子どもの気持ちファースト!「通信制サポート校」が、7年不登校を続けた娘を変えた

子どもの気持ちファースト!「通信制サポート校」が、7年不登校を続けた娘を変えたのタイトル画像

小2から不登校になり、義務教育をほとんど受けないまま中学校を卒業した娘は今、通信制サポート校に通っています。通信制高校に籍を置きながら、課題提出やテスト勉強をサポートしてくれるサポート校に通い、高校卒業資格取得を目指しています。

全生徒数20人程度の小規模なサポート学校はアットホームで、不思議と居心地のいい場所。7年間不登校を続け、学校を拒否し続けた娘が、先生を信頼して通う様子を見ると、胸が熱くなります。

0ca9277f91e40054767f69afeb0426711ca0fddd s
ヨーコ
8569 View

みんな超絶マイペース。居心地のいい不思議な空間

先日、娘が通う、通信制サポート校(※)の個人懇談に行ってきました。

一番に聞かれたのが「お子さんはどんな時に体調が悪くなるのですか?」ということでした。体調の悪さが心理的なものからきていることを理解したうえで、具体的にどんな症状で苦しんでいるのか知り、学校で症状が出れば本人の負担にならないようにサポートしてあげたいという配慮からきた質問だったのです。

懇談以外でも娘のために配慮してもらったことがいろいろあります。

「体幹が弱く椅子に座って勉強するのが苦痛」と言えば、校長の自宅からちゃぶ台を持ってきて娘のためのスペースを作ってくれました。「漢字を書き写すのにスマホで漢字辞典を見ないとやりにくい」というと、「いいよ」とその場で認めてもらえました。

今まで学校の先生からそこまで娘に関心や配慮の気持ちを持った質問をされたことはなかったのでびっくりしました。「ここまで娘に心を寄せてくれるのか」と思うと、中学までのつらい日々を思い出して少し泣きたいような気持になりました。

娘の通う通信制サポート校は、本校は遠方にある通信制高校で、その分校のような形となっています。授業、レポート、スクーリングといった卒業に必要な全てのことはサポート校で行われます。一対一の指導が基本なので、不登校期間が長く学力に自信がない、娘のような子も安心して学ぶことができます。

このサポート校には、フリースクールも併設されていて、施設は共同。広さは小学校の教室2つ分くらいで、サポート校とフリースクールの生徒は混じりあって同じように過ごしています。

子どもたちは、登校する時間もまちまちで、過ごし方も自由そのもの。勉強する子もいればオセロに興じる子、好きな模型作りをしていたり、先生に進路相談する姿も。みんなでおやつを買いに行くこともあります。

生徒が「ハンバーガー買いに行くけど~」と声をかけると、校長自ら「僕の分も買ってきて」と頼んでいたのには笑いました。

人と話すのが好きな子もいれば目を合わすのもしんどい子もいます。だけど不思議なことに誰も居心地が悪くなることもなく共存しているのはなぜでしょうか?

(※)通信制サポート校は、通信制高校に通う生徒に対して、3年間で卒業ができるよう単位取得・進級などに必要とされる勉強や精神面での支援を行う役割を担っています。通信制サポート校で勉強したとしても、高校卒業資格を取得することはできません。大半のサポート校は通信制高校と提携し、サポート校入学の際には通信制高校への同時入学が必要です。

無理をさせない、追い詰めない

娘が通うサポート校の主な教員は、校長・教頭夫婦です。二人とも元小学校の教員で塾講師。自分たちの子どもが不登校になり、無理やり学校に戻そうとして家出されたという経験があります。そのとき、カウンセラーの元で不登校の子ども対応について猛勉強されたので、「無理をさせない」「親子を追いつめない」といった対応は見事なものがあります。生徒たちのことも家庭環境を含めてとてもよく見ています。

娘がフリースクールに入学したてのとき、少し勉強しただけで疲れてしまう様子をすぐに見抜いて「よく頑張ったね!今日はもう終わり。帰って家でゆっくりしてね」と声をかけてくれました。

なかなか続けて通うこともできず間が空いても、顔を出せば笑顔で「よく来たね」と声をかけてくれ、おやつの時間に誘って他の生徒と話す時間をとったり、ピアノのレッスンに誘ったりと工夫して関わり続けてもらううちに、娘の表情もどんどん柔らかくなって学校での滞在時間も少しずつ伸びていったのでした。

