自閉症息子、19歳。変化した「オウム返し」が愛しくて――人と比べる病から脱した今感じる、息子の成長

ライター:立石美津子
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他の子と比べてしまうと「あれも出来ない、これも出来ない」となってしまいがちです。でも、自閉症の息子の過去と今を比べると、出来るようになったことがたくさんあります。

息子は5歳までほとんどしゃべりませんでしたが、19歳の今、「言葉がかなり進化している」と思うことがあります。

素直な幼児たち

『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。
私は長年、保育園で仕事をしていました。
保育園で働いていた筆者
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2歳児が自分で服を着ているのを見て「お兄さんになったね。お利口になったね」と言葉をかけると、「いえいえ、そんなことはないです」と否定する子は一人もいません。

素直に「うん」と返ってきます。褒められてとても嬉しそうな顔をします。それを見て「なんて可愛いんだろう」と思います。

自閉症息子の言葉も可愛い

現在の息子
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19歳の息子に「昔に比べたら、本当に態度が立派になったね」とシミジミと言葉をかけることがあります。

返ってくる言葉は…
最後のフレーズのオウム返しで「立派になった」、「お利口になったね」と言うと「お利口になった」と答えます。

本人は自分を評価して心からそう思っているわけではないでしょう。また心此処にあらずで適当に返事をしたのでしょう。私の言葉をそのまま真似ているだけ。そんなことはわかってはいるのですが…

親バカですが「素直で可愛いな」と思ってしまいます。

相手の心がわからないから謙遜しない

息子は他人が褒めてもきっと同じように答えるでしょう。

どうしてかというと…

息子は“自分と違う立場に立って考える”という心の理論が育っていないので、他人目線になることが出来ず、「肯定したら相手から『うぬぼれている』と思われてしまうのではないか?」とは考えないからです。“謙遜の美徳の文化”は頭の中に存在しません。
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「相手の気持ちをよく考えて」その言い方は子どもに届かない!?「心の理論」から考える声掛けの方法

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自閉症の息子に「相手の気持ち」をどう教える?人と関わりたい息子の学び方とは…?

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