「僕に分かる言葉でしゃべってほしい」 よく話せる息子がクラスでは孤立してしまう理由

ライター:林真紀
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発達障害のある息子はとてもよく喋る子です。難しい話をするので、まるで大人と話しているかのような感覚になります。ところが、息子がある日言ったのです。「僕に分かる言葉でしゃべって欲しい」と…。その言葉の真意とは?

言語能力は高く見える発達障害の息子。でもその困りごとは意外にも、

発達障害のある小学1年生の息子はとにかくよくしゃべる子です。興味のあることはあれこれと調べ、それについて一心不乱に話をしてくれます。

息子は、大人が話すような難しい話し方をすることが多いため、一見すると言語能力は高く見えます。けれども息子は、幼稚園時代はずっと言語療法を受けていました。それは、自分の言いたいことを一方的に話すことはできても、相手の話を聞きながら、適切な返答をすることが苦手だったからです。

言語療法のかいあって、小学校に入る頃には人の話を聞いてきちんと応答する努力ができるようになりました。ただ、意識しないで自然にふるまえるようになったわけではなく、あくまで常に話し方を意識し続けることが必要のようです。

私から見ると、友達とのコミュニケーションも特に問題なくできているように思えました。けれどもある日、私と学校の友達について話しているときに、息子が衝撃的なことを言ったのです。

友達は何を話しているのか全然分からない。僕の分かる言葉で話して欲しい。

先生と話せるのに、クラスメイトの輪に入れないのはなぜ?

友達の話している言葉が分からないという息子の言葉に驚いて、

「分からないってどういうこと?だってママとは普通に話してるでしょう。ママの言葉は分からないの?」

と聞いたところ、息子はこう言いました。

「ママや特別支援の先生たちの言葉は分かるんだ。でも、クラスの友達がワイワイやってる言葉は分からないんだよ…どうしてなんだろう…」

息子の言葉を聞いて私はピンと来ました。

私や特別支援の先生は、息子に向けて直接言葉を発します。一対一の慣れたコミュニケーションは、息子にとっては話題の推測もしやすく、理解も容易なのでしょう。けれども、クラスの子供たちがワイワイとみんなで騒いでいる言葉は、息子には推測のしづらい言葉なのです。

何が飛び出してくるか分からない、どういう流れかもつかめない。そのような中でのコミュニケーションは、日本語であっても息子には理解がしづらいものだったのです。

かつて私自身も、初めて海外で暮らしたとき、同じような経験をしたことを思い出しました。先生や特定の大人が話す外国語は理解できるようになっても、クラスメイトたちがワイワイ盛り上がっている場にいくと、途端に何を話しているのか分からなくなってしまうのです。私はクラスメイトたちがワイワイ盛り上がっている場はずっと苦手でした。気付いたら話題から取り残されていて、どのタイミングで会話に入っていけば良いかまったく分からなかったのです。

もしかしたら息子にとって、大人数の中でのコミュニケーションの言葉は「外国語」に近いのかもしれない…!と私はこのとき気付いたのでした。

日本語が話せる=コミュニケーションができる、という先入観を捨ててみる。

息子の言語能力を評価する際に、「これだけ日本語が話せているのだから、コミュニケーションもできている」という先入観があったことに気付きました。

私とこれだけ話が出来ているということは、他人とコミュニケーションを取ることだって難しくないはずだ…言語能力が高いのだから、他人の話もきちんと理解できているはずだ…私はこんな思い込みを常に持っていたのです。

けれども、息子にとって慣れていない友達同士や、対多数との予測不可能なコミュニケーションは、「外国語を聞く」という感覚に近かった。だから、息子はいつも仲間の輪に入ることに大変な疲れを感じていたのです。

「この子は今日は一日、外国語の海の中に身を置いていたのか」という気持ちで接すると、息子が帰宅後にぐったりと疲れてしまうことにも、心から寄り添えることができるようになりました。

せめて、私や特別支援の先生方だけでも「分かる言葉」を息子に投げかけることができたら。いつも安心できるコミュニケーションの相手でいることができたら。

息子は自信を失うこともなく、さらにコミュニケーションの芽を育む助けになれるかもしれません。

私はまた一つ、自分が担える大切な役割に気づくことができました。息子との日常の会話、その一つひとつをこれまで以上に大切にして、日々歩んでいこうと思っています。

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