「たくさん話しかければ言葉が伸びる」は間違い?
ライター:瀧本 三輪子
言葉の力を伸ばすには、絵本の読み聞かせやたくさん話しかけたりすると良いと言われます。大体の場合には正しい働きかけなのですが、言葉を聞き取る力・受け止める力が弱い子どもの場合、かえって混乱を呼び起こしてしまう可能性があります。子どもの気持ちを想像しながら考えてみましょう。
想像してみてください
言葉の成長には、たくさん話しかけると良いとよく言われます。
しかし、言葉を聞き取る力が弱い子どもの場合、かえって混乱をまねく場合もあります。それは一体どういう状態なのか、一緒に考えてみましょう。
しかし、言葉を聞き取る力が弱い子どもの場合、かえって混乱をまねく場合もあります。それは一体どういう状態なのか、一緒に考えてみましょう。
質問1
あなたはアメリカを旅行中。道に迷い、人に尋ねました。どちらの回答がわかりやすいですか?
① ネイティブの英語が猛スピードで聞こえてくる
May I help you? Did you get lost? Oh, you probably want to go to the train station, right? Don’t worry, it’s right there. Just keep going straight that way, then make a left at the very first light that you can see from here. You will be in front of the station before you know it. You can’t miss it!! Good luck and have a good day!
② 一言ひとこと、はっきり聞こえてくる
Go straight, and turn left.
① ネイティブの英語が猛スピードで聞こえてくる
May I help you? Did you get lost? Oh, you probably want to go to the train station, right? Don’t worry, it’s right there. Just keep going straight that way, then make a left at the very first light that you can see from here. You will be in front of the station before you know it. You can’t miss it!! Good luck and have a good day!
② 一言ひとこと、はっきり聞こえてくる
Go straight, and turn left.
質問2
あなたはロシアの空港にいます。ロシア語は一つも理解できません。アナウンスが流れた途端、待合室の人々が一斉に立ち上がり、小走りに部屋を出ていきました。あなたはどう感じますか?
① 不安になる
② 何とも思わない
① 不安になる
② 何とも思わない
かえって子どもを不安にさせる?!
如何でしょうか。
質問1では「②はっきり聞こえてくる」、質問2では「①不安になる」を選んだ方が多いのではないでしょうか。
質問1のように、意味のわからない音を次々に投げつけられているのは、心地よい体験とは言えませんね。
また、質問2のように、語りかけられた言葉の意味がわからないという状況は、人を非常に不安にさせるものです。
これと同じようなことを、言葉を聞き取る力が弱い子どもは感じているのです。
せっかく保護者が心をこめて読み聞かせや言葉かけをしても、意味のある言葉を聞き溜めていく体験にはならず、激しく動く口や流れるような音の印象ばかりが積み重なっていくのかもしれません。
そして、不安やイライラがどんどん募っていく場合もあるでしょう。
このような子どもには、「たくさん話しかける」よりも、「言葉かけを整理してシンプルにする」方が、言葉を受け止めやすくなり、結果として言葉の伸びにつながる可能性があります。
質問1では「②はっきり聞こえてくる」、質問2では「①不安になる」を選んだ方が多いのではないでしょうか。
質問1のように、意味のわからない音を次々に投げつけられているのは、心地よい体験とは言えませんね。
また、質問2のように、語りかけられた言葉の意味がわからないという状況は、人を非常に不安にさせるものです。
これと同じようなことを、言葉を聞き取る力が弱い子どもは感じているのです。
せっかく保護者が心をこめて読み聞かせや言葉かけをしても、意味のある言葉を聞き溜めていく体験にはならず、激しく動く口や流れるような音の印象ばかりが積み重なっていくのかもしれません。
そして、不安やイライラがどんどん募っていく場合もあるでしょう。
このような子どもには、「たくさん話しかける」よりも、「言葉かけを整理してシンプルにする」方が、言葉を受け止めやすくなり、結果として言葉の伸びにつながる可能性があります。
子どもに合わせた伝え方を
子どものこんな場面に遭遇したことはありませんか?
◆一斉指示のあとに行動が乱れる(教室を出て行く、友達にちょっかいを出す、ものを投げるなど)
◆人と関わることを避ける(人が近づくと顔をそむける、あえて無視する、常同運動が強まるなど)
このような子どもたちには、整理して伝えてあげることをお勧めします。
長文で難しければ短文へ、短文で難しければ単語へ、イラスト、写真、具体的なアイテムを見せる…このように伝え方を少しずつ具体的にし、子どもにとってわかりやすい伝え方を探してみましょう。
コミュニケーションに関する課題は非常に幅広く、どこに苦手を持っているかは、人それぞれです。
子どもの様子を丁寧に観察して、どんな伝え方や働きかけが一番良いのか、工夫してみてくださいね。
◆一斉指示のあとに行動が乱れる(教室を出て行く、友達にちょっかいを出す、ものを投げるなど)
◆人と関わることを避ける(人が近づくと顔をそむける、あえて無視する、常同運動が強まるなど)
このような子どもたちには、整理して伝えてあげることをお勧めします。
長文で難しければ短文へ、短文で難しければ単語へ、イラスト、写真、具体的なアイテムを見せる…このように伝え方を少しずつ具体的にし、子どもにとってわかりやすい伝え方を探してみましょう。
コミュニケーションに関する課題は非常に幅広く、どこに苦手を持っているかは、人それぞれです。
子どもの様子を丁寧に観察して、どんな伝え方や働きかけが一番良いのか、工夫してみてくださいね。