先生の目配りの対象は生徒だけに限りません。つき添いの私に「いま、つき添いのお母さんが来てるんだけど話してみない?」と声をかけて親同士の交流を促したり、私がほかの生徒と話せるようにおやつに誘ってくれたりしています。おかげで娘の同級生の親御さんとも親しくなれたり、フリースクール生の親御さんの相談相手になったりと有意義な時間を過ごさせてもらっています。

先生が信頼してくれるから、子どもたちは心を開く

もう一つ印象深かったのは、先生方が私に生徒を紹介するときは必ず「この子にはこんなに素晴らしいところがあるんです」と本当に嬉しそうに伝えてくれるということ。

娘のことも、「お母さん、ほらこのレポート見てください。フリースクール生の頃よりずっとたくさんの文字をきれいに書けるようになっていますよ」という風に伝えてくれるので嬉しくなります。

この学校に来ている子どもたちは不登校経験者がほとんどで、入学したての子やフリースクール生を見ていると、大人と目を合わせることのできない子がとても多いです。きっと、それまでにいっぱい傷ついてきたのでしょう。

そんな子どもたちが、学年が上がるにつれて先生方にはタメ口で辛辣なことを言ったりすることがあります。ビックリしている私に後で先生がそっと教えてくれたことがありました。「あの子は家では親に決して逆らわないんです。ここで発散できるならいいんですよ」って。先生方は子どもたちのことをよく理解し、深い信頼をもって接しているのだなと感じました。

別に勉強するわけでもなく、フラッと立ち寄って先生とひとしきり軽口を叩きあって「また来るわ」と帰っていく子どもたちを見ていると「ここが安心できる居場所の一つとなっているのだな」と腑に落ちたのでした。

娘もいつの間にか先生方に信頼を寄せるようになっていました。サポート校1年生になって、最初は私につき添い登校を頼んでいたのに、夏休み前には時々一人で登校するように。怖がりで安心できる場所じゃないと私が一緒でも行きたがらない娘がです。

また、こんなこともありました。家で「学校でも年金や社会保障の教育は必要だと思う」という話になったときのことです。娘が「校長に頼んでみようかな」と言ったのです。学校の先生に何かを望むこともなくなり、完全に学校から背を向けていた娘が先生に提案するなんて!本当にサポート校のこと、そして先生方のことを信頼して安心できる存在だと思っているのだなとうれしくなりました。

痛みを知っているからお互いに優しくできる

先生に頼まれて、先輩が後輩の相手をすることもこの学校ではよくあります。もともと心優しい子どもたちばかりですし、人の痛みに敏感で相手の心を思いやれる力を持っているので、新しく入ってきた子に関わるときは注意深く、その子に負担をかけないよう、怖がらせないように上手に接してくれます。その様子はカウンセラーや教師もかなわないくらい。

娘は誘われたらそつなく応対しているようですが、「私はそういうこと(人間関係)に煩わされずに勉強できるからこの学校にきたんだ」とも言っています。その言葉に「この子には友達ができないんだろうか」と心配しましたが、それもまた一つの信念で、尊重すべき考えと思い直しました。

この学校には人の輪には入ろうとしない子もいますが、どんな個性を持っていても尊重される校風にはどの子も救われているだろうなと思います。

7年間の不登校の末に出合えた、通信制サポート校に思うこと

正直、小2から不登校になってしまった娘が通信制高校に進学してちゃんと卒業できるのかかなり不安でした。だけど、月に2回(※)ほど、本校と連携している通信制サポート校に登校して、ちゃんとレポートも提出し1年前期の定期試験も無事クリアすることができました。どうやら今のところ彼女は最小限の省エネモードで卒業を目指しているようです。

「月2回しか行けないのか」とがっかりしたこともありましたが、よく考えてみると7年間ほぼ学校に通ったことのない子が月2回も通学していることが奇跡で、それは先生方の寄り添いのおかげだなと感じています。

つき添い登校の際にはずいぶん学校の様子も見せてもらいましたし、他の生徒やその保護者とも楽しく交流できたおかげで私も得るものがたくさんありました。私自身、学校にいると落ち着くし楽しいんです。そんな学校に出合えたことを本当に感謝しています。

(※)出席日数はスクーリングを入れて普通の高校の約10分の1ですみます。スクーリングに行けなかったり、学校に来られない場合も個別に対応してもらえるので卒業は可能です。
フリースクールでの日々が、卒業の”不安”を進学の”希望”に変えた!娘の変化の理由はのタイトル画像

