母子分離不安とは?ママにべったり?年齢ごとの特徴や原因、分離不安症の診断基準も【小児科医監修】

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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母子分離不安とは、子どもが母親と離れることに対し、不安を感じることです。分離不安自体は、早期の発達段階において不可欠なものです。

【母子分離不安の基本情報】

  • いつから始まる?:多くの場合、生後8ヶ月頃から始まる
  • いつまである?:一般的には2~3歳で次第に治まってくるが、3歳以降や小学校に入学してからも、母子分離不安が見られる場合もある
  • 原因:主に環境の変化やストレス

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
目次

母子分離不安とは? 分離不安症と同じ?

母子分離不安とは、子どもが母親と離れることに対し、不安を感じることです。 分離不安自体は早期の発達段階において不可欠なものです。 幼稚園・保育園入園時や小学校入学時など多くの子どもが不安を感じます。 しかし中には不安が過剰になり身体的・精神的症状を引き起こす子どももいます。

不安が長期間続き、腹痛・頭痛などの身体的症状や、精神的症状、さらに通園・通学拒否などが見られる場合、「分離不安症」と診断される場合もあります。

人間にとって「不安」とは、生まれながらに持っている自己防衛本能でもあり、生きていくうえで欠かせないものです。

1歳の赤ちゃんがママから離れると泣くのは、当たり前のことであるとも言えます。幼い子供が母親と離れることを怖がって泣き叫んだりしがみついたりするのは、多くの場合は母親が「最も身近で安心感を与える存在」であるからなのです。

人は生まれてすぐは母親に完全に依存した状態ですが、成長するにつれて少しずつ自立し、母親との間に距離が取れるようになっていきます。

しかし、小学校に進学する頃になっても、うまくこの距離感がつかめずに、入学時、留守番をする時などに強い不安を感じてしまう子どももいて、一般的に「母子分離不安」と呼ばれています。母子とついていますが、対象は母親に限定されるわけではありません。

この記事では、母子分離不安の年齢ごとの特徴や原因と、長期化し治療が必要となる「分離不安症」の診断基準や治療法などをまとめてご紹介します。

分離不安症の診断基準

分離不安症とは、愛着関係にある人(養育者など)と離れることで発達的に不適切なほど過度に恐怖や不安を感じ、社会生活に支障をきたしている状態です。

分離不安症は症状の内容とその期間によって判断されます。母親など愛着のある人から離れたときにひどく不安になります。その症状が1ヶ月以上続き、大きな苦しみを伴うか日常生活に支障が出ている場合に分離不安症と診断されることがあります。

分離不安はいつから・いつまで?年齢別の母子分離不安の特徴

分離不安はいつから・いつまで?

母子分離不安は、多くの場合生後8ヶ月頃から始まり、生後10ヶ月~1歳半頃に最も強くなり、2~3歳で次第に治まってくると言われています。こういった不安は発達段階で誰でも経験するものです。しかし、3歳以降や小学生になってからも、うまく距離感がつかめずに母子分離不安が見られる場合があります。

3歳までに見られる母子分離不安

「2歳の子が夜中起きたときにママを探す」など、3歳までに見られる母子分離不安は、母親から物理的に離れることに不安を感じ、抱き癖や泣き叫ぶといった特徴が見られます。
そのため通常、母親が戻ってくるということを学ぶと不安はなくなります。子どもが発達するうえで自然なことであり、このような母子分離不安は多くの場合は生後8ヶ月頃から始まり、生後10ヶ月~1歳半頃に最も強くなり、2~3歳で次第に治まってくると言われています。

3歳以降に見られる母子分離不安

3歳以降に母子分離不安が見られる場合があります。大抵の子どもは園や学校に行く際に母親と離れることに不安を覚えますが、まれに母子分離不安によって登園、登校ができないという子どももいます。登園しても友達とうまく遊べないといった状態になる場合もあると言われています。

また、強い不安が1ヶ月以上続いている場合は分離不安症の可能性も考えられるため、医療機関や保健センターなどに相談してみるといいでしょう。
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母子分離不安の原因

