人公の映画『500ページの夢の束』が公開される!その上、感覚過敏がある人に配慮した"センサリーフレンドリー"上映での試写会が催される!という情報を、発達ナビ編集部の方から教えてもらいました。

「かなしろさん、取材してみない?」と誘われ、「もちろん!」と即答。映画や試写会について、ルポしたいと思います!

センサリーフレンドリー上映って?音や光に過敏な人も無理なく映画が楽しめる!?

発達障害による感覚過敏がある人に配慮した試写会の様子
イラスト:かなしろにゃんこ。
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光や音に過敏さがあると、映画のスクリーンから放たれる映像は眩しく感じたり、大きな音を痛く感じたり、突然の大きな音にとてもびっくりしてしまうことがあります。感覚の過敏さがある人にとって、映画館は必ずしも楽しめる場所とは限りません。でも、迫力あるスクリーンで映画を観たい!という思いはある…。

センサリーフレンドリー上映では、大きな音や高い音などを上映前に細やかに調整。全体的に音量を下げたり、金切り声やサイレンの音など75~80デシベルを超える音は65デシベル程度に下げるなど、配慮が必要なシーンごとに丁寧に行うスタッフの姿がありました。

感覚過敏についての研究を行う、国立精神・神経医療研究センターの高橋秀俊先生が、事前に視聴して気になるシーンを、実際上映する会場の客席に座り、音量を測りながら細かくチェック!

光に過敏性がある人のためにも、照明への配慮が。真っ暗な客席だと、スクリーンの光がまぶしく感じられて、ずっと見ていることがツラい…という人が多いそう。そこで、客席が暗くなりすぎないよう、後方の席はダウンライトを点けて上映していました。

それに”上映中でも話しても動き回ってもOKで出入りも自由”だと、入口の扉にドーンと貼り紙が!ロビーには、ツラくなったらクールダウンできるスペースも用意されています。その上、クールダウンスペースには、吸音布がかけられていて、できるだけ静かなスペースになるよう工夫がされていましたよ。

ロビーから客席ホールやトイレに向かう順路も、目線の高さに合わせて分かりやすく大きい文字で書かれた案内があるから、迷子にもなりません。

大きな音や光を気にせず、そのうえ出入り自由!気張らずに映画を楽しめるなんて、なんて素敵なんでしょう~。感覚過敏や多動性がある子どもの親も、こんなやさしい上映なら子連れで映画に行きやすいですよね。

自閉症のある女の子の冒険が描かれる『500ページの夢の束』

映画「500ページの夢の束」劇中シーン
イラスト:かなしろにゃんこ。
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さて、肝心な映画のお話にまいりましょう!自閉症のある主人公ウェンディは『スター・トレック』が大好きな女の子。

家族と離れて自立支援ホームで暮らしながら、社会に参加する学びの途中です。悲しいことや思い通りにならないことがあるとパニックになったりもします。スケジュール通りに生活できないと混乱したり、自分の気持ちがうまく伝えられなかったりも。そんなウェンディですが、とっておきの才能があるのです。

SF映画『スター・トレック』へのアツい思いがほとばしりすぎて、大事件が起きるのです。おっとこれ以上は言えません。この続きは映画館で!手に汗握りながらウェンディを応援したくなるストーリーと感動が待っていますからネ!

「センサリーフレンドリー上映、どうだった?」感覚過敏やADHDなどがある人にインタビュー!

発達障害当事者へのインタビューの様子
イラスト:かなしろにゃんこ。
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上映試写会に参加していた、感覚過敏のある自閉症やアスペルガー、多動性が強いADHDのある人たちに、センサリーフレンドリー上映会について聞いてみました!

自閉症があり、音と光に過敏性がある大学生の土生雄介さんは、通常の上映では大きな音が耳に針を刺されたように感じてしまうので、耳栓を使ってボリュームを下げたりしながら鑑賞しているそうです。

加えて、「会場が真っ暗にならなかったので、字幕の文字も見やすかったです。普通の映画館では、スクリーンがまぶしすぎて時々目をそらさなきゃいけないけど、今回は大丈夫だった!」と笑顔。映画館のスクリーンで観るとやはりワクワクできるので、音や光に邪魔されず映画鑑賞できるのは最高だと感じたそう。

ADHDがある小林創さんは、小さい頃から落ち着きがなく、映画鑑賞中に声を出してしまったりするときがあったのだとか。「“声を出しても動き回ってもOK”という表示を見て、実際には座っていられたのだけれど、それだけでとても安心できた」といいます。

アスペルガー症候群がある杉本あいみさんは、映画についての感想を話してくれました。「中学生くらいまでは感情のコントロールが難しく、ヒステリックになってしまった点が主人公と自分が重なった。映画を観終わって、主人公の“叶えたい夢のためなら苦手なことも頑張れる”というのが、私自身の経験と重なって、自分の成長も感じることができた」

かなしろにゃんこ。自身、実は真っ暗&大きな音が鳴る映画館は苦手。上映中に具合が悪くなることもありしましたが、今回の「センサリーフレンドリー上映」を体験してみて「なんて快適なんでしょう♡」と感動です。この取り組み、どんどん広めたくなっちゃいました。

感覚過敏を研究する高橋先生(国立精神・神経医療研究センター)の“音と光の調整への助言”、その内容とは?

