ASD(自閉スペクトラム症)と応用行動分析(ABA)早期療育の歴史

ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもが抱える社会生活上の問題を解決するために、ABAの手法を用いた早期療育(ABA早期療育)が開発され、これまでさまざまな研究が行われてきました。

1987年、UCLA(カリフォルニア大学ロスアンゼルス校)のロヴァス博士の研究チームは、2、3歳時の自閉症幼児19名に対して、ABAの手法を用いた療育を週40時間2年以上に渡って実施。その結果、19名中、12名が小学校入学前に知的に正常域に達し、そのうち9名は通常の学級で教育を受けていました。その後の研究で、9名中8名は13歳になった時点でも通常の学級でサポートなしで過ごせていると報告されています。

この研究は、軽度または中度の知的遅れのある自閉症児の社会的自立のサポートに、ABAの早期療育が有益であることを明らかにしました。その一方、週10時間以下の療育を施したグループでは有意な結果が出ず、短時間での療育では結果を出すことが難しいということも示しました。とはいえ、週数十時間の療育を家庭で行うことは、専門家の確保や経済面でも多くの困難を伴います。

最近の日本の研究では、週5時間程度の個別のABA療育を早期から実施した群は、ほかの療育を行った群と比べ、言語発達がより改善されていたという結果も報告されています。

なお、北米やカナダの一部ではABA早期療育の公費化が行われていますが、ほかの地域での公費化の動きは財政面でも難しいという現状があります。

ABAの自閉症の早期療育に関する最近の方向性としては、PRT、ESDM、JASPERなどといった発達心理学の知見をとりいれた発達行動的アプローチも行われるようになってきています。

まとめ

米国の心理学者、スキナーの行動分析学の考え方を応用し、社会生活上の問題を解決しようと生まれた応用行動分析学(ABA)。本人の特性だけに原因を求めるのではなく、個々の「行動」に対してアプローチし、環境や働きかけを変えることで、社会生活の中での困った行動を解決し、暮らしやすくしていこうとするものです。

発達障害のある子どもと関わる大人にとっては、どのような環境を整えればよいか、その時々でどう子どもに対応したらよいかを知るヒントになる考え方だと言えます。ABAの方法を知ることができる本や保護者向けのセミナー、ペアレント・トレーニングを提供している団体もあるので、興味のある方はABAを取り入れてみませんか。
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