障害のある子もない子も「混ざって遊べる居場所」にーー放課後等デイ・ジュニアサポートリンク

子どもの健やかな育ちに必要なものは何でしょうか?

放課後等デイサービス・ジュニアサポートリンクの代表・四ノ宮さんは「五感をフルに働かせて、たくさんの経験を通して体と心を育んでいくこと」だと語ります。

仙台駅から車で10分ほど。そこには大きな森と、広々とした保育園、そして放課後等デイサービスがあります。そして障害のある子もない子も混ざりあい、広大な敷地の中を、体をめいっぱい使って遊び尽くしていました。

 

子どもの健やかな育ちを保障する場をつくる

隣接の森やこども園で元気に走り回ってもいい。もちろん部屋で静かに過ごしてもいい

 

子どもが健やかに育つには、何が必要でしょう。

森の中を歩き、草木の放つ匂いから季節を感じる。
土の山を登り、滑り降り、どろんこになりながら駆け回る。
ときには、自分たちでおこした火に、すぐそこに生えていた竹を切り出して作った器をかけて米を炊き、仲間と分け合って食べる。

五感をフルに働かせて、たくさんの経験を通して体と心を育んでいく。大人たちは、近づきすぎず、離れすぎず見守っている。さらには、子どもたちが、障害のあるなしに関わらず混ざって遊べたなら――。

そんな場所が、仙台にありました。宮城県仙台市太白区にある放課後等デイサービス「ジュニアサポートリンク」は、2万平方メートルあまりの、大きな大きな保育園の一角を借りて、3年前に開かれました。

ジュニアサポートリンクの代表・四ノ宮さんは、障害の有無に関わらず、「子どもは五感をフルに働かせて、たくさんの経験を通して体と心を育んでいくことが必要」だと考え、この施設を開きました。そしてまた、「どんな子も一緒に過ごし、子どものころだけでなく大人になっても自然に、地域に根づいて暮らしていけたら」と言います。

小学生から高校生まで33人が登録、毎日約10人が利用しているこぢんまりした施設ですが、大きな特徴は、向山こども園の預かり保育の時間帯に、1時間半の交流時間を設けていること。ジュニアサポートリンクを利用している子どもが、「こども園で遊びたいな」と思ったら、自由に遊びに行くことができます。

向山こども園は、1956年に開かれた園です。約280人の子どもたちが通っていて、毎日約80人が14:30~18:30に、ゆうやけの時間と呼ばれる預かり保育を利用しています。その子どもたちが過ごす園舎や園庭に、ジュニアサポートリンクの子どもたちも遊びに行きます。

 

かまどで炊いたお米、おいしいね!園児の炊いた米を分け合って食べる

庭を抜け、隣接の向山こども園へ。園児たちとかまどを囲み、炊き立てのご飯を頬張って

 

交流の時間になり、ジュニアサポートリンクの子どもたちが園にやってくると、ちょうどこども園の園児たちがかまどに火をくべて、お米を炊いていました。園庭には竹林があり、園に常駐している大工さんが必要に応じて竹を切ってくれます。その竹を鍋がわりにし、調理室から調達してきたお米で、「オレたち焚き火の名人!」と胸を張る園児たちがお米を炊き上げたところだったのです。

「お米食べたい!」と言うジュニアサポートリンクの子どもたち。焚き火名人の男の子たちは、笑顔で「いいよー」とスプーンですくって、分けてくれます。炊き立てのご飯は最高においしい!一緒に火加減を見てみたり、ご飯を頬張ったり。障害のあるなしなど関係なく、混ざりあっています。

 

広い園庭で自由に遊ぶ子どもたち

向山こども園の広い園庭は、自由に駆け回ることができる。動物たちもたくさん!

 

大きな土の山がある園庭。季節ごとに重機を入れて、形を変えているんだそうです。春は入園したばかりの子どもたちも無理なく遊べるよう、低めの山に。夏になればウォータースライダーができるよう斜面をつくる。秋になったら、棒を登ったり飛び越えたりとアスレチック感覚で遊べるように高さを出したり。

羊やうさぎ、うこっけいなども飼われていて、赤ちゃんの誕生や成長の様子なども間近でみることができる環境です。

この園庭を、ジュニアサポートリンクの子どもたちも自由に駆け回ることができます。多動傾向がある元気いっぱいの男の子も、大声を出してもOK、体中使って遊び回れる場所があるので、ストレスを感じることも減ったよう。心が満たされるせいか、行動も落ち着いてきたそうです。

また、みんなで隣接する広大な公園を散策することもあります。季節によって移ろう草木の匂いを感じたり、起伏のある山道を歩いているうち、自然と体づくりもできてしまいます。片麻痺のある子も、ここに通うようになって、だいぶ歩く力がついたといいます。

 

「いらっしゃい!」本格的なお店屋さんごっこに、園児たちも大喜び

こども園でのお買い物ごっこの様子。木のお金でお買い物ができます

 

