【専門家が徹底解説】発達障害児向けの民間支援施設の選び方は?見学前に親が意識したいことを聞きました

ライター:福井万里
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発達に凸凹がある子どもの保護者にとって「どんな民間の支援サービスや学習塾を選んだらよいか」は頭を悩ませるテーマのひとつ。長年、特別支援教育の第一人者として活動を行ってきた大南英明先生に、民間の発達障害支援サービスの種類や選ぶ際に気をつけるべきこと、早期療育の意義などをお伺いしました。

民間の発達障害支援施設はどう選べばいいの?専門家に聞きました。

発達に凸凹がある子どもの保護者にとって「どんな民間の支援サービスや学習塾を選んだらよいか」は頭を悩ませるテーマのひとつ。

長年、特別支援教育の第一人者として活動を行ってきた大南英明先生に、民間の発達障害支援サービスの種類や選ぶ際に気をつけるべきこと、早期療育の意義などをお伺いしました。
大南 英明先生 全国特別支援教育推進連盟理事長
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【プロフィール】
大南 英明 全国特別支援教育推進連盟理事長

1937年生まれ。公立小・中学校教諭、養護学校教諭を経て、東京都教育委員会指導主事に就任。文部省初等中等教育局特殊教育課教科調査官、東京都教育庁指導部心身障害教育指導課長、都立青鳥養護学校長を経て、98年帝京大学文学部教育学科教授に就任。2003年4月から帝京大学文学部教育学科長を兼任。2005年帝京大学小学校初代校長。2008年帝京大を定年退任、放送大学客員教授。人権擁護推進審議会委員。

民間の発達障害支援サービスにはどんな種類が?一般の学習塾も有力な選択肢

ー民間による発達障害支援サービスはどんな種類があるのですか。

発達障害支援をする民間サービスというと、大きく分けて、2つの大きな流れがあろうかと思います。

・発達障害児への支援を専門として受け入れる療育施設
・発達障害児の受け入れをうたっていない一般向け学習塾


前者の発達障害児向け専門の事業者は、バックに大学などの専門機関がある場合もあり、担当の指導員だけでは難しい場面には心理の専門家に相談できる仕組みなど、システムや組織が非常にうまくできている傾向があります。

例えば、東京未来大学がバックにある三幸学園や、社内に研究所があり専門家の監修体制も敷いているLITALICOジュニア、武蔵野東学園(自閉症児の積極的受け入れを実施)と提携してカリキュラムを作った四谷学院には、発達障害のある子どもに合った専門的なカリキュラムやプログラムがあります。

見落としがちなのは、後者である、看板に発達障害児の受け入れを銘打っていない学習塾です。


ーそれは盲点ですね。

実際、こうした学習塾の中には、30年以上前から現場レベルでさまざまな障害のある子どもの受け入れに取り組んできている施設もあるのです。 そういう施設は、最初は知的障害への支援が主でしたが、近年は発達障害への対応力も高めてきており、私自身どう指導していけばよいか相談にのってきました。

独自のノウハウを学習塾ごとにためていっており、コマーシャルやプログラムなどには「発達障害」という言葉はでてこなくとも、今読めば発達障害のある子どもの学びをも想定しているとわかる内容になっています。

ーどんなカリキュラムで学習塾が受け入れをしているのですか。

障害児と障害のない子どもの内容を分けずに、同じプログラムでステップを細かくして指導しています。今もおそらく障害児を受け入れているとは言っていないけれど、受け入れている学習塾はあると思われます。そういうところは、口コミで広がっているのではないでしょうか。

具体例としては、自学でのプリント学習を中心とする学習塾では、実質的には障害児の受け入れをしてきたと思います。

療育用のプログラムで指導する民間サービスと、同じプログラムで障害がある子を受け入れる学習塾、この2つの種類の存在が頭にあるといいですね。


ー他の種類はあるのでしょうか。

最近は中間型も存在します。個人指導や個別指導をしている学習塾で、看板に小さく「学習障害やADHDなどの発達障害のある子どもも受け入れます」などと書いてある事業者です。本当に適切な指導ができるかは確認が必要ですが、わざわざ電車に乗って遠くに行かなくても、身近なところでそういう塾を利用するのも1つの方法だと思います。

外からは見えにくい療育施設の質、市町村の無料相談で専門家の積極的活用を

ー発達障害児の受け入れを明記していない学習塾でも、自分の子どもに合うプログラムであれば魅力的な選択肢になると思います。ですが、明示的な情報なしに、わが子に合った学習塾を探すのは難しそうです。

障害のある子の親の集まりなどら得られる口コミが参考になります。そういう集まりに参加すると「あそこにいくと、子どもにあったプログラムで良かった」などの声をきけると思います。

もうひとつは、自分で判断しないで専門家に相談して確認するといった手もあります。インターネットでも自分で様々な情報を集めることが出来ますが、即断せず、第三者の意見を参考にすることが大切です。

ー相談できない専門家が身近にいない場合は、どうしたらよいでしょう。

そういうときは、各市町村で実施している発達相談窓口の無料相談がよいと思います。

相談する側には臨床心理士などの専門家が担当しているケースが多いです。公の機関なので、特定の施設の相談はできないかと思いますが、「こういう内容のプログラムの学習支援塾を探したのだけど、わが子の特性にあっているか?」などの聞き方は大丈夫です。

子どもが3歳ぐらいの小さい時期からでも、相談にのってもらえます。無料で利用できる市区町村の相談機関は、大いに活用するとよいのではないでしょうか。


ーなるほど、それは参考になりますね。発達障害のある子どもを受け入れてくれるかどうかも重要ですが、それ以上に気になるのは、実際の指導の質です。民間業者の質はどのようなところから決まってくるのでしょうか。

民間事業者の質といった意味では、人、つまりよい指導者がいるかどうかに左右されます。良い指導者が多いところは、その施設の実績として結果がでているはずです。
大南 英明先生 全国特別支援教育推進連盟理事長
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ーよい指導者を探すには、どうしたらよいとお考えですか。

一番は、さきほどお話した、お母さん同士の口コミだと思います。コマーシャルだけでは、推し量れない部分です。

また、公の機関にも相談してみるといいでしょう。子どもに向くか向かないかは別の問題ですが、悪い情報がはいっているケースなどは、公の機関は意外に情報を持っているので、聞いてみるといいと思います。ただ、その子どもに合わなかった特定のケースの場合もあります。聞ける場合は、苦情の内容も聞き、お子さんの特性に照らし合わせて判断するとよいのではないでしょうか。


ー悪い情報が入っているところが、悪い施設とは限らないのですね。

そうです。話題になっている業者というのは、いいにつけ悪いにつけきちんとした指導をしています。しかし、ひとつのサービス機関がすべての子どもに合うようになるのは不可能です。

コマーシャルや広告などでは、たいてい、どんな子にでも合う指導ができるかのように宣伝されがちです。

一方で、口コミなどで伝わる悪い情報というのも、色々工夫はしたけれどやはりその子には合っていなかった、という可能性があります。幅広く展開すればするほど、合わない子もでてきます。そこを加味して冷静に判断するとよいと思います。

発達障害のある子どもを受け入れる事業者の側にも、子どもを預かって指導をするわけですから大きな責任がありますが、一方で保護者の側も、施設の見学などの際には自分の子どもの様子をなるべく詳しく説明し、その子とその施設のプログラムや指導が合っているのかどうか、自分でもよく吟味することが大切です。
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