母子分離不安の原因は、主に環境の変化です。例えば小学校入学や進級、進学、転校などによるストレスが原因となることもあります。3歳までに母子分離不安が見られる場合は、発達上の通常の現象として現れるものと考えられますが、3歳以降にも一時的に見られることがあります。

3歳までに見られる母子分離不安の原因

3歳までに見られる母子分離不安は発達上の通常の現象として現れるものです。
子どもは母親などから離れるときに、大きな不安を感じます。これは愛着が芽生えたことを意味していて、良い反応とも言えます。

子どもは2歳頃には対象の永続性といって、母親が見える範囲にいなくてもちゃんと存在していると認識するようになります。そうすると、「今は見えなくてもすぐに戻ってくるだろう」と感じることができるようになり、だんだんと分離不安も治まってくると言われています。

3歳以降に見られる母子分離不安の原因

「3歳になってもママにべったりで後追いする理由は何なのか」「小学生になってもママにべったりの原因は?」などと悩む人もいるかもしれません。3歳以降の母子分離不安の原因は、主に環境の変化です。例えば小学校に入学して一人でやらなければいけないことが増えたり、進級や進学・転校などストレスを感じたりといったことが原因で、母子分離不安が一時的に見られることがあります。

こうした現象は一時的にしか続かないことが通常ですが、不安が癒されずさらに強まって悪循環に陥った場合、母子分離不安が長期化することがあります。このような子どもは登園・登校を嫌がり、不登校になることもあります。特定の原因は明らかにされていませんが、子どもの気質や家庭での問題、学校での心配事などが組み合わさって生じます。
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家庭での母子分離不安への対処法

3歳までに見られる母子分離不安の対処法

母子分離不安は保護者や周りの人たちが、適切な対応をしていくことで少しずつ軽減していくと言われています。

まずは子どもの心に寄り添い、受け止めることが大事です。本人の意思に反して無理に母親から引き離そうとするのは逆効果になることもあります。
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具体的な対応としては以下のようなものがあります。
・預ける場合は子どもがよく知っている人にする
・預けた先で子どもの好きな遊び(ゲーム)などで気をそらす
・離れる際に子どもが泣くことに反応しないようにする
・離れる際は決まったやり方を続けて子どもが安心するようにする
・離れる前に授乳して昼寝を刺せる

3歳以降に見られる母子分離不安の対処法

3歳以降の場合も対応方法としては大きく変わりません。周囲の大人が落ち着いて一貫した対応をしていくことが大事です。

3歳以降で登園、登校したがらない場合は、次のようなことを試してみるとよいでしょう。
・母親と一緒に登校する
・最初は先生に挨拶だけして帰る
・保健室や相談室登校から始める
・徐々に学校にいる時間を延ばす

このような対処法をし、一旦は登園、登校できるようになっても、また不安が強くなることもあります。
波があることも認識したうえで、寄り添った対応を心がけていくといいでしょう。そして、不安がありながら登園・登校しても、楽しかった時間もあったよね、と良かったことについて振り返る機会を設けるのも大切です。

母子分離不安について相談するときは?

母子分離不安の多くは、親や周囲の人たちが子どもの不安を理解し、家庭での対処法を実践することで改善します。しかし、生活に支障をきたしているような場合や1ヶ月以上続く場合は以下の相談窓口に相談してみるとよいでしょう。

母子分離不安を相談できるところを簡単にご紹介します。

・かかりつけの小児科
普段から相談しているかかりつけの小児科の先生に相談するのも良いでしょう。医療機関のため、分離不安が強い時に、必要があれば不安を和らげる漢方薬などの内服の相談も可能です。

・子ども家庭支援センター、市町村保健センター
子育て全般の相談を気軽にすることができます。また地域ごとに設けられているため、その地域において母子分離不安を相談できる機関が他にあるか、どんな子育て支援があるかなどを詳しく知ることができます。

・児童相談所
18歳未満の子どもについて相談することができる機関です。児童福祉司や児童心理司、医師などの専門的な知識のあるスタッフが相談に対してアドバイスや情報提供、必要があればほかの支援機関の紹介などを行っています。

・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー
お子さんの学校での様子を加味したうえで、母子分離不安の相談に乗ってくれます。また学校生活をサポートしてくれる、必要な時は支援機関や医療機関を紹介してくれるといったメリットもあります。

