障害者雇用で3ヶ月。実際に働くことで見えてきた、良かったこと・つまずいたこと

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私は就労移行施設に通いながら、障害をオープンにして就職活動を続け、スマートフォンのゲームアプリ会社で働くことになりました。今回は、障害者雇用で実際に働いて3ヶ月経った今、良かったこと、つまずいたことなどを書いてみたいと思います。

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障害者雇用枠で再就職。時短勤務を利用して、無理のない就労に

私は就労移行施設を利用し、障害者雇用で再就職しました。発達障害の診断のショックなどもあり、前職を離職してから1年が過ぎていました。

ASD(自閉症スペクトラム)の障害特性で環境の急な変化が苦手なこともあり、最初の1ヶ月の間は、時短勤務にしてもらいました。これにより、フルタイムで働くという感覚を取り戻しつつ、自分の体調を考慮した就労が可能になりました。
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ASDである私は、自分の疲れを自覚しにくいといった特性や、人混みや雑踏でのノイズといった過敏によって消耗しやすい特性もあります。そうした特性をあらかじめ想定した上で、時短勤務を希望したのです。
ただし、定着支援の支援員から、時短勤務は本来、求人票とは異なる勤務体系であるため、求人票通りに働いて欲しいというのが企業側の本音であると間接的に聞きました。私にとって、1日8時間働くことは、それほど大きな問題には感じませんでした。しかし、時短勤務が終わったらフルタイムで週5日…連日となると少し辛いなと感じました。
そこで人事に、週5日のうち1日を自宅などで勤務するリモートワークを認めてもらえないか相談しました。疲れに対して鈍感な私でも、流石に木曜日くらいになると身体がだるいと感じていたからです。その際にエナジードリンクや、滋養強壮剤を飲んで対処していたのですが、どうも身体的な疲労とは異なるような気がしていました。

現状、成果に対する評価が難しいリモートワーク

リモートワークができないか?と相談した背景には、会社に来て行う業務が、機密情報を扱うわけでもなく、インターネットに繋がったパソコンと専用のソフトが入っていれば、自宅でも支障なく業務ができると考えたからです。

しかし、現状リモートワークには、その成果に対して何時間かけて行ったのか、そもそも8時間ちゃんと働いているのか?など、そうした労務管理の問題や情報漏洩の懸念などから、導入するつもりはないと言われてしまいました。

障害者として働いているのは自分のみ。職場で困ることも

この会社では、障害者雇用で就労しているのは私のみという環境でした。また私が入社したのは、去年の冬のことで、2018年春の障害者の法定雇用率の引き上げを視野に入れた採用だったのかなと思います。

こうした採用は今後、増えてくると思いますが、周囲が発達障害などの障害者との接し方に慣れているとは限りません。理解が得られにくいとも言える環境で、私が実際に体験した困りごとと、どう対処したのかを振り返ってみたいと思います。

困りごと① 曖昧な指示がストレス

例えば、イベント会場のリストを作成する仕事では、いくつ項目をピックアップするのかが分からないことがありました。そのことを聞くと、「できるだけ、たくさん」といった指示が返ってきます。そんな時「どのくらい必要か?と具体的な数を聞いているのに、どうして返答がそんなに曖昧なんだ。質問の答えになっていないじゃないか」と苛立ちを感じることがありました。
私がここから得た教訓は、定型の人にとって、そもそも曖昧な指示が何なのかが分からないらしいということです。私は、普段から曖昧な指示を具体的に変えてもらうために、次のような表現を使っています。
■「〜という理解でよろしいでしょうか?」

私は、相手の意図を汲み取ることが苦手で、勝手に判断して仕事を進め、怒られるということがありました。それからは分からないことを分からないまま進めることはせず、確認してから進めるようになりました。
■「どうすれば、もっと良くなりますか?」

上記のように、方向性が間違っていないことを確認できてから、仕事に取り組みます。進捗を2〜3時間くらいで伝えます。PowerPointなど資料の作成業務は、一通り終えたら、報告して確認してもらいます。

そこで「どうすれば、もっと良くなりますか?」あるいは、「他に必要な項目はありますか?」と聞くことで、「この項目が欲しいな」と指示が明確になり、私自身も安心して業務に取り組めました。また、このように聞くことによって、例え仕事が上手くこなせなくても意欲はあるというアピールに繋がるような気がします。

このことについては、「質問力」について書かれた書籍も参考にしました。
人を動かす質問力
谷原誠
角川新書

困りごと② こだわりの強さ+衝動性でこじれる対人関係でのトラブル

私は、ASDであると同時に衝動性が高いタイプのADHDです。「〜すべき」「こうあるべきなのに実際はなっていない」といったことに対して怒りを感じることが多く、つい衝動的に相手にぶつけてしまうことなどが多かったです。
例えば、先輩社員のやり方より、自分のやり方の方が効率的だと感じた際には、「(先輩社員の)そのやり方は非効率だ、こうした方が間違いなく効率的だ」と言ってしまいました。入社早々、先輩社員のやり方を真っ向から否定するような表現を直接的かつ衝動的にしてしまったのです。
その先輩社員とは、にらみ合いになり、喧嘩になりかねない状況に陥ってしまいました。私は昔から、こうした衝動性の強さから好戦的な部分があるなと感じています。加えて物事を白黒ハッキリさせないと気が済まない性格です。

