母子分離不安とは?年齢ごとの特徴や原因、対処法は?「分離不安症」の診断基準や治療法などをまとめました

2017/05/29 更新
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母子分離不安とは子どもが母親と離れることに対し、不安を感じることです。分離不安自体は早期の発達段階において不可欠なものです。幼稚園・保育園入園時や小学校入学時など多くの子どもが不安を感じます。しかし中には不安が過剰になり身体的・精神的症状を引き起こす子どももいます。この記事では母子分離不安について、原因や症状、対処法などを紹介していきます。

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目次

母子分離不安とは?

「母子分離不安」とは、子どもが母親から離れることに対して不安を感じることを言います。

人間にとって「不安」とは、生まれながらに持っている自己防衛本能でもあり、生きていくうえで欠かせないものです。赤ちゃんのときに母親と離れることを怖がって泣き叫んだりしがみついたりするのは、子どもにとって母親が「最も身近で安心感を与える存在」であるからなのです。そのため、幼い子どもが母親から離れる際に不安を感じるのは当たり前のことであるとも言えます。

人は生まれてすぐは母親に完全に依存した状態ですが、成長するにつれて少しずつ自立し、母親との間に距離が取れるようになっていきます。

しかし、小学校に進学する頃になっても、うまくこの距離感がつかめずに、入学時、留守番をする時などに強い不安を感じてしまう子どももいます。

この不安が極度に強まると、腹痛・頭痛などの身体的症状や、母親がいないと泣きだしてしまうといった精神的症状を引き起こすこします。さらに症状が悪化すると通園・通学拒否になってしまうなど日常生活に支障をきたすことがあります。

この記事では、一般的によく見られる母子分離不安症状の年齢ごとの特徴や原因と、長期化し治療が必要となる「分離不安症」の診断基準や治療法などをまとめてご紹介します。

年齢別に分類できる母子分離不安の特徴

母子分離不安は、年齢によって特徴や対応が変わってきます。その特徴は、大きくは3歳までの子どもに見られる母子分離不安と3歳以降に見られる母子分離不安の2つに分類することができます。

3歳までに見られる母子分離不安

3歳までに見られる母子分離不安は、母親から物理的に離れることに不安を感じ、抱き癖や泣き叫ぶといった特徴が見られます。そのため通常、母親が戻ってくるということを学ぶと不安はなくなります。子どもが発達するうえで自然なことであり、このような母子分離不安は3歳頃になると少しずつ消えていきます。

3歳までの母子分離不安は、乳児期前半、乳児期後半、乳児期以降で特徴に違いがあります。

・乳児期前半
乳児期前半の子どもには抱き癖が見られます。常に抱っこをしていれば泣かないのですが、下ろすとすぐに泣いてしまいます。赤ちゃんは抱っこをされることで安心感を得られ、母親に愛されていると感じます。そのため抱き癖がつくということは、母親と赤ちゃんとの間に絆ができていることの証とも言えます。

・乳児期後半
乳児期後半になると母親の姿が見えないときに、泣いたり怒ったりします。また母親のことを探すといったこともします。これは母親の姿が見えないときに母親の存在自体がなくなると思ってしまうからです。

・乳児期以降
歩けるようになって母親から離れることによって不安を感じ、だだをこねたり、後追いしたりします。母親から長時間離れられるほど心が発達していないため、このような特徴が見られます。

3歳以降に見られる母子分離不安

3歳以降に起きる母子分離不安は、母親がいなくなってしまうのではないかという不安や家以外での心配事などがある際に、母親に安心感を求めようとして離れられなくなることを言います。特に小学校低学年の子どもに多く見られ、家庭での問題や家以外の環境などさまざまな理由によって、母子分離不安が起こります。

3歳以上の子どもに見られる母子分離不安の具体的な特徴としては、以下が挙げられます。

・日常生活
ずっと母親にしがみついている・部屋に1人でいることができない・母親の姿が少し見えないだけで泣きだしてしまう・迷子や誘拐などによって親から離されてしまうのではないかと強く恐れる・母親の膝に乗ってくるなどの赤ちゃん返り・乱暴行為・激しい人見知り

・就寝時
寝つきが悪い・両親と一緒でないと寝られない・悪夢を見る・暗闇を過剰に怖がる・電気をつけたまま眠りたがる

・保育園・幼稚園や小学校
学校や友人の家に遊びに行くことを拒否する、授業に集中できず勉強を理解できない、親がいないと砂場やブランコで遊べない、何ヶ月たっても登園時母から離れようとしない、小学生になっても母親が学校のどこかにいないと登校を続けられない、通園・通学拒否

母子分離不安が強まると、腹痛・頭痛・嘔吐・食欲不振・息苦しさ・夜尿のような身体的症状を引き起こします。年長児以上の子どもには頻脈・めまい・気を失うように感じるなどの心臓血管系の症状が起こることもあります。

さらに母子分離不安の特徴が4週間以上続くと、「分離不安症」と診断されることがあります。分離不安症とは、家または愛着を持っている人物からの分離に関する、過剰な恐怖または不安のことを言います。一過性の母子分離不安とは対処法などが異なるため、注意しなければいけません。分離不安症については、後の章で詳しく説明します。

母子分離不安の原因

3歳までに見られる母子分離不安の原因

3歳までに見られる母子分離不安は発達上の通常の現象として現れるものです。そのため、3歳以降に見られる場合のように外部環境や家庭でのストレスなどが原因ではありません。

乳児期であれば母親と一緒にいる時間の心地良さを実感するためであり、乳児期以降から3歳までであれば母親の愛情を確かめるため母子分離不安が起きていると考えられます。

3歳以降に見られる母子分離不安の原因

3歳以降にも母子分離不安が一時的に見られることがあります。その原因は主に環境の変化です。例えば小学校に入学して一人でやらなければいけないことが増え、ストレスを感じるといったことが原因で、母子分離不安が見られることがあります。

こうした現象は一時的にしか続かないことが通常ですが、不安が癒されずさらに強まって悪循環に陥った場合、母子分離不安が長期化することがあります。このような子どもは、外出を強く恐れたり、家庭や母親から離れることに極度に恐怖を感じるようになります。特定の原因は明らかにされていませんが、子どもの気質や家庭での問題、学校での心配事などが組み合わさって生じます。

家庭での母子分離不安への対処法

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