発達性協調運動障害の診断と発達障害の関係は?
診断基準ごとの違い
現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)による診断基準があります。
現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。
発達性協調運動障害における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動障害は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。
『ICD-10』の診断基準では、明らかな精神遅滞(知能指数70以下)の場合、運動の困難さ、不器用さはその精神遅滞が原因によるものと判断されます。一方で精神遅滞のない広汎性発達障害の場合、発達性協調運動障害と併発し、両方の診断が下りる場合があります。
『DSM-5』の診断基準では、発達性協調運動障害は神経症群に入るため、精神遅滞や知能指数との関係ではなく、純粋に発達性協調運動障害の症状に当てはまるかどうかが重要になります。
※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。WHOでの公表・承認を受けて、各国では翻訳やICD-10/11 変換表の作成、疾病分類表、死因分類表の作成などの作業が進められ、審議、周知などを経て施行されていきます。ICD-11への改訂によって分類コードが変化すると、書類上で要求されるICDコードが変わったり、疾病概念やカテゴリー、名称や診断基準も変更になる可能性もあります。
現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。
発達性協調運動障害における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動障害は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。
『ICD-10』の診断基準では、明らかな精神遅滞(知能指数70以下)の場合、運動の困難さ、不器用さはその精神遅滞が原因によるものと判断されます。一方で精神遅滞のない広汎性発達障害の場合、発達性協調運動障害と併発し、両方の診断が下りる場合があります。
『DSM-5』の診断基準では、発達性協調運動障害は神経症群に入るため、精神遅滞や知能指数との関係ではなく、純粋に発達性協調運動障害の症状に当てはまるかどうかが重要になります。
※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。WHOでの公表・承認を受けて、各国では翻訳やICD-10/11 変換表の作成、疾病分類表、死因分類表の作成などの作業が進められ、審議、周知などを経て施行されていきます。ICD-11への改訂によって分類コードが変化すると、書類上で要求されるICDコードが変わったり、疾病概念やカテゴリー、名称や診断基準も変更になる可能性もあります。
発達性協調運動障害と広汎性発達障害(アスペルガー症候群)との関係
広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と発達性協調運動障害を併発することは少なくありません。『ICD-10』の診断基準では、両方の診断基準を満たしている場合、両方の診断が下ります。
対人関係において、認知されたものを統合する際に混乱が起きコミュニケーションがうまくとれないというアスペルガー症候群の特徴が、運動機能面においても現れているのではないかと検討されています。
対人関係において、認知されたものを統合する際に混乱が起きコミュニケーションがうまくとれないというアスペルガー症候群の特徴が、運動機能面においても現れているのではないかと検討されています。

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発達性協調運動障害と知的能力障害との関係
『ICD-10』の診断基準では、子どもが知的能力障害を持っている場合、その知的能力障害のため運動能力が損なわれているとの見なされる場合もあります。
しかし、その運動が知的能力障害を考慮してもなお、不器用であったり、不正確である場合は、知的能力障害と発達性協調運動障害の両方の診断が下ります。
しかし、その運動が知的能力障害を考慮してもなお、不器用であったり、不正確である場合は、知的能力障害と発達性協調運動障害の両方の診断が下ります。

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発達性協調運動障害とADHD(注意欠如・多動性障害)との関係
ADHDのある子どもがよくころんだり、物にぶつかったりしてしまうのは、ADHDによる注意散漫や衝動性に原因があるのか、それとも発達性協調運動障害によってなのかを注意深く観察する必要があります。
子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動障害だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。特にADHDの場合、発達性協調運動障害との併存確率は50%と非常に高いです。
発達性協調運動障害とADHDは併存しやすいため、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。
子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動障害だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。特にADHDの場合、発達性協調運動障害との併存確率は50%と非常に高いです。
発達性協調運動障害とADHDは併存しやすいため、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。

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発達性協調運動障害について相談できる機関
発達性協調運動障害について相談できる機関
子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、まず以下の3つのどれかに相談に行きましょう。
保健センター
市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。
子育て支援センター
子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。
児童相談所
都道府県ごとに設置されており、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれる場合もあります。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると、24時間365日いつでも児童福祉に関する相談を受けてくれます。
発達障害者支援センター
発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより見ることができます。
発達障害者支援センター 一覧
ここでは、相談支援と発達支援を行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。
発達性協調運動障害への支援を受けられる機関
医療機関
上記の相談先で紹介してもらった医療機関を受診しましょう。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。
民間療育機関
上記の相談先で紹介してもらった療育機関で療育を受けましょう。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用は様々です。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。