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事業所内研修

教室の毎日
2024,05,23

本日は、ライズししがや第一教室の職員が集まって『神経発達症(発達障がい)当事者の視点』というテーマで研修を開催しました。支援者からの視点や家族の視点の研修はよく行われますし、書籍も多くあります。しかし、当事者からの視点というと、なかなか接する機会がありません。ですが、日々支援を行う中ではとても大切な視点となります。今回は、ユニバーサル・マナーや強度行動障がい支援者研修・ABA療育の観点などで実施されている内容を活用して進行しました。


まず始めに、当事者の言葉として有名な方々の言葉いくつか紹介しました。例えば、『お店に車いすユーザーの方が来た時に店員さんや周囲の方は、車いすのまま座れるように既存の椅子を移動させようとします。しかし、車いすユーザーの方の中には、除圧や蒸れ対策で車いすから既存の椅子に移りたい方々がいる』という話です。

この話をすると、多くのスタッフが「今までの自分だったら、良かれと思って何も聞かずに既存の椅子を避けていた」とハッとします。このように、実際の当事者の方へお話しを伺うと、支援者と当事者の間に乖離があることに気づきます。




当事者の声を紹介した後に、実際に3つの体験を行いました。




【手順書と感覚】

この体験では、折り紙を使用します。まず軍手を着用したまま折り紙を折ります。この体験の意味として、神経発達症の方々は、常に手袋を1~2枚着用した感覚だという当事者のお話しがあります。実践中も多くのスタッフから「難しい」という声があがっていました。また、折り紙では突如『熊を折ってください』という課題を提示し→見本の提示→手順書の提示→一緒に折り進めるという手順で実践していきます。

この実践では、“分からない”を体験した上で、「私も分からないから、一緒にヒントを見よう」と声掛けをしていくことでの『“分からない”を失敗とさせない事』を体験しました。支援者側が“できる”と定めた段階で達成しなかった場合に、「どうしてできないの」と言ってしまったり、他のできている児童と比べてしまったりという事が起こります。しかし、それは職員側の“できる”の見極め不足であることが多いです。その際に、なんと言われると萎縮するのか?支援者からのどういった声掛けなら、安心して次の挑戦をできるのか?という内容のお話しを実践を通しておこないました。




【騒がしい環境での聞き取りや読み取り~情報過多~】

この体験では、BGⅯとなる音楽が流れる中、大声で指示を出すスタッフと直接名前を呼んで話しかけるスタッフ・そして画面に映し出される文章の読み取りという4つを同時に実施し、何の情報を受け取りやすく、何が受け取りにくいのか?という実験です。オーバーに表現していますが、全ての情報源はある一つの指示を出しています。しかし、情報過多の状況で全てを理解した方はいませんでした。聴覚過敏や視覚過敏がある当事者の方々には、同じように感じている事が多い状況です。

この体験を通して、『同じ指示でも、複数人(複数の方法)で伝える事は混乱につながる事』等に気づきました。







【わかりづらい指示】

この体験では、最初にアラビア文字での指示を出しました。「分からない」と答えるスタッフがほとんどの中、「早く行動してください」と急かす声掛けを行います。これを繰り返す事で、指示をされた側は不安になったり、不快な気分になったりします。そうして部屋から出る,拒絶するというような行動へとつながります。ただ不快になり、「なんの体験なのか?」と感じる方が多いですが、これは当事者の方々が普段から感じておられる世界を分かりやすくした例となります。自分とは違う言語やジェスチャーで詰められても分からない。さらにそこで怒られたり、急かされるともっとわからなくなります。この体験では、「“指示が通らない”ではなく、当事者との中に共通言語が成立していない事での不安」に気づきます。




更に次の段階で、指示は英語になり理解できる割合が高くなりますが、タイマーをセットし急ぐ状況を作ります。そうすることで、本来であれば理解できるはずの指示が理解できなくなります。この段階では、「本来ならわかる事を支援者側が、適切な態度と時間を提示しない事での理解の難しさ」に気づきます。次に、日本語の指示となりますが、全てひらがなの指示を出してみました。日本語ということで、多くの方がホットしていますが、全てひらがなはとても読みづらいものでした。最後に、通常触れている形の文章に戻し、さらに行動手順をイラストで示します。この段階では全員が正解できます。

この体験では、当事者たちは『全く日本語の通じない国にいるような感覚である。共通の言語がない中で、次から次に指示が出たり、支援者の態度や言葉や急かすような行動によっては、わかる事も分からなくなってしまう』という事に触れ、『全く言葉が通じず不安な時に、例え片言でも普段使ってる日本語が聞こえると安心する』という事があるように、どうしたらそれぞれの児童たちに更に安心して過ごしてもらえるのか?お互いに意思を通わせることが出来るのか?と考えました。

今回は、このような内容で、今より更に児童たちにとって安心できる環境の創造や、笑顔で成長できる環境へと繋がる研修を行いました。ライズししがや第一教室では、毎月こうした研修や勉強会を職員会議の中で行っています☆

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