【専門家に聞く】発達障害の子どもの「やる気」に火をつけた!?勉強の好循環を生む「ペン」の秘密とは?

ライター:発達ナビ編集部
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コクヨ株式会社
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コクヨ株式会社より今年発売された、「しゅくだいやる気ペン」。開発時の想像以上に、発達が気になる親子からの反響がありました。「しゅくだいやる気ペン」がなぜここまで受け入れられたのか、応用行動分析学の観点から紐解いていきます。

新発売の「しゅくだいやる気ペン」に寄せられたのは、発達障害のある子どもたちからの期待を超える反響でした

コクヨ株式会社より今年発売された、「しゅくだいやる気ペン」。鉛筆に装着して使用する「しゅくだいやる気ペン」は、専用のスマホアプリと合わせて使うことで、日々の勉強の努力が見える化されるアイテムです。全国の親子がまさに今必要としていたものとして、発売開始から入荷待ちが続くほどの人気アイテムとなりました。
しゅくだいやる気ペンのパッケージ
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予想以上だったのが、発達障害のある子どもたちからの反響の大きさ。モニターとしてご参加いただいた親子からも、子どもの勉強への姿勢に大きな変化が見られたというアンケート結果が得られました。
お子さまの学習に対する取り組みについて聞いたアンケート結果の棒グラフ
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子どもをほめたくなったという回答は90%となったアンケート回答の棒グラフ
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それでは一体、「しゅくだいやる気ペン」のどのような部分が、発達障害の子どもたちにもこれほどまでに受け入れられたのでしょうか。公認心理師の先生と、コクヨ株式会社の開発担当者に、お話を伺ってきました。
コクヨ株式会社開発担当、井上雅彦鳥取大学大学院教授、発達ナビ編集長の写真
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(写真左から)
中井信彦さん
コクヨ株式会社 事業開発センター ネットソリューション事業部 ネットステーショナリーグループ グループリーダー

井上雅彦先生
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/応用行動分析学 自閉症支援士エキスパート

牟田暁子
発達ナビ編集長
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実際に触ってみて感じる、勉強へのやる気が上がる設計

牟田:
本日はよろしくお願いします。「しゅくだいやる気ペン」がなぜこれほどに、発達障害の子どもたちに親和性高く受け入れられているのか、心理面や応用行動分析の観点でお話を伺えればと思います。

井上先生:
よろしくお願いします。話は聞いていましたが、「しゅくだいやる気ペン」を実際に触るのは初めてです。
しゅくだいやる気ペンを試す井上先生と、コクヨの担当者
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中井さん:
ぜひ触ってみてください。「しゅくだいやる気ペン」を鉛筆につけて勉強をしていると、その時間に応じてペンの光の色が変わっていきます。紙に書いている時間、ペンを持って考えている時間、それらの「勉強に取り組んでいる時間」の振動を感知して、色の変化で可視化するんです。

井上先生:
本当だ、赤い光に変わりました。色が変わった後はどのような設計となっているんですか?
しゅくだいやる気ペンを持っているところ
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中井さん:
やる気ペンに溜まったパワーを、アプリを入れた親のスマホに向けて傾けるように注ぎます。勉強を頑張った分に応じてりんごがもらえて、その個数分18コースあるすごろくのマスを進んでいくことができるんです。親子でご褒美を設定したすごろくのゴールに向けて、勉強へのモチベーションを継続させるような仕組みとなっています。
しゅくだいやる気ペンにたまったパワーをスマホ画面に向けて注いでいるところ
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牟田:
スモールステップでマス目を進みながら、達成感を継続させてゴールを目指せるのが面白いですよね。親はどのように関わるのでしょうか?

