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小さな芽③ 補いあって育ちあう

小さな芽
保育士として保育園に勤務していた時のこと。筋ジストロフィーを4歳で発症したお子さまがおられました。一緒に走って一緒にトンネルをくぐったりジャングルジムによじ登ったりしていた友達が走れなくなり、登れなくなり、できないことが増えてきました。ねえ、なんでなの。なんではしれないの。K君どうしちゃったの。
素直な子供たちの疑問にどうこたえるかを考え、病気のことをきちんと伝えていこうということになりました。筋ジストロフィーがどんな病気かということ、これからどんな風になっていくかということ、いつか一緒に過ごせなくなるかもしれないということ。真剣に聞いていた子どもたち。子どもの方から出てきた言葉は「僕らが助ければいいんや。みんなでお手伝いする。」というものでした。お母様に保育園に来ていただき、訓練をしているところを見せてもらい、どんなことに気を付けるのかを教えていただきました。
次の日から装具を付けて立つ練習を保育園でも行うことになりました。必ず大人がいるときに行うこと、装具には触らないことなどルールを決めました。
1・2・3・4・・・子どもたちの元気な声が響きます。がんばれK君!
K君もニコニコして練習に取り組みました。普段はいはいで移動するK君はいつも友達に囲まれ、おしゃべりしながらゆっくりゆっくり移動しています。お椅子に座ると何も言わなくても誰かがコップをもってきて、お茶が入れられ、右手に持ち手を握らせています。あとはK君ががんばってコップを持ち上げ、一人で飲みます。そう、できるところは自分で。こぼれてしまいそうで、かわいそうになってしまい大人がつい手出ししようとすると、「先生、K君はちゃんとできるよ。」と叱られてしまいます。できないところは助ける。できるところは尊重する。当たり前のようで当たり前にできない本当の援助というものを幼い子どもから教えてもらいました。
みんながそだつ。みんなでそだつ
育ちあい、補い合える社会創りをしていきたいです。


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