家庭・地域・学校のツナギ役ー放課後等デイ「アトリエほんちょう」

目黒区碑文谷の閑静な住宅街の一角にある放課後等デイサービス アトリエほんちょう」。相談支援の事務所や地域住民が集うスタジオなどが入居し、地域のコミュニティ拠点ともいえる建物に施設を構えています。「アトリエほんちょう」が大切にしているのは「地域・学校連携」「社会生活実践」「自己決定力」です。日々のプログラムやイベントはもちろん、指導員と子どもたち何気ない会話にも、この理念が垣間見られます。そんな「アトリエほんちょう」の取り組みを取材しました。

 

「アトリエほんちょう」の3つの柱

現在「アトリエほんちょう」に在籍しているのは24人(2018年9月取材時)。発達障害や知的障害、身体障害のある小学校1年生から高校3年生までの子どもたちです。学校も学年も、そして特性もさまざまな子どもたち。家庭や学校と連携して一人ひとりに寄り添っているのも特徴のひとつ。

「アトリエほんちょう」が大事にしている3つの柱は
■地域・学校連携
■社会生活実践
■自己決定力

相談支援員や、学校や学童の関係者、そして保護者を集めた「支援会議」を、子ども一人ひとりごとに実施し、子どもに関わる人たちが連携できるようにしています。また、日々の活動プログラムや、子どもたちとスタッフの関わりの端々に、この姿勢が垣間見られます。

地域・学校連携――子どもたちが地域の中で生きていることを実感できるように

子どもたちが、地域の方々と触れ合い、地域の中で生きていることを実感してほしい。一人ひとりを注意深く見守り、「今日はどれくらいできるかな」と考えて、サポートしています。

特別支援学校に通っている子どもたちは、学校が遠方であることも多く、地域の方との触れ合いが少なくなりがちです。ここでは、町会の方々の協力もあり、バーベキューやお祭りなどにも積極的に参加しています。町会のイベントに必ずやって来るのが、地域の子どもたち。そうした場で、子どもたちはお互いの顔や名前を覚え、その後の交流のきっかけにもなります。

もちろん、最初から何もかもがスムーズに運んだわけではありません。5年前の開設当初から、相談支援員や、学校や学童の関係者、そして保護者を集めた「支援会議」を、子ども一人ひとりごとに実施してきました。

今でこそ、知られるようになってきたこうした取り組みも、当初はなかなか理解されないこともあったそう。保護者とは利用前に3~4ヶ月かけて面談をし、気持ちを共有することも。学校関係者や地域の方には子どもたちが持つ特性を伝え、じっくり時間をかけて対話し続けてきました。それに加え、社会全体が発達障害をはじめとする、障害を理解しようという動きも、追い風になったといいます。

 社会生活実践――さまざまな実体験の中で子どもたちの成長を促すオリジナルメソッド「SLP(Social Life Practice)」

「アトリエほんちょう」が行う療育や各種プログラムの基盤にあるのが、オリジナルのメソッド「SLP(Social Life Practice)」。日本語で言うと“社会生活実践”。つまり、机上だけに留まらず、実際に外に出て、リアルな体験を積み重ねていくということです。

障害のあるなしに関わらず、想像することはできても、”いざやってみるとうまくいかない、失敗までは想像が及ばなかった”という経験があるでしょう。

たとえば、”買い物”もそのひとつ。「アトリエほんちょう」では、子どもたちが地域の商店街に買い物に行ったり、ときには商店街のお店でお手伝いをさせてもらう機会も積極的に作っています。子どもたちは実際の生活の場で、さまざまな体験を積み、その中から多くのことを学んでいます。

自己決定力――自分の意思で、自分の行動を決めていく

放課後、子どもたちは各々が通う学校から集まってきます

夕方近くになると、子どもたちが「ただいまー!」という声とともに教室に入ってきます。指導員が「おかえり!」と迎える様子は、まるで家族のよう。なかなか言葉が出ない子にはハイタッチでコミュニケーションします。

まずはみんなでおやつタイムです。この日のメニューは、前日にみんなで潰したふかしたさつまいもが入った甘い餃子。全員でテーブルを囲み、「いただきます」。

「牛乳飲みたい人は?」「チーズ追加したい人いる?」など、指導員は子どもたちに声をかけます。決して全員が全く同じものを食べたり、同じことをするのではなく、”決められたベースがありながらも、それぞれの意思を尊重している様子”がおやつの時間を見ているだけで伝わってきます。

この日はみんなで「カレンダーづくり」。色や使う道具も自分で決める

この日のメインプログラムはカレンダー作り。毎月翌月のカレンダーを作るプログラムを必ず組み込んでいるそう。時間の概念を理解するのが苦手な子が多いので、カレンダーを作る中で月や日付、そして曜日の概念を伝えているのだといいます。

カレンダー上部にはその月に合ったイラストが入り、その下に日付や曜日が入ります。見本を見て黙々と進められる子、手助けが必要な子、それぞれに指導員がつき、スムーズに進むようサポート。学年や特性も違う子どもたちなので、机上プログラムでは班分けして行うことも重要なポイントだそう。

手助けが必要な子どもには、指導員がその手を取って「月曜日、火曜日、水曜日…。1、2、3…」と声を出しながら文字を書き進めます。自分で好きな色を選んだり、使う道具ものりかグルーガンのどちらを使うかなど、子どもたちが自分の意思で作業を進めています。

毎日の掃除の時間も社会性やルールを学ぶ機会

掃除の時間になると、子どもたちはそれぞれが雑巾やほうき、掃除機を持って部屋を掃除していきます。「競争だよ!よ~いどん!」と声がけしたり、「ここから入り口まで掃いたら終わりだよ」と子どもが動きやすいように指示を出す指導員や、賑やかに掃除をしている子どもたちの楽しそうな姿が印象的でした。毎日行う掃除も、自然と社会性やルールを学ぶ機会となっています。

活動の最後はフリータイムです。子どもたちのリクエストで何をするか決めます。そこで登場したのは、なんとターザンロープ!吹き抜けの天井から吊るされたターザンロープは、子どもたちが大好きなアクティビティのひとつです。ターザンになり切った子どもたちの、笑い声やはしゃいだ声が館内に響きわたりました。

 

子どもたちが”なりたい自分”になるための支援を

「アトリエほんちょう」管理者・児童発達支援管理責任者の深町優さん

「子どもたちには自由に、のびのびと過ごしてほしい。自由であるということには責任が伴う。それをここでの生活で学んでほしいから」

これは、今回お話しを伺った「アトリエほんちょう」管理者・児童発達支援管理責任者の深町優さんの言葉です。その言葉通り、子どもたちは本当にのびのびと楽しそうに時間を過ごしていました。

放課後等デイサービスの限られた場所や人間関係の中だけではなく、地域社会の中でのさまざまな体験は、きっと子どもたちを大きく成長させてくれることでしょう。

そんな毎日の中から、子どもたち自身が“なりたい自分”を見つけることが、深町さんをはじめとするスタッフの願いだといいます。

こんな子どもでありたい、こんな大人になりたい。それは、他の誰でもなく、子どもたち自身が決めること。「アトリエほんちょう」の子どもたちは、毎日一歩一歩、思い描く自分に近づくための力をつけているところです。

撮影:鈴木江実子
取材・文:秋定美帆

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