軽度知的障害とは?軽度知的障害の特徴と判明しやすい時期、本人に合った学習・支援方法まとめ(2ページ目)

軽度知的障害の疑いを感じたら?

自分の子どもには軽度知的障害があるかもしれない、と疑問を持った場合、いきなり専門医を自分で探すのは難しいですよね。まずはお住まいの地域にある身近な相談機関や窓口に行ってみましょう。子どもか大人かによって、相談先が違うので、以下を参考にしてみてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童相談所
・発達障害者支援センター など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業生活支援センター
・相談支援事業所 
・知的障害者更生相談所 など

相談機関では、知的障害のことだけでなく子どもの発達全般について相談することも可能です。自宅の近くに相談機関がない場合には、電話での相談にものってくれることがあります。先に挙げたような検査は、機関によっては無料で受けられる場合もあります。

軽度知的障害ならではの戸惑いや合併症などの悩みって?

ここでは、軽度知的障害ならではの戸惑いや合併症などについて考えていきます。軽度知的障害は幼少期に気づかれにくく、概ね小学校高学年以降の時期に気づかれることが多いとされています。また障害の症状が基となって様々な二次障害や合併症を起こすことがあります。

■軽度知的障害を受け入れることへの本人・保護者の戸惑い
思春期以降に気付かれることが多い障害であるがゆえに、本人や保護者が障害を受け入れることに戸惑いを感じることがあります。勉強についていけなかったり、対人関係が上手くいかなかったりなど、周囲から努力不足と責められ、また本人は「自分はダメだ」などと悩み、場合によっては相談もできずに自尊感情が低下することもあります。

また、保護者も子どもに対しての接し方や周囲の理解や環境のつくり方、また子どもの将来のことなどの不安要素によって戸惑いを感じることがあります。

息子の経歴を簡単に記載します。小学校、中学校、高校ではただただ勉強が出来ない程度の子供と思っていましたが
高校卒業時に就職活動、卒業試験、普通免許の取得等の活動をしていましたが思うようにいかずに精神的におかしくなり、引きこもるようになりました。また、持病にてんかんをもっており、発作の回数が増えて主治医に相談したところ、専門の病院を紹介され、診察を受けたところ、18才で初めて知的障害であることがわかりました。

出典:https://h-navi.jp/qa/questions/41036
■周囲への理解をどうやって得ていく?
思春期以降に障害が明らかになるケースでは、以前から症状がありながらも診断を受けていなかったケースと、はじめて症状が明らかになってきたケースがあります。前者の場合は、症状がある程度みられていたため家族・親戚や学校なども、それぞれで既に本人に合わせた対応をしていることもあります。改めて話し合い、接し方や合理的配慮を考えていく必要があります。一方で後者のケースの場合は、まずは周囲への理解を得ていかなければならないため、「何からどうすればいいのか分からない」など、戸惑うことがあります。

■二次障害や合併症が原因で問題行動が起きているとき
軽度知的障害は、その特性が基となって周囲とのコミュニケーションが上手くいかないことや、不適合な環境やストレスなどが原因となって、行動面での問題が生じたり精神面での障害が生じてしまうリスクもあります。

行動面の問題としては、例えば自傷行為、徘徊、他人への攻撃、喧嘩を仕掛ける、あるいは不登校やひきこもりなどがあります。場合によっては軽度知的障害の症状よりも二次障害の症状が目立って表出する場合もあります。また最近は軽度知的障害と反抗挑戦性障害の関連性にも注目が集まっています。行動の原因は個別的であるため一人ひとりの根幹原因を見極め、調整や変更などを行うことが求められます。
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軽度知的障害との向き合い方・学校等での配慮のポイント

■軽度知的障害との向き合い方
保護者をはじめ本人にとっても、軽度知的障害を受け入れるには時間が必要です。無理に急いで受け入れようと焦っても心理的な負担になりかねません。障害の理解や受け入れていくスピードは人によって違いがあり、その人のペースに合わせて支援が必要です。

最初のうちはショックや葛藤が生じることがありますが、本人や周囲の人が、それぞれのペースで身体的・社会的・心理的に障害を受け入れていくまで、焦らず時間をかけて関わり合うことが大切です。困った時は発達障害者支援センターや専門医など、専門家に頼りながら落ち着いた対応を心がけましょう。

■合理的配慮という観点
合理的配慮とは障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。

2016年4月1日に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称、「障害者差別解消法」)により、行政機関や事業者には、障害のある人に対する合理的配慮を可能な限り提供することが求められるようになりました。

