自閉スペクトラム症 (Autism spectrum disorder: ASD) は、社会的コミュニケーションや対人相互性反応の障害、興味の限局、常同的・反復的行動を主徴としており、主に乳幼児期に発現する障害です。もともとは、広汎性発達障害の中に、自閉性障害、アスペルガー障害、レット障害、特定不能の広汎性発達障害などが含まれていましたが、米国精神医学会 (2013) のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5) においてASDという名称に統一されました。
Hyman et al. (2020) によると米国におけるASDの有病率は59人に1人 (約1.7%) の割合で存在すると報告されています。一方で、我が国における有病率は約3.2%で、およそ32人に1人の割合でASD児がいる可能性が示されています (Saito et al., 2020)。これは、保育所や小学校の一クラスあたり1~2人のASD児が存在することを示しています。これらの報告を踏まえると、ASDは珍しい障害ではなくなってきているといえます。
参考文献
American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5). Arlington, 2013.
Hyman, S. L., Levy, S. E., & Myers, S. M. (2020). Identification, Evaluation, and Management of Children With Autism Spectrum Disorder. Pediatrics, 145, e20193447.
Saito, M., Hirota, T., Sakamoto, Y., Adachi, M., Takahashi, M., Osato-Kaneda, A., ...Nakamura, K. (2020). Prevalence and cumulative incidence of autism spectrum disorders and the patterns of co-occurring neurodevelopmental disorders in a total population sample of 5-year-old children. Molecular Autism, 11, 35.
【自閉スペクトラム症】
研修会・講演会
22/08/16 12:17