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ことばと脳の相談室

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STからのアドバイス・知能検査WISCの正しい解釈1

言語聴覚士からのアドバイス
こんにちは。言葉と脳の相談室、言語聴覚士の木山です。

コロナ禍でも幸いなことに、フリーランスSTとして非常勤で入らせていただいている施設は通常運転。そして毎年4月から6月にかけては年中組さんの知能検査の嵐です。就学を前に教育相談に臨むお子さんは、多くの場合、ウェクスラー式知能検査・WISCの結果提出を求められます。

ただし、教育現場でこのWISCの結果ばかりが重視されることは、専門家として少々疑問に思うところです。

そこで今回は、教育現場でかなりの重要度をもたれているWISCの正しい解釈や利用方法についてお話したいと思います。長くなりますので、回数をわけますね。

WISCは「ウィスク」と読みます。初版から改定を重ねて、現在第4版。私たちは「ウィスク・フォー」と呼んでいます。実は海外ではすでに第5版が出版済み。日本では2018年に臨床実験が行われましたので、2021年あたり第5版が出るのではないかと予想しています。個人的にはとても楽しみです。と言いますのも、第4版でちょっとイマイチだなぁと思っていた下位検査のひとつが、第5版では別のものに置き換わるようなので、それがありがたいところです。

WISCで何がわかるのかというと「偏差知能指数(DIQ/Diviation IQまたはFIQ)」です。このIQという言葉が、クイズ番組などの影響で巷にずいぶん広まりました。そのためIQとはいわゆる「頭の良さ」のことである、と認識されてしまっています。IQが高い=頭がいい、といった解釈です。間違いではないのですが、かなりおおざっぱな解釈です。

正しく言うと、偏差知能指数(DIQまたはFIQ)というのは、同年代の集団の中で、どのあたりにいるのか、ということを見る指標になります。同年代の真ん中にくる人たちをDIQ=100とし、そこから±15は平均の範囲です。つまりDIQ115の人と85の人は、数値上ではともに平均という扱いになります。ちなみに約68パーセントの人がDIQ85−115の間に位置すると言われています。そして、このDIQが70以下だと平均以下、軽度知的障害であるとされてきました。

ここで疑問が出てきますね。DIQ85から70の間は?ということです。この範囲に属する人は「境界域(ボーダー)」と呼ばれています。知的障害ではないけれど、正常域より低い、といった感じです。

話は飛びますが、療育の世界にいて、この「ボーダー」に属する子どもたちがある意味もっとも大変なのではないかと思っています。DIQが70以下で、知的障害と診断されたお子さんは、ある意味手厚い支援が優先的に受けられますが、ボーダーの子どもたちは、真の意味では支援の対象なのに、数値上、知的障害ではないという理由から、支援の手が届かないといった現状が多くあるからです。実はこのボーダーにあたるお子さんが、当相談室にはもっとも多くおいでです。

今回はWISCの解釈がテーマなので、話を戻します。

標準偏差知能(DIQ)は、WISCでは「全検査IQ(Full IQ)」と表されます。すべての検査結果を総合したIQ、といった感じでしょうか。この全検査IQの下には4つの指標得点というものがあります。「言語理解」「知覚統合」「処理速度」「作動記憶(ワーキングメモリ)」です。それぞれの指標得点の下には複数の下位検査があります。

下位検査の結果をまとめたのが指標得点、その指標得点の結果をまとめたものが全検査IQです。全検査IQはすべての検査の平均、というふうに解釈いただいてかまいません。

でもみなさん、学生時代を思い出してみてください。
国語はすごく得意だけど、数学は苦手。そんな個人差、誰にでもありましたよね。その平均は80点でも、国語が90点で数学が70点という内訳を見たら、どこを重点的に勉強しなければならないか、はっきりします。

WISCも同じです。指標得点となる4つの領域もまた、真ん中を100として、±15は平均の値とされます。この4つの領域のうち、たとえば言語理解は100だったけれど、作動記憶が85より低くてボーダーだった、というふうに、結果がでこぼこしているお子さんは、とても多いです。それでもすべてを総合すると「全検査IQは85で正常域」というふうに出てきてしまうことがしばしばあります。そしてこの数値だけが一人歩きしてしまい、教育の場で支援を受けられない状態を招くことになりえます。

大事なのは全検査IQではありません。その下の指標得点や下位検査の結果です。ほかにも検査中の態度(椅子にちゃんと座っていられるか、集中して取り組めているか、こちらの指示を一度聞いただけで理解できるか、「わからない」「疲れた」とすぐ口にしていないか、等々)も、判断基準のひとつです。それらもすべて含めて、私たちは文章にして検査結果を提出します。

WISCを受けたことがあるというみなさん、もう一度検査結果を見直してみてください。数値よりも、そこに書いてある検査者のことばに注目してみてください。それが、教育相談の場で本当に訴えなければならないことです。

次回は指標得点の解釈についてお送りしたいと思います。






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