本人を取り巻く周辺の人が合理的配慮を考える上での重要なポイントは、「その人が具体的にいつ、どんな場面で困っているのか」「その困りごとを解消するための適切な配慮は何か」の2点です。これらを踏まえながら学校や職場などの合理的配慮を検討・実施することが大切です。合理的配慮に関しては次のリンクを参考にしてみてください。
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■問題となる行動の背後にある原因の探り、解決を目指していく
問題となる行動をとる子どもを「困った子だ」といって疎んじたり叱ったりするのではなく、その子ども自身が何に「困っている」のか、その子が問題となる行動をとらざるを得ない原因は何なのかを理解しようとすることが大切です。

問題となる行動をとる子ども自身、その行動がよくない行動だということ理解している場合も少なくありません。

それでもなお、数少ない自己主張の方法のひとつとしてその行動をとっていたり、環境的な要因からの心理的・身体的なストレスがその背景にある場合があるのです。学校・家庭の環境をもう一度見直すことや機能分析という枠組みでの理解が有用となります。ひとりで抱えこまず、相談機関などの支援を受けるなどして解決に向けた方法を探っていきましょう。
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軽度知的障害でも療育手帳は取得できるの?申請方法もご紹介します

療育手帳とは知的障害者に発行される障害者手帳で、知的障害のある方が一貫した療育・援護を受けられるよう、さまざまな制度やサービスの利用をしやすくすることを目的にしています。

療育手帳の対象者は?

・おおむね18歳以前に知的機能障害が発症し、それが持続している。
・標準化された知的検査によって測定された知能指数(IQ)が75以下。(70以下に規定している自治体や、70以上でも発給する自治体があるなど地域差があるので注意が必要)
・日常生活に支障が生じているため、医療、福祉、教育、職業面で特別の援助を必要とする。

上記の目安に従い、18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所において知的障害と判定された方に対して交付されます。

療育手帳の障害の程度と区分

障害の程度などによって、交付される療育手帳の区分がわかれ、受けられるサービスの適用範囲が違ってきます。各自治体が判定基準に基づいて、知能検査による知能指数(IQ)と日常生活能力などから、知的障害の程度を総合的に判断し、療育手帳の区分を決定しています。

軽度・中度・重度・最重度といったように知的障害でも4つの程度に分けられます。その分け方に関しては1章で図を用いながら紹介しました。

療育手帳の区分は基本的に重度「A」と重度以外の中・軽度「B」の2つの区分にわけられますが、自治体によって区分の分け方もより細かく区分している場合などがあり、さまざまです。

より細かい区分は自治体によって、また本人の年齢によって変わりますが、おおよそ以下の基準を目安に判定されています。ただし、これらは判定基準の一部分について例示したものであり、最終的には自治体の独自の基準によって区分が決められます。

■重度(A)
 ・最重度
 ・重度

■軽度(B)
 ・中度
 ・軽度(B/B2/4度など)

療育手帳の申請方法は?

療育手帳を申請に関する細かい点はお住まいの自治体によって異なりますので、申請される際には福祉担当窓口にお問い合わせください。

■申請に必要な書類
・療育手帳交付申請書:自治体の福祉事務所・福祉担当窓口、またはPDFのダウンロードや郵送での取り寄せができる場合もあります。
・写真:サイズなど規定が決まっている場合があるので確認しましょう。その場で撮影してくれる自治体もあるようです。
・印鑑
・その他添付書類:通知表、成績証明書、医師による診断書などが必要な自治体もあります。

詳しい申請の流れは以下の記事をご参照ください。
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まとめ

軽度知的障害がある方は日常生活を送る上では支障はなく、学校での授業など知的能力を問われる場合にならないと分からないことがあります。ですので、多くの方は小学校高学年以降に気付かれることが多くなります。

学校の勉強に追いつけない、友達とのコミュニケーションが上手くいかない、友達関係も上手くいかないなど、周囲からの否定的な評価を受け、年齢を追うごとに自然と困難な場面に出会うことが多くなるのも一種の特徴です。学校で受けた、そういったストレスが家庭で爆発してしまうケースもあります。また、その逆のケースもありえることです。

軽度知的障害があっても、本人の認知特性に合った学習機会をつくれば、言葉や計算の力を伸ばしていくことができます。具体的な経験を積める機会を増やしたり、時間や空間などの抽象的な概念は本人の経験に結びつけて説明をするなどしてみましょう。

また、スマートフォンやアプリを活用するなど機器の利用によって補える場合も多いです。本人の自己肯定感を低下させないよう合理的配慮によって学習や社会に自信を持って参加できるような支援を行なっていきましょう。
知的障害のことがよくわかる本
有馬 正高
講談社
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