発達性協調運動障害の支援・治療方法

作業療法

作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。

発達性協調運動障害のある子どもは、一つ一つの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。
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作業療法士の仕事や資格について、発達障害の人にOT・作業療法士が行う支援について紹介【専門家監修】

東京小児療育病院 みどり愛育園
http://kakufuh.com/tokyo_s/consultation/rehabilitation_ot.shtml

理学療法

広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。

特に運動による理学療法が発達性協調運動障害の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。
日本理学療法士協会
https://www.japanpt.or.jp/aboutpt/physicaltherapy/

家庭でもできること

家庭でもできることは多くあります。家庭で様々なサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。

あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。
家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。

・手先がうまく使えていない

・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない。

・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない。

・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い。
 
上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、

・手の筋肉の動きをうまく制御できない

・手元に注意が向いてない

・手の動きと視覚の情報の連携が取れていない

などが挙げられます。
これらを踏まえた上で、手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。
具体的に家庭で出来ることとしては、以下のような取り組みが考えられます。

・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えれれるようになるのかを学ぶ。

・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろんな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。

・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶ。
ここで紹介した方法はあくまで一例であり、他にも様々な方法があります。

また、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。
乳幼児期の感覚統合遊び
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木村 順 (監修)
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まとめ

発達性協調運動障害は、一つ一つの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、ただの「不器用な子」ですまされる場合も少なくありません。

しかし、発達性協調運動障害のある子どもが見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。

たとえば、運動能力を中心とした遊びは、子どもたちの社会で周囲との関係を構築するために重要な役割を果たします。また授業での運動課題に取り組む場面では、その子ども自身の評価を著しく下げることがあるかもしれません。

子どもが発達性協調運動障害かどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。お子さんが楽しめるペースや方法で、出来ることを少しずつ増やしていけば、自信にもつながり、学校生活へも良い影響が出ることでしょう。
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