息子曰く「パニックになるのも辛い、でもそれ以上に辛いのは…」

ライター:林真紀
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発達障害児がたまに起こしてしまう「パニック」。ひとたびパニック状態に陥ってしまうと収束までに時間がかかり、子ども自身も周囲の人も非常に体力気力を消耗します。まずは「パニックを起こさせないこと」が大切。でも起こしてしまったとしても、大切なのは、みんなが変わらず受け入れてくれることなのです。

パニックと自己嫌悪のくり返し

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発達障害を持つ息子は、成長と共に友達関係にいろいろと難しさが出始めました。

友達とのやり取りの中でパニックになってしまうことが多くなってきたのです。

子ども同士のからかい、喧嘩、冗談が通じないためにムキになってしまう息子にとって、友達とのコミュニケーションは全てがパニックの元になっていました。

パニックを起こした後の息子は、いつもひどい自己嫌悪に陥ります。

数年前に起こしたパニックも覚えており、そのときの状況を事細かに説明しながら

「僕はみんなに変な目で見られた」

「それなのに泣くのを止められなくて、辛かった」と訴えていました。

パニックは、そのまま子どもの自己嫌悪に繋がりやすいようです。

我が家では、常に子どもがパニックを起こさないように、環境調整に奮闘しています。

環境調整をすれば、子どものパニックは激減します。

それでも、周りの大人ができる環境調整には限界があります。

年に数回は派手なパニックを起こしてしまうのは、もはや避けようがありません。

しかし、最近、息子のパニックに対する捉え方が大きく変わってきました。

パニックになっても、それが自己嫌悪に繋がることが少なくなってきたのです。
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パニックの後に聞いてきたのは・・・

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幼稚園では先生方のはからいで、息子はパニックになる直前にその場を離れることができるようになってきました。

しかし、それでもパニックの元は想像できないところからやってくるものです。

ある日、「謝ったのにどうして許してくれないの」と言ってパニックになった息子。

教室中に響き渡る声で泣き叫び、いつまでたっても泣き止まなかったそうです。

慌てて先生が介入してくださったようですが、パニックで消耗しきった息子は、その後ぐったりと眠ってしまったそう。

しかしその後、息子は自己嫌悪に陥らなかったと伺いました。

それどころか、家に帰って来てから

「どうやったらあのときキーキーならずに済んだのか、ママ、教えて」

と私に聞いてきてくれたのでした。

辛かったのはみんなの白い目だった

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息子がなぜパニックになっても以前のように酷い自己嫌悪に陥らずにいられるようになったのか?

それは先生方も子どもたちも息子の特性を理解し、息子がパニックになった後も何も変わらずに受け入れてくれるからだと思います。

幼稚園では「発達障害」という言葉自体は使わなくても、息子の特性については子どもたちはみんな理解しています。

突然触られたら嫌だということ、しつこくからかわれると辛くなってしまうということ、冗談が通じにくいということ、先生がたがその都度、子どもたちに説明してくださっています。

ですから、息子がパニックのあとに落ち着いて戻ってきたら、子どもたちは何も変わらずに受け入れてくれているようです。

以前、息子と話していて分かったことがあります。

パニックになった息子が一番辛かったのは、コントロールできない自分をみんなが白い目で見ていたことだったそうです。

「パニック自体が辛いんじゃない、みんなの白い目が辛い」

これは、パニックを起こす発達障害児の多くが抱える感情なのではないでしょうか。

パニックを起こしても、「大丈夫、私たちは変わらず君が大好きだよ」と伝え続けること。

周囲が動揺せずにいること。

これは、パニックが起こらないようにすること以上に大切なのかもしれません。
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