関連記事

フリースクールでの日々が、卒業の”不安”を進学の”希望”に変えた!娘の変化の理由は

通信制高校とは?分類や他の進学先との違い、学費、入学方法などをご紹介しますのタイトル画像

関連記事

通信制高校とは?分類や他の進学先との違い、学費、入学方法などをご紹介します

フリースクールとは?不登校の子どものための授業内容、費用や利用方法、在籍校の出席認定について解説のタイトル画像

関連記事

フリースクールとは?不登校の子どものための授業内容、費用や利用方法、在籍校の出席認定について解説

話題の本『学校に行きたくない君へ』。横尾忠則さん、樹木希林さんら著名人への体当たり取材の裏側、込めた想い。不登校新聞編集長に聞いたのタイトル画像

関連記事

話題の本『学校に行きたくない君へ』。横尾忠則さん、樹木希林さんら著名人への体当たり取材の裏側、込めた想い。不登校新聞編集長に聞いた

学校に行きたくない君へ
全国不登校新聞社
ポプラ社
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

発達障害のキホンを知る

発達障害のキホンを知る

【図解】発達障害とは?もし「発達障害かも」と思ったら?分類・原因・相談先・診断についてイラストでわかりやすく解説します!のタイトル画像

【図解】発達障害とは?もし「発達障害かも」と思ったら?分類・原因・相談先・診断についてイラストでわかりやすく解説します!

発達障害は外見からはわかりにくい障害です。定義や特徴も複雑で、イメージしにくいかもしれません。この記事ではイラスト図解で、発達障害にはどん...
発達障害のこと
49738 view
2018/08/28 更新
ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは?症状の分類と年齢ごとの特徴 、診断方法や治療まとめのタイトル画像

ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは?症状の分類と年齢ごとの特徴 、診断方法や治療まとめ

ADHDは不注意、多動性、衝動性の3つの症状がみられる発達障害のひとつです。注意欠如・多動性障害とも呼ばれます。子どもの20人に1人、成人...
発達障害のこと
4403222 view
2017/08/30 更新
自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?年代別の特徴や診断方法は?治療・療育方法はあるの?のタイトル画像

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?年代別の特徴や診断方法は?治療・療育方法はあるの?

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、自閉症やアスペルガー症候群などが統合されてできた診断名です。コミュニケーションに困難さがあり、限定さ...
発達障害のこと
2134381 view
2016/09/29 更新
【図解】学習障害(LD)とは?イラスト図解でポイントを解説!のタイトル画像

【図解】学習障害(LD)とは?イラスト図解でポイントを解説!

学習障害(LD)がある子どもはどのような状態で、何に困っているのかご存知ですか?イラスト図解とポイント解説で、学習障害とはどんな障害なのか...
発達障害のこと
25512 view
2018/09/06 更新

この記事を書いた人

ヨーコ さんが書いた記事

【発達障害 子育て】不登校で睡眠障害に!アスペルガー症候群の娘の育児、 いちばんツラかったことのタイトル画像

【発達障害 子育て】不登校で睡眠障害に!アスペルガー症候群の娘の育児、 いちばんツラかったこと

アスペルガー症候群のある娘は、小2の2学期から不登校になりました。小3で特別支援学校に転籍し、再登校にチャレンジしたものの心身ともに傷を負...
発達障害のこと
15395 view
2018/09/17 更新
子どもが病院を嫌がったときは「代理受診」を。病院とつながり続けるメリットとは?親のケアや将来の年金にも関わる!?のタイトル画像

子どもが病院を嫌がったときは「代理受診」を。病院とつながり続けるメリットとは?親のケアや将来の年金にも関わる!?

わが子が不登校になったとき、病院へ連れて行くという人も多いと思います。うちの場合も、娘を幼児期から知る私の主治医から「すぐに児童精神科にか...
自分と家族のこと
12064 view
2018/08/10 更新
化粧は超苦手!職場はトラブルだらけ。アスペルガーでADHDな私がみつけた、生き抜くための対処法とは?のタイトル画像

化粧は超苦手!職場はトラブルだらけ。アスペルガーでADHDな私がみつけた、生き抜くための対処法とは?

発達障害のある人にとって「社会人になる」ということは大変なことです。それまでは学校という守られた環境のなかで、親の庇護のもと生きてきたのに...
将来のこと
17611 view
2018/07/10 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。