国立精神・神経医療研究センターの高橋秀俊医師へのインタビューの様子
イラスト:かなしろにゃんこ。
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センサリーフレンドリー上映を提案し、準備段階からかかわってきた児童精神医学、精神発達・生理学的研究を行っている高橋秀俊先生に、配慮したポイントを伺いました。

配慮ポイント
■大きな音を痛く感じる人も。全体的にボリュームを絞る
■突然の音や高音を不快に感じやすいので、該当シーンが始まる少し前からボリュームを絞る
■客席が暗いとスクリーンとのコントラストがきつく眩しく感じやすいので客席を少し明るくする。周りが見えることで不安感も和らぎやすい。

不快に感じるレベルの音には個人差がありますが、自閉症がある人は聴覚の過敏性をかなりの割合で併発していることが多く、また、高音域の音やサプライズ的な突然の音にも過敏です。

自閉症でなくても一定の割合で感覚の問題を有する人は存在しますから、今後こういう上映会が各地で行われるといいと思います、あらかじめセンサリーフレンドリー上映とアナウンスしてもらって理解してもらうと良いと思いますし、啓発に繋がることも期待したいです」

この映画や、上映会が持つ可能性って?日本自閉症協会会長の市川さんはじめ、自閉症に詳しい方々に伺いました!

日本自閉症協会会長の市川宏伸さん、副会長の今井忠さん、国立重度知的障害総合施設のぞみの園の日詰さん
イラスト:かなしろにゃんこ。
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日本自閉症協会会長の市川宏伸さん、副会長の今井忠さん、国立重度知的障害総合施設のぞみの園の日詰さんにも映画や上映会の感想を伺いました!

「館内の中に用意された特別な案内表示や、あと〇分で上映というプラカードが出ることも自閉症がある人には先の見通しが立って安心できるんです。発達障害がある子を育てている親御さんは、子どもが動き回ることを気にして映画館から足が遠のきがちです。でも、“動き回ってもOK”と大きく掲示してもらえたら気兼ねなく楽しめると思います」(市川さん)

「上映会でこうした配慮をしてもらえると、一般の人にもどういう配慮が必要かが自然に理解されるようになるのもいいですね」(今井さん)

「台本(スケジュール)があることで毎日を安心して過ごせるという特性がある自閉症の女の子が、脚本を書くという設定が、洒落がきいている。そこに込められた映画の思いも伝わる。自閉症の特性をよく分かっているなぁと思いましたよ」(日詰さん)

映画を通して、自分とは違う感じ方・とらえ方をする人がいることに気づけたり、上映会が広がることで自然とどんな配慮が必要かが理解されるようになる――『500ページの夢の束』という映画は、主人公が夢に向かって頑張る姿に心打たれるだけでなく、社会を変えていく一歩になるのかも!皆さんのお話を伺って、そんな大きな可能性があるんじゃないかな?と感じました。

『500ページの夢の束』絶賛上映中!センサリーフレンドリー上映も、東京・大阪で実施予定

ダコタ・ファニング主演「500ページの夢の束」ポスター画像
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ダコタ・ファニングが演じる自閉症のある少女ウェンディは「スター・トレック」が大好きでその知識なら誰にだって負けない。そんな彼女が「スター・トレック」の脚本コンテストに応募するためハリウッドまで旅に出るストーリーです。人生の目標のために、つまずきながらも彼女なりの一歩を踏み出す姿に勇気と感動をもらえます。

【公開日】2018年9月7日(金)~
【上映】東京・新宿ピカデリーほかで全国ロードショー

「センサリーフレンドリー上映」実施詳細

音や光に過敏さがある人へ配慮がある「センサリーフレンドリー上映」が、東京・大阪で各1回実施されます。

【実施劇場・日程】
<東京>新宿ピカデリー
2018年9月24日(月・祝)朝8:50の回
<大阪>なんばパークスシネマ
2018年9月22日(土)朝8:50の回

【上映環境】
・幕間CMの上映なし
・予告編の上映なし
・本編上映中の場内照明を通常より明るめに設定
・本編上映中の音量を抑えめに設定
・上映中の立ち歩き・声出しOK
・上映中のシアターへの入退場自由

【チケット販売】
・センサリーフレンドリー上映回のチケットはオンライン販売はありません
・2会場分とも、2018年9月15日(土)より各劇場窓口にて販売

【問い合わせ】
キノフィルムズ 03-6459-2671(受付時間:10:00~18:00/土・日・祝除く)

詳細は『500ページの夢の束』公式サイトにてご確認ください。
取材・文・イラスト/かなしろにゃんこ。
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