母子分離不安の治療が必要な場合「分離不安症」ということも

これまで説明してきた通り、多くの子どもにとって母子分離不安は発達過程で通常発生するものであり、3歳以降の母子分離不安についても、保護者が適切な関わりをすることで改善します。

しかし、母子分離不安が長期間続き、心配や苦痛が過剰なレベルである場合、「分離不安症」と診断され、専門家による治療が必要になる場合もあります。

早めに相談することが適切な治療や支援につながり、母子分離不安を改善することができるでしょう。ご家庭だけで悩むのではなく、多くの機関と連携して子どもを守ることが大切です。

分離不安症の原因

分離不安症の原因としては、以下のようなものが挙げられます。

・不安を感じやすい性格
内気、神経質、完璧主義、対人関係に過敏な性格など

・学校の環境
過剰な緊張を強いるような学校の空気や担任教師の指導法、いじめなど

・家庭内での問題
両親の不和や母親の病気、身近な人やペットの死

・その他の環境
引っ越しや転校など

分離不安症の医療機関での治療

医療機関や心理療法の専門施設では以下のような治療が行われます。施設によってやっている内容は違いますが、ある特定の療法にこだわらずに、お子さんが安心・安全で過ごせる場所を広げられたら良いでしょう。

・プレイセラピー(遊戯療法)
遊びを通して本人の発達状態を理解し不安を和らげることで、自分の考えを表現できるようにします。

・絵画療法・箱庭療法
絵を描いたり、箱の中に好きなミニチュア玩具を置いていくという作業をしたりします。できあがった箱庭についてカウンセラーに言葉で伝えることで、自分の内面世界を表現できるようにします。症状や対人関係を改善することが目標です。

・認知行動療法
ものの受け取り方や考え方を修正し、悲観的でも楽観的でもないバランスのとれた考え方ができるようにします。子どもとの面談を通して進めていく治療法なので、考えを言葉にすることに慣れていない小さい子どもの場合にはプレイセラピーなどの方が適しています。

・家族療法
子どもだけに焦点を当てるのではなく、問題が家庭内でどのように起きているのかまで考えます。そのためご両親の子育てにおける悩みや不安も解決していきます。家族内の人間関係を調整し、子どもが安心できる環境を作っていきます。

・薬物療法
日常に支障をきたすほど不安が強い場合は、抗うつ剤や抗不安薬、漢方薬を使うことがあります。薬物療法だけでは完治しないため、他の治療法と組み合わせて行います。
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発達障害の子どもの母子分離不安の特徴は?

発達障害のある子どもにおいて、母子分離不安の特徴が見られることがあります。発達障害のある子どもは対人関係のあり方が偏っていたり、ものの捉え方が異なったりするため、障害のない子どもに比べて不安が強い場合があります。ただ、発達障害と母子分離不安を明確に関連付けた研究などはほとんどありません。

母子分離不安の対処法は、発達障害が関連していようと、そうでなかろうと変わりはありません。信頼でき愛着のある大人がそばにいてやさしい言葉をかけて、子どもの不安を軽減させてあげましょう。まずは、信頼できる大人との安心した関係を確保したあと、不安を感じにくくするような治療法を取り入れていくとよいでしょう。

母子分離不安の多くは「一時的に心配ごとがある」というサインです。気になる様子があったら母子分離不安の特徴だけでなく、子どもにどんな特徴が見られるのかも把握するようにしましょう。

まとめ

母子分離不安は発達過程において多くの子どもに見られます。母子分離不安自体は適切なかかわり方をすることで成長に従って治まっていくと言われています。

母子分離不安が見られたからといって、甘えだと思って厳しく叱ってしまうのではなく、一緒になって不安を取り除いていくことで改善することが大事です。そういった関わり方をすることで、子どもも次第に自立していきます。

ただ、母子分離不安の程度や期間によっては、分離不安症という病気の可能性も出てきます。症状によって親子の日常生活に支障が出ていたり、長い期間続いているようであれば、保健センターなどお近くの相談窓口に相談するようにしましょう。
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