自閉症の治療にも使われる薬リスパダール。小児期の衝動性や癇癪を抑える治療薬?副作用やジェネリックなどの注意点、エビリファイとの違いも解説

2021/11/01 更新
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リスパダールは自閉スペクトラム症のある子どもに発症しやすい衝動性やかんしゃく、落ち込みなどの易刺激性症状を緩和させるための治療薬です。統合失調症にも効果があり、抗精神病薬の中でも第一選択薬として使用されることが多い薬です。リスパダールがどういった薬なのか、副作用はあるのか、エビリファイとの違いは何かなど、解説していきます。

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発達障害のキホン
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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

リスパダールとは?

リスパダールは、リスペリドン主成分からできている抗精神病薬で、小児期の自閉スペクトラム症や統合失調症に処方される治療薬です。自閉スペクトラム症のある子どもたちや統合失調症患者のかんしゃくや衝動性など、ささいなことで周囲に不機嫌な態度をとってしまう気持ちを落ち着かせるはたらきをもった薬です。

アメリカでは統合失調症の治療薬の代表薬として用いられており、リスパダールは日本でも自閉スペクトラム症の易刺激性に対する治療に第一選択薬として使用されることが多くあります。

リスパダールは2002年に販売が始まった第二世代に分類される新しい薬です。第一世代は従来型抗精神病薬と呼ばれ、ドーパミンに作用する薬もありますが、副作用が多いと言われてきました。
そのために副作用が少ない、ほかの伝達物質への働きがある新しい薬として開発されたのがリスパダールです。

リスパダールの効能・効果

小児期の自閉スペクトラム症に対する効能・効果

自閉スペクトラム症の症状の一部として易刺激性、チック症(身体が勝手に動くこと)などが起こります。

易刺激性は不機嫌、無視、怒りっぽさ、かんしゃく、泣き叫ぶ、暴力や暴言、器物破損、抑うつ気分、気分の変わりやすさ、自傷などの行動を起こしやすいなどの症状のことを指します。

リスパダールは原則として5歳以上18歳未満のいわゆる小児期に起こる易刺激性の緩和のために処方されます。脳の中枢神経に作用するドーパミンとセロトニンの機能を調節する作用があり、不安、緊張などの症状、精神の不安定な状態を抑え、気力や関心のもてない状態を緩和させるはたらきがあります。処方にあたっては自閉スペクトラム症の診断が必要です。

統合失調症に対する効能・効果

統合失調症は前兆期、急性期、休息期、回復期の4つのステージがあります。急性期と休息期に出現してくる、陽性症状と陰性症状があります。

陽性症状は幻聴や妄想のような、実際にはあるはずのないものが出現し、それによって精神的に追い詰められることを指します。陰性症状は無気力になり物事への意欲が低下したり、感情の起伏が乏しくなったりすることです。

リスパダールにはそれらの陽性症状と陰性症状の緩和や、回復期に起こる認知機能障害を緩和させるはたらきがあります。

リスパダールの用法・用量

リスパダールの薬の用法・用量は体重ごとに違ってきます。必ず守って使用することで適切な効果や副作用を最小限に抑えることができます。

小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

・体重15kg以上20kg未満の子ども
通常、1日1回0.25mgより開始し、徐々に薬を増量していきます。ただし1日量は1mgを超えてはいけません。

・体重20kg以上の子ども
通常、1日1回0.5mgより開始し、同じように徐々に薬を増量していきます。ただし1日量は、体重20kg以上45kg未満の場合は2.5mg、45kg以上の場合は3mgを超えてはいけません。
ただし、これらは一般的な内服の仕方であり、自閉スペクトラム症のあるお子さんにはできるだけ少量のリスパダールで治療するのが望ましいです。実際には10㎏に対して0.1mg程度がいいと考えられています。

発達障害児はてんかんを伴いやすいと言われています。てんかんがある方のリスパダールの服用は、けいれんを引き起こしやすくする作用があるため、服用は医師の指示のもとに、慎重に行なうようにしてください。

統合失調症

通常、成人には1回1mg(1mL)1日2回より服薬を開始し、徐々に増量をしていきます。なお、年齢、症状により薬の量は適宜増減します。ただし1日量は12mg(12mL)を超えてはいけません。

ほかの薬との併用について

リスパダールとの併用で気をつけなくてはいけない薬物にパリペリドンという非定型抗精神病薬があります。リスパダールと併用することによって薬の作用が増強されるおそれがあるため、併用は避けてください。

またアドレナリンとの併用も、アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を招くおそれがあるため併用を避けてください。

リスパダールは錠剤・内用液・注射があります

リスパダールは細粒・錠剤・内用液・注射があります。内服薬は飲み続けることで安定した精神状態を維持します。

内用液は即効性が高く、突発的な興奮や不安が生じた際に服用して状態を和らげます。ただし錠剤と比べて内用液は3倍ほど値段が高く設定されています。そのため錠剤が飲めない場合や突発的な症状に見舞われた場合に服用することが推奨されています。

リスパダールコンスタ注射はお尻か肩への筋肉注射を行います。効果が約2週間持続することが特徴です。ただしこちらは統合失調症の方のみが使用でき、自閉スペクトラム症のある子どもへの適応は現在認められていません。

リスパダールの副作用のリスクと注意すべきこととは?

