お子さんと関わっていると「どう接したらいいのか分からない」「困った行動をどうしたら改善できるだろう…」と悩むことがあるかもしれません。
そんなときに有効な方法の一つが 応用行動分析(ABA:Applied Behavior Analysis)です。
ABAは科学的なエビデンスに基づき、お子さんの行動を改善し、より良い学習や社会生活を送るための支援方法として世界的に広く活用されています。
今日はBEAR KIDSでも活用されているABAの基本概念と、家庭や療育現場での具体的な活用法を解説します。
■応用行動分析(ABA)とは
ABAとは、人の行動を観察し“望ましい行動を増やし、困った行動を減らす”ための体系的な方法です。
基本原則:
○行動は環境によって影響を受ける。
○望ましい行動が強化されると、その行動が増える。
○望ましくない行動は、強化がなくなると減る。
この原則に基づき、子どもの行動を観察・分析し、環境を調整することで行動を改善するのがABAの特徴です。
■ABAの主な手法
ABAにはさまざまな技法がありますが、特に自閉スペクトラムのお子さんへの療育でよく用いられる方法を紹介します。
○強化(Reinforcement)
良い行動が起きたときに、ほめたりご褒美を与えたりして、その行動を増やします。
例:「おもちゃを片付けられたら、好きなシールを貼る」
→ほめられること、嬉しいことがあることで、子どもは次もその行動をしやすくなります。
タスク分析(Task Analysis)
一つの動作を細かく分解し、一つずつ練習します。
例:「手を洗う」という動作を「そでをまくる」「蛇口をひねる」「手を濡らす」「石けんをつける」などのステップに分ける。
→ステップごとに練習し、成功体験を増やしていきます。
プロンプト(Prompting)
正しい行動を促すために、合図やヒントを与えます。
例:「手を洗おうね」と声をかける、実際に手を取って教える。
→徐々にヒントを減らして、自発的にできるようにします。
消去(Extinction)望ましくない行動に対して意図的に強化を行わず、減らす方法。
例:「大声で要求したら対応しない」→「静かに言えたら応じる」
→ただし、いきなり消去すると望ましくない行動が激しく起こることがあるため(消去バーストと言います)慎重に行います。
■ABAを活用する場面
ABAは、療育機関だけでなく、家庭や学校でも活用できます。
家庭での活用例:
○生活習慣のトレーニング(着替え、歯磨き、片付け)
○言葉の習得(「ちょうだい」「ありがとう」など)
○社会的スキルの向上(目を合わせる、順番を待つ)
学校・療育施設での活用例:
○ルールを守る練習
○友達とのコミュニケーションを学ぶ
○自立した活動の促進
■よくある誤解と注意点
ABAに関しては、「厳しいのでは?」「自然な学びができなくなるのでは?」という誤解があります。
しかし、現在のABAは子どもにとって楽しく、やる気を引き出す方法として発展しており、決して強制的な訓練ではありません。
子どもの個性を尊重しながら、無理をさせず、楽しく取り組める環境を作ることが大切です。
■まとめ
ABA(応用行動分析)は、困りごとのあるお子さんの支援において、科学的根拠のある有効な方法です。
ほめること、少しずつステップを分けて練習すること、成功体験を積み重ねることがABAの基本です。
日常生活の中でもABAの手法を取り入れながら、お子さんの「できた!」を増やしていきましょう。
もちろん、うまくいかない場合は気軽にBEAR KIDSへご相談くださいね。
ABA
教室の毎日
25/02/27 19:03