通信制高校と他の進学先との違いは?

中学校卒業後の進学先は、通信制高校以外にもいくつかあります。この章では、通信制高校とその他の進学先のメリット・デメリット、さらに通信制高校と合わせて通える学校をご紹介します。

それぞれの進学先のメリット・デメリット

通信制高校
先ほどご説明したように、テレビやインターネットなどの通信手段を中心に使って教育を行う高校のことを言い、高校卒業資格を取得することができます。

<メリット>
・自宅で学習できる
・対人関係のトラブルが少ない
・卒業までの期限がないので、自分のペースで卒業できる
・入学しやすい

<デメリット>
・通学日数によっては、学校生活を通した交友関係ができにくい
・自宅学習が中心のため、自分で学習のペースを管理しないといけない

全日制高校
平日の昼間に授業を受ける高校のことを言い、高校卒業資格を取得することができます。

<メリット>
・普通高校、工業高校、商業高校、農業高校などがあり、選択の幅が広い
・進学、就職など卒業後の進路の幅が広い
・友人ができ交友関係が広がる
・部活動などを通して社会性が身につく

<デメリット>
・授業の進みが早い
・個別支援が受けにくい
・人間関係のトラブルが起きやすい

定時制高校
全日制とは開講している時間帯が違う高校であり、高校卒業資格を取得できます。夜間のみの定時制高校の他に、昼間定時制と呼ばれる全日制に準じたスタイルの学校も増えてきています。

<メリット>
・午前、午後、夜間など開講以外の時間が好きな時間に使える
・授業以外の時間を自由に使うことができる
・さまざまな年代の人と交流することができる

<デメリット>
・卒業まで4年かかる(3年で卒業の場合もある)
・生徒の年代が違うことによるトラブルが起きやすい
・自由な時間が多いので、自分でしっかり時間の管理をしないといけない

高等専門学校
高等専門学校は中学校卒業後、技術者になるための必要な教養や専門的な知識を身につけることを目的とした高校です。5年間勉強するのが特徴です。

<メリット>
・得意分野を伸ばすことができる
・卒業後、大学に編入することができる

<デメリット>
・入学してからは基本的に学科を変えられない

高等専修学校
専門学校・専修学校の高校版であり、専門学校高等課程と呼ぶこともあります。職業に関する専門的な知識・技術・技能や社会生活に役立つ教養を身につけるのが目的です。

<メリット>
・得意分野を伸ばすことができる
・私服で通えるなど自由な校風の学校が多い

<デメリット>
・高校卒業資格を取得できないため、資格を得るためには技能連携制度などの制度を利用しなければならない

高卒認定予備校
高卒認定試験に向けて、勉強をサポートしてくれる予備校のことを言います。

<メリット>
・大学受験資格を取得できれば、将来的な進路を広げることができる

<デメリット>
・あくまで大学受験資格のための認定試験の対策をする学校であり、高校卒業資格を取得することはできない

通信制高校と合わせて通う学校

技能連携校
定時制・通信制高校の教科のうち、専門科目の一部を分担して教えてくれる施設です。通信制高校に平行して通うことになります。不登校や高校を中退したお子さんなども積極的に受け入れているようです。

サポート校
通信制高校におけるレポート提出や期末試験に合格するための指導をしてくれる学校です。通学日数がさまざまであり、柔軟な通い方ができます。

通信制高校のほかにもさまざまな進路の選択肢があり、さらに学校ごとに雰囲気が異なります。それぞれについて理解し、お子さんの特性と適性を考えて、進学先を選ぶと良いでしょう。またどんな環境で学ぶか、どんな先生や仲間と学ぶか、などを確認するために、お子さんと一緒に実際に学校を見学してみることをおすすめします。

通信制高校にかかる費用と奨学金

通信制高校の学費は私立か公立か、サポート校にも通うか、通学日数などによって差があります。全体としては、卒業までのサポートの手厚さによって学費が変わるようです。

私立の通信制高校の場合でも、私立の全日制高校に比べれば学費は安いです。公立の通信制高校であればより学費はかかりませんが、卒業までのサポートは私立の通信制高校よりも少ないです。サポート校に通う場合はさらに学費がかかるので、全体としてかかる費用は変わってきます。

さらに私立か公立かどうかに関わらず、通学日数が多いとそれだけ学費は高くなります。通学日数が多いのがその理由で、卒業までしっかりと面倒を見てもらうことができます。

通信制高校の学費における奨学金

奨学金を利用することで、学費の負担を軽減できる場合があります。さまざまな方法がありますが、奨学金を検討する場合は志望校の先生に相談してみると良いでしょう。

・高校奨学金
世帯所得が各自治体が定める基準以下であり、修学が困難な方に支給される奨学金制度です。現在は各都道府県の教育委員会などの管轄になっています。高校奨学金を利用する場合は、各自治体に問い合わせてみてください。

・学校の奨学金制度
通信制高校の中には、独自の奨学金制度で学費の援助をしてくれる学校もあります。学校と連携する企業で働く生徒に対して、学校または企業がその授業料を負担するなどの制度がよく見られます。

・その他の奨学金制度
高校奨学金とは別に各都道府県や市区町村でも奨学金制度を設けている場合があります。また民間企業による奨学金制度を利用する方法もあります。

通信制高校に入学するには?

通信制高校の入学手続きの方法は、基本的には全日制高校と変わりません。入学するためには試験に合格する必要があります。全日制高校との違いは、入学試験のハードルが比較的低く、入学時期が柔軟であることが多い点です。

入学試験の内容は学校によってさまざまですが、一般的には面接や作文、書類選考で選考が進められます。入試で学科試験を課すところは非常に少なく、その結果で不合格になるケースはさらに少ないです。「この高校へ入学し、きちんと勉強したい」という気持ちを、言葉や文章でしっかりと伝えることが大切です。

入学時期は学校や入学のルートによって異なります。入学ルートには新入学の場合、他の高校からの転入する場合、高校を中退するなど除籍になったあとに編入する場合の3つがあります。新入学と編入は4月または10月入学、転入は随時入学となります。事前に学校に問い合わせて、確認しておくことが大切です。

またどんな学校に行けば良いのか迷っている場合でも、通信制高校で指導している先生に直接話を聞きに行くなどして、悩みを相談してみましょう。
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