リスパダールの副作用は統合失調症の方と比べて、小児期の自閉スペクトラム症のある子どもに多く現れます。ですが一般的には人体に大きな影響を及ぼすような副作用ではなく、よく眠るようになるとか、体重が増えるといった副作用が現れます。

小児期の自閉スペクトラム症

小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性がある人を対象とした国内臨床試験において、84.2%に副作用が認められました。

・傾眠・・・63.2%
・体重増加・・・34.2%
・食欲異常・・・26.3%
・高プロラクチン血症・・・10.5%
・不安・・・7.9%
・よだれ・・・7.9%
・浮動性めまい・・・5.3%
・便秘・・・5.3%
・倦怠感・・・5.3%

自閉スペクトラム症のある子どもの場合は眠気や体重増加、食欲増加の副作用が発生する可能性があります。

参考文献:医療用医薬品 : リスパダール | 17.1 有効性及び安全性に関する試験<小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性>(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049728)

統合失調症

統合失調症患者を対象とした副作用の調査では服用者の58.1%に何らかの副作用があったことが認められています。

・アカシジア(座ったままでじっとしていられず、そわそわと動き回ること)・・・17.4%
・振戦(筋肉の収縮、弛緩が繰り返された場合に起こる不随意のリズミカル運動のこと)・・・13.1%
・易刺激性・・・12.7%
・不眠症・・・12.0%
・筋固縮・・・11.8%
・流涎過多・・・11.2%
注)承認用量外の本剤を投与された患者20例を含む。

参考文献:医療用医薬品 : リスパダール | 17.1有効性及び安全性に関する試験<統合失調症>(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049728)

副作用かな?と思ったら

過度な眠気があるときには、薬の量などを調整してもらうことも考えましょう。逆に眠気を利用し夕食後1回だけの服用もお勧めです。または副作用が現れにくく、症状に対して効果が認められるほかの薬を処方してもらうなど、医師と相談してみることもおすすめします。

体重増加の副作用については、肥満気味になることを避けるために、普段の食生活などで工夫することが必要です。適度な運動をすること、バランスの良い食事をすることなどで、体重の増加をコントロールしやすくなります。ご飯を食べて、すぐ寝てしまう前に、親子で散歩に行くなどひと工夫を凝らすことが大切です。薬をやめれば元の体重に戻ることが多いです。

リスパダールとエビリファイとの違いは?

リスパダールと同様に小児期の自閉スペクトラム症の易刺激性を緩和させるために処方されるのがエビリファイ(主成分:アリピプラゾール)です。どちらもよく処方される薬ですが、どのような違いがあるのでしょうか?

リスパダールはドパミンとセロトニンに働きかけて症状に作用し、エビリファイはドパミンに働きかけて作用するという違いがあります。どちらの薬剤を使用するかは医師の判断によりますが、リスパダールの副作用が強かったり、薬が合わなかったりするとエビリファイを処方されることもあります。

リスパダールやエビリファイのジェネリックは?

■リスパダールのジェネリック
リスパダールはリスペリドンという名称でのジェネリック医薬品(後発医薬品)があります。2020年から小児期(5歳から17歳まで)における自閉スペクトラム症の易刺激性に対して先発品同様、投与が認められております。

■エビリファイのジェネリック
エビリファイはアリピプラゾール(+製薬名)という名称でのジェネリック医薬品がありますが、まだ小児期の自閉スペクトラム症のある子どもへの投与は認められておりません。

参考文献:商品一覧:リスペリドン|KEGG MEDICUS(http://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=D00426)

まとめ

リスパダールは、小児期の自閉スペクトラム症と統合失調症の治療薬の一つです。興奮や不安といった症状を抑え、安定的な精神状態を送れるように手助けをしている薬です。

リスパダールには細粒・錠剤、内用液、注射の4種類があり、突発的な症状にも対応できたり、効果を持続させたりすることができます。しかし注射に関してはまだ小児期の自閉スペクトラム症のある子どもへの投与は認められておりません。ジェネリック医薬品もまだ小児期の自閉スペクトラム症のある子どもたちへの投与が認められておりません。

治療薬の選択肢が広がってきた一方で、薬物治療というのはあくまでも困りごとを解決するための一要素にすぎないということを忘れないでください。本人が自分の力で生きていくスキルを獲得する過程での補助的な役割として治療薬を利用しながら、適切な環境設定や療育などの取り組みも並行して行うとよいでしょう。
参考文献:
抗精神病剤 日本薬局方 リスペリドン錠 リスペリドン細粒 「MEEK」|小林化工株式会社
抗精神病薬剤 日本薬局方 リスペリドン内服液 リスパダール内用液|ヤンセンファーマ株式会社
特効性抗精神病薬 リスパダール コンスタ筋注用|ヤンセンファーマ株式会社
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