しかし、こうした特性は外見からはわかりません。そのこともあって常識がない、先輩に対する敬意がないなど、そういう風に捉えられてしまうのではないかと思っています。
上述の先輩社員とは馬が合わないことが多く、周囲には、またやっているよと見られていました。見かねた別の先輩社員からは、「悪目立ちしているから、今は不満に思っても控えた方がいい。新入社員という立場なんだから」といった指摘を受けたこともあります。
■感情をコントロールする練習を

現在は、そうした点を反省し、アンガーマネジメントの本を読んだりしています。また主治医にも相談した所、漢方の抑肝散(ヨクカンサン)を勧めて頂き、服用を継続しています。

困りごと③ 定着支援や、人事の支援体制との連携

障害者雇用の担当者は1人で複数の業務を兼任しています。そのため、配属先に伝わっていない障害特性について、自分で説明する必要が生じました。例えば、ADHDによる不注意傾向について伝わっていなかったので、宅急便の伝票を書く際に、先輩社員にチェックして欲しいと自分でお願いしました。
こうした説明は、いつ言えばいいかタイミングが分からないのに加えて、「そんなこともできないのか」と周囲に見られるのではないかと感じました。恥ずかしさと不安が同居するような気持ちになり、かなり負担に感じました。
■人事や定着支援担当から間接的に伝えてもらう

人事の支援体制に関して、相談できる環境があることで、不満や要求を間接的に伝えてもらえることが個人的に一番ありがたかったです。やはり、面と向かっては伝えづらいこともあったりするので、そうした制度の存在は、心強い味方でした。上述の件も、結局、自分自身で説明することになったのですが、最初に人事から伝わっていると良かったなぁと思います。

時短勤務が無くなってから…

時短勤務を経て、2ヶ月目から通常勤務に移行しました。1時間半ぐらい伸びても、さほど影響がないだろうと思っていたのですが、人間関係の緊張や、過敏による疲労は思ったよりも大きかったようです。帰ってくるとごはんを食べて、すぐに就寝せざるを得ないほど、ぐったり疲れているという生活が続きました。時短勤務の際は、夜に洗い物などができていたのですが、それすらもできなくなってしまいました。

■朝中心の生活に
そこで生活の基盤を変えることにしました。
例えば、朝起きてからのSNSを控え、必要な情報は電車内で確認することにしたり、朝食をコンビニで済ます代わりに、洗い物と洗濯物を干すところまでを全て終わらせるなど工夫することで、一度に全てこなすのは難しくても、何とか両立ができていると思います。
疲れが溜まってくると、きちんと睡眠を取ったのに朝から眠いということがありましたが、エナジードリンクや、ブラックコーヒーを飲むことで、仕事をする上ではそれほど大きな支障なくできていると思います。

使いたくても使えなかった、居宅介護の家事援助

私は大人になるにつれて、こだわりが少なくなってきたり、妥協できることも多くなりましたが、今でも自分の持ち物やインテリアに関しては強いこだわりがあります。そのため常日頃から室内を清潔に、きちんと整頓された状態を保ちたいと思っていました。
そこで、居宅介護の項目の一つである家事援助を利用したいと考えていました。しかし、週5日で勤務している場合、ヘルパーさんとのマッチングが上手くいかず、利用が難しかったのです。担当のケアマネージャーから聞いた話では、土日に家事援助をしてくれるヘルパーさんの登録がほとんどなく、サービスを提供するのが事実上、難しいと言われてしまいました。

働いてわかったこと。障害者が輝ける働きかたは?

これまでを振り返ると、障害を抱える私のような人にとっては、ある程度、業務の範囲が定まっている仕事の方がやりやすいのではないかと思います。

上述したように曖昧な指示を補完して取り組む仕事は苦手ですが、パソコン操作などのハードスキル面では、それほど大きな問題を抱えているようには思いません。イレギュラーや新しく取り組む業務に関しても、きちんとした指示があれば、仕事量の調節は必要ではあるものの、遜色なく取り組めるのではないかと考えています。
しかし、対人関係の構築などのソフトスキル面での課題を抱えている…。このことを採用面接の段階で伝えることが出来たら楽だなぁと思います。やはり会社という場所は、みんなとの協業、団体行動が求められる場である以上、対人関係でうまく行かない障害特性は、事前に知らせておくべきなのかもしれません。
しかし、本当に入社したい会社であれば内心、求職者としては伏せておきたい情報です。ここで上手く支援員の方が障害者と会社側の担当者とを結ぶ架け橋となってくれたなら、もっと働きやすくなるかなと思います。
今の障害者雇用を巡る状況では、障害を明らかにしつつも一部分を隠して採用面接に臨み、入社後に隠していた特性が出てしまう人も少なからずいるのではないかと思います。私自身も就職活動で使用したナビゲーションブックでは、衝動性の部分は触れないままでした。やはり、怒りやすいとは書けなかったからです。
また、リモートワークに関しても、今後、導入が進んで欲しいなと思います。やはり刺激を受け流すことが難しいからこそ、疲れやすいという特性があることは事実です。自宅で身体や脳を少し休ませながら働くことができれば、もっと障害者が輝ける働き方が実現できるのではないかと考えています。
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