今回は本を紹介します。
東田直樹 著 「自閉症の僕が跳びはねる理由」
帯にもあるように、30か国以上で翻訳された世界的ベストセラーで、テレビでも紹介されたので、ご存じの方も多いと思います。
会話ができない重度の自閉症の著者が、パソコンと文字盤ポインティングを覚えて、自分の気持ちを言葉にすることができるようになり、13歳の時に、執筆した本です。
日々、子どもと接していると、「どうして???」の連続ですよね。
でも、まだ、言葉が足りない子や、会話ができない子は、自分の気持ちを、上手に人に伝えることができなくて、悔しく、悲しいおもいをしているかもしれません。
「どうして上手く会話できないのですか?」という質問に、東田直樹さんが答えた部分を抜粋します。
「僕も話せないのはなぜだろうと、ずっと不思議に思っていました。
話したいことは話せず、関係のない言葉は、どんどん勝手に口から出てしまうからです。僕はそれが辛くて悲しくて、みんなが簡単に話しているのがうらやましくてしかたありませんでした。
…
いつもみんなにしかられ、その上弁解もできないなんて、僕は世の中の全ての人に見捨てられたような気持ちでした。
…
どうして話せないのかは分かりませんが、僕たちは話さないのではなく、話せなくて困っているのです。自分の力だけではどうしようもないのです。
自分が何のために生まれたのか、話せない僕はずっと考えていました。
…
自分の気持ちを相手に伝えられるということは、自分が人としてこの世界に存在していると自覚できることなのです。話せないということはどういうことなのかということを、自分に置き換えて考えて欲しいのです。」
自閉症の人が、すべて、東田直樹さんと同じというわけではないと思います。
人は、やっぱり、それぞれちがいますから。
でも、会話ができない人が、こんなにも深いおもいを持っている、ということは知っておくべきですよね。
そして、言葉が出ない人の気持ちをわかりたいと思っている人たちが、世界中にいるということは、殺伐としたニュースばかりの世界で、ちょっと、希望を感じます。
みんなで、お互いを気遣い合って、優しく、豊かな世界に、していきたいですね。
東田直樹さんは、千葉県生まれです。
本の紹介
教室の毎日
24/12/15 14:26