この日は、ジュニアサポートリンクの子どもたちと、こども園の園児が、園の大工さんと一緒に作った屋台を使って、お店屋さんごっこをしていました。商品のひとつのシュリケンは、ジュニアサポートリンクの運営母体がやっているショートステイを利用する成人の女性が折ったもの。折り紙が大好きで、家でもショートステイでも折るので、かごに山盛り!それを、子どもたちがキラキラした瞳で見つめます。

他にも、子どもや職員が一緒につくった金魚、折り紙のコマやお菓子など色とりどりの商品が並びます。「いらっしゃい!」という掛け声とともに、こども園の大工さんが枝を1センチ幅に切ってくれた「木のお金」でのお買い物が始まりました。園児たちが次々にやってきます。

お店屋さんごっこでは、園児たちとの自然な交流だけでなく、お店屋さんごっこを通して、遊びながら、買い物の仕方や売り方、お金の計算なども学ぶことができます。遊びを通して、子どもたちに必要なさまざまな力を育んでいける。ジュニアサポートリンクは、そんな場所です。

 

部屋で静かに過ごすのもいい。それぞれのペースで自分らしくいられる場所

学習室・食事室など用途別の部屋や、荷物ケースも設置。分かりやすく工夫された室内

 

放課後、学校からジュニアサポートリンクにやってきた子どもは、自分の顔と名前が貼ってある箱に荷物を入れます。たくさんある部屋ごとに、何をする場所なのかも決まっています。荷物をしまったり、遊具で遊ぶ部屋。おやつを食べる部屋。勉強をしたり帰りの会をする部屋。

子どもたちは、おやつの時間まで勉強をしたり絵をかいたり、交流の時間になったら向山こども園へ行ったりします。

高校生ぐらいになると、ジュニアサポートリンクの部屋で静かに過ごしたり、庭に設置されているスラックラインで1人で遊ぶほうがいい子もいます。

帰りの会では、一人ひとりが今日楽しかったことを発表します。こども園で過ごした子どもたちは口々に「お店屋さんごっこが楽しかった!」と笑顔で発表。こども園には行かなかった高校生の男の子は「スラックラインが楽しかったです」と満足げです。

ここでは、子どもたちがそれぞれのペースで過ごすことができるのです。

 

「いずれは、卒業生たちに園で働いてほしい」。代表、副園長らの想いとは――

<右>ジュニアサポートリンクの代表・四ノ宮さん<左>向山こども園の木村副園長 

 

向山こども園とジュニアサポートリンクは、運営母体は別です。ジュニアサポートリンクの代表・四ノ宮さんは、自身のお子さんも通い、その理念や環境の素晴らしさに共感していた向山こども園とともに、どんな子どもも健やかに育っていける場をつくりたいと考えました。そして、その思いは、向山こども園も同じでした。

その思いを抱き、3年前に園の一角でジュニアサポートリンクを開いてから、園との交流をすすめてきました。2018年度からは、ゆうやけの時間でも交流が始まり、より連携を深めています。

こども園とジュニアサポートリンクの職員は、全員インカムを持ち、広い園内で遊ぶ子どもたちをともに見守ります。ゆうやけの時間での保育・育成についても、2週間に1度行うミーティングなどを通して細やかに連携しています。

毎日の保育・育成だけでなく、季節の行事も一緒に行います。8月25日にこども園で開かれる夏まつりは、地域にも開かれた盛大なイベントだそう。ジュニアサポートリンクの子どもたちもお祭りのときに屋台を出す予定です。

こども園では障害のある子どもも受け入れています。こども園を卒園後、ジュニアサポートリンクに通っている子どももいます。通いなれたところに、小学校に入学後も過ごすことができる。ここは、心の安全基地のようだなと感じました。

「卒園児がジュニアサポートリンクに通うというだけでなく、将来的にはリンクの卒業生がこども園の職員として働いてもらえたらと考えている」と言う向山こども園の木村副園長。こども園は広大なので、清掃も大変です。保育士には保育士の仕事に集中してもらいたいという考えから、現在は園児の保護者を雇用して清掃をしてもらっているそうですが、ぜひ卒業生たちにもそのスタッフに加わってほしいのだそう。

「卒業生たちは仕事についても、途中でリタイアしてしまうことも多い」と、ジュニアサポートリンクの代表・四ノ宮さんは言います。子ども時代から過ごしてきたこども園でなら、リタイアせず無理なく働けるんじゃないか。子ども時代から大人になっても、ずっとつながっていられる居場所がつくれたら――。

「心あるこども園のスタッフと手を取り合いながら、そんな未来に向けて進んでいきたい」と言う四ノ宮さん。子どもを真ん中に、こども園と放課後等デイサービスとで最良の育ちに向き合う。その実践は、きっと地域に根ざし、そして広がっていくのだろうと思えました。

撮影: 小林啓樹(OPEN TOWN)

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