今、人と話すのが苦手なあなたへ〜「選択性のかんもく」だった私より

ライター:楽々かあさん
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家では話せるのに、園や学校では上手に言葉がでてこない…。「選択性のかんもく」のある子と、お母さん・お父さんは、不安を抱えながら日々を過ごされているかもしれません。実は私も、今でこそ元気に子育てと、支援・執筆活動をしていますが、小さな頃は「選択性のかんもく」があり、大人になってからも人と話すことに苦手意識がありました。そんな私から伝えたいメッセージがあります。

実は私、「選択性のかんもく」のある子でした。

今でこそ、凸凹3兄妹の子育てをしながら、「楽々かあさん」として支援・執筆活動を続け、学校の先生方と連携し、ママ友さんやご近所づきあいも無難になんとかこなせている「大人の凸凹さん」の私。

でも、実は、小学生の頃は「選択性のかんもく」のある子でした。

「選択性のかんもく」(場面緘黙症)では、家などで慣れた人とは話せるけど、それ以外の場所・人ではだんまりになる…などの特徴が現れます。

(※「選択性のかんもく」表記について:現在日本では、本人の意思に関わらず、話すことに困難さがあることから「場面緘黙症」という呼称が一般的なようですが、この漢字表記は、視覚にやや過敏性のある筆者が、若干の圧迫感を覚えますため、このコラムでは「選択性のかんもく」という表現を使用させて頂きます。)

選択性のかんもくになる原因や、発達障害との関連性は明確ではないようですが、私自身のことを振り返ってみれば、元々の体質的な凸凹などから不安感が強く、いろいろと空気を読み過ぎていたように思います(あくまで私自身の自己分析であり、選択性のかんもくになる理由はさまざまだと思います。)

そんな私から、人と話すことが苦手なお子さん・大人の方、そしてお子さんを心配されながらも子育てしている母さん・お父さんに今、伝えたいことがあります。

休み時間の過ごし方が分からなかった

私は、小さな頃から感覚が敏感な体質で、小学3年生の頃まで「選択性のかんもく」がありました。

私の場合、軽く頷いたり、「うん」とか「はい」程度は言えたので、ある程度の意思疎通はでき、「内向的で大人しい子」といった印象だったように思います。そのため当時は「発達障害」や「場面緘黙症」などの言葉を、周囲の大人は知る由もありませんでした。でも、首を横に振るなど「ノー」という意思表示は苦手だったように記憶しています。

そして、不思議と学校の授業中は発言できていたので、さほど問題にはされませんでしたが、その実、私はとっても困っていました。

授業中は、「1+1は…?」と聞かれれば、答えは「2」と決まっています。「教科書の◯ページを読んで」と言われれば、そこを書いてある通りに読めばいいだけです。

ところが、休み時間や、給食、登下校などの「お友達と自由に話していい時間」には、一体何を話したらいいのか、何をして過ごせばいいのか、さっぱり分かりませんでした。

そこには「正解」がなかったからです。
更に、こだわりも強かったので「こうしなければならない」という自分ルールがたくさんあり、自由に身動きできなくなっていました。

だから、当時の私は、授業中よりも休み時間のほうが緊張して過ごしていました。今思うと、凸凹傾向で感覚が敏感だった私にとって「休み時間」=「予測のつかない時間」で、とても不安だったように思います。

教室はざわざわとして情報量が多く、予測不能に自由に動き回る男子達にも、宇宙語のような言語を操る女子達にも、私の情報処理は全く追いつかなかったのです。当時の私には、学校の休み時間は混沌として、居場所のない空間でした。

そして、どうしたらいいのか分からずにだんまりを決め込んで、自由帳に黙々と絵を描き続け自分を守っていました。お絵かきの中だけは自由に過ごせる居場所があったんです。
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小3の頃の作品
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今でこそ、いろんなアイデアが出て来る私ですが、当時は、クラスの寄せ書きの大半に「生真面目」と書かれるくらい真面目過ぎる子で、決められたルールや規則に従って動くことはできても、柔軟に、臨機応変に動くのは苦手だったんですね。

大人になってからも、話すことは苦手。自分自身を療育した私

そんな私も、小3の時の約1ヶ月間の不登校と、担任の先生のある言葉をきっかけに、少しずつクラスの子達とも話せるようになっていったのです。それでも、複数の人前で話すことや、雑談には苦手意識があるまま大人になりました。

以前は、公園のママ友さん達の井戸端会議の輪の中では情報量が多過ぎて、一体誰を見て、どのタイミングで話せばいいのか分からなくて、帰宅後どっと疲れてしまったり、悶々と一人反省会をして眠れない、なんてこともありました。

娘にも「ママ、いつもおばあちゃん達とお話するばっかじゃなくて、お母さんのお友達も作ったら?」と促される始末(笑)
でも、うちの子達にソーシャルスキルやセルフコントロールを教えるために学んだことを、私自身が目の前で実践し、お手本を見せていく必要に迫られたのです。

子どもに一つひとつ、人づき合いの仕方を教えていくのと同時進行で、私はアラフォーになってから独学で自分自身を療育し、苦手さと上手につき合えるようになりました。(療育は、何才からでも遅過ぎるということはありません!)

うちの子と同じように、人づき合いを「自然と学ぶ」ができて来なかった私。だから、社交的な方なら自然と当たり前にできることも、ひとつひとつ、自分自身に再度プログラミングするように、それまでのこだわりや思い込みを書き換えていきました。

そして、感じてはいけない感情などない、ということも発見しました。

その結果、今では人づき合いで大きく困るということもなく、自分にちょうど良い距離感を掴み、ほどほどに人間関係に無理しない線引きができるようになって、なんとかお母さん同士の雑談も、たまには楽しめるようになりました。

そして、そんな子ども時代を過ごした私が、前著の出版を機に、お母さん達の前で講師としてお話する機会を、ほんの少しだけ頂くこともできたのです。この機会を通じて「自分は意外と話すことが好きだったんだ」と、生まれて初めて知りました。

そんな私から、今「人と話すのが苦手」だと感じているお子さん・大人の方に向けて書いたメッセージを、お伝えします(以下、著書より引用して公開)。
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