とらんぽりんの導入　先日、トランポリンが搬入されました。
　トランポリンは、体育館にあるような大きな設備としてのものではなく、家庭用といってもいいような、人が一人か多くても二人くらいまでが飛び跳ねることができる小さなものです。でも、我々のような放デイが日常的に利用するのにはこれくらいがちょうどいいのだ。もっと大規模な、本格的なトランポリンが利用したければ、お出かけタイムとして時々、設定すれば良い。（これは、「トランポリン」というキーワードで探すなら、おでかけ先の施設や料金等の情報を検索できる）

　　例えば、多くのこどもたちは、トランポリンで飛び跳ねて遊びたがる。これはこれで、安全度は高く、それでいて、遊びながら、楽しみながら自発的に運動能力向上や、体力・バランス力の増進に良い。この利点は大きい。さらに、一部の子たちの中には、苦手なのか、近寄ろうとしない子などもいる。その多くは，いわゆる「発達障害」の子たちである。「なぜか」というなら、それは多くの場合、「変化への抵抗」であろう。あたらしい経験、「新しい日常」「新しい食べ物」は、この子たちにとって不安の塊の、よくわからない世界である。だから、例えば新学期、新学年などにトラブルが多い。新しい学年、新しいクラスメイト、新しい先生、新しい教室。自分を取り巻く人的環境、物的環境が何もかも自分のそれまで取り巻いていた環境とは一変してしまう。だからこの時期、発達障害の子などは特に問題が起きやすいのだ。
　そのような未知の、危険かもしれない世界へ、ふみこむことは、怖くてできないということになり、あたらしい良く自分がわかっていない「トランポリン」などはやろうとせずに近寄らない結果になることが多い。
未知の世界は、怖くて安全でないわからない世界。だからよく知って安全である物事に強い「こだわり」を持つ、この無意識の呪縛を一つ一つ解き放って、「こっちにおいでよ」と「こだわり」の世界の外側から誘ってあげることがだいじだ。トランポリンも新しい経験で、変化への抵抗という場合も多く見られがち。
でも、そこで、スタッフが〇〇君も「おいでよ、楽しいよ」などと声掛けして多少強引にでも、トランポリンに乗せてあげたりするなら、その貴重な一瞬で経験値の許容度が一気にがって、次回からは、トランポリンというものは楽しいものだ、安全のものだと認識をその一瞬で変えてしまい、自分から進んで利用して遊ぶことが自然にできることが極めて多い。
　　そして、その時の効用は、上記にも書いたバランス力、体力、運動能力の向上につながってくる。その自然の一歩になる。しかし、発達障害の子の特性の一つとして、いわゆる自己刺激的な意味のある場合が多い情動運動〈常動行動〉での絶えず手足等を動かす行動に、正しく発散の道をある意味解放することにもなって、その意味でも良い。
　また、体操ひとつとっても、発達障害の子はもちろん、それ以外の子も、しっかりとした動きで手足を動かすことがおざなりになってしまう子が実に多い。例えば、ほとんど100年の歴史を持つ有名な「ラジオ体操」はしっかりやれば、それだけで実に強力な意義のある効果的な体操であるのだが、低学年になるほど、それができていない子が多い。例えば、腕を大きく振って両手を指先までピンと伸ばすストレッチの動き一つとっても、多くはそれさえできていない。だから結果として、体操の時間はただただ、中途半端にぶらぶらと、力なさげに、手足をだらりとさせるだけで、少しも効果的な体操ができていないことが殆どだ。
　もとより、トランポリンは主に自由時間などの、合間の時間に、利用者に自由に使ってもらうことが多い。だから、体操の時間としてプログラムに組むのであれば、放課後デイでは、どうせしっかりとやれない「ラジオ体操」ならば、それをやめて、例えば「アンパンマン体操」のような利用者が進んで身体を動かせるモノに代えて実施することが多い。「肺活」のプログラムも、実質、健康に留意した「体操」プログラムとして扱うことでよいだろう。そして、トランポリンの効用だが、なかなか自主的に体を動かして遊んだりすることが億劫な、利用者であっても、常動運動的な普段の動きにあってもいることもあり、トランポリンは、その意味でも有用性が高いと言えよう。（池）