中井さん:
子どもが勉強を頑張ったらアプリ内で花まるをつけてあげたり、グラフで勉強していた時間を見ることができたり、気づきをメモできたり。毎日の学習状況が見えるようになって会話が生まれやすくなる設計なので、頑張りをどんどん認めて褒めてあげられるようになればと思っています。
スマホのアプリと連動するペン
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井上先生:
親子それぞれに対して、すごく丁寧に設計されているのが分かります。これ通級指導教室とか支援学級でも導入できたら、書くのが苦手な子どもたちのサポートになりそうですよね。

牟田:
どうしても勉強に集中できない、継続できない子どもたちにとって、モチベーションが上がって良さそうです。

中井さん:
実際に学校からもお問い合わせをいただいていて、開発当初の想定を超えた反響に驚いています。これからも「しゅくだいやる気ペン」が、親子のためにできることを考えて続けていきたいですね。

応用行動分析学の面から見る、「しゅくだいやる気ペン」の優れたポイント

牟田:
応用行動分析学から考えると、どのような点が優れていると言えるでしょうか?

井上先生:
子どもたちのある適応的な行動に対して、ポジティブなフィードバックが入るということが大切。普段は宿題をやるということに対して褒められることも少ない子どもたちにとって、ペンの色が変わるという目に見える変化があることがまず励みになると思う。もちろんその後のアプリによるご褒美も。
井上雅彦先生
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井上先生:
ただそれ以上に素晴らしいと思うのが、それが親子のコミュニケーションが生じるように設定されていること。自動的にアプリに反映されるのではなく、子どもがペンの色が変わったことを親に報告して、親のスマホでアプリを立ち上げてもらい、アプリのキャラクターにペンからエネルギーを注ぐという仕組みになっているので、そこで親子の会話が必ず生じるようになっている。ペンの色が変わる、ご褒美がもらえるだけではなくて、親とのコミュニケーションというバックアップがあることが、とても良いと感じました。

牟田:
アプリのアニメーションも可愛いし、音も凝っているし、楽しみながら親子で学習状況を共有できるのが良いですよね。ポジティブなコミュニケーションが生まれそうなのが親子にとって嬉しいと思います。

中井さん:
ありがとうございます。親子のコミュニケーションをどう設計するかは、特に頭を悩ませたところでした。企画当初は効率的に学習状況を共有する方向性もあったのですが、それよりも会話するときの密度をいかに濃くするかの方が大切なのではと考えて、今の形となっています。
コクヨの担当者・中井さん
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井上先生:
ある程度の不自由さじゃないですけど、子どもの行動が自動的にペンの色やアプリによって強化されるのではなく、人が介在して行動しないといけないという余地を残した方が、コミュニケーションは生まれやすいはず。この仕組みにしたときに、関わりの中で親としても宿題というものをポジティブなものに捉えることができるようになると思うので、とても興味深かったです。

牟田:
親としても怒りたくないのに、いつも詰問してしまうような状態って悲しいじゃないですか。そこが「褒められるコミュニケーション」に自然に変わっていくのって、親子関係にとってもすごく大きい。そして「しゅくだいやる気ペン」をいつか卒業しても、親子の良いコミュニケーションの形は残って、宿題以外の他のことにも良い影響を与えていくと思います。
発達ナビ編集長・牟田
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中井さん:
まさに親子関係のポジティブな変化は、「しゅくだいやる気ペン」の効果として多く感想をいただいたところです。子どものことを知るきっかけなったというのは、とても嬉しかったですね。

あとは自分から手紙を書いたりとか、自分から学習に取り組めるようになったりという声も多くて、「しゅくだいやる気ペン」が、自発性の一つのきっかけになることができていると感じています。

「しゅくだいやる気ペン」の先にある、子どもの内発的動機の育み方

牟田:
この「しゅくだいやる気ペン」を卒業した先に、子どもが内発的な動機で自分からすすんで書くことや勉強をしていくためには、親としてどのように関わることが大切ですか?

井上先生:
子どもの好きな活動に、書くことを結びつけてあげることだと思います。本人が好きなもの、例えば虫でも乗り物でも恐竜でもなんでも良いので、好きなものの名前を書いてみようという提案をしてみる。その経験を通して書くという行為が、大人から与えられた宿題以外のものに広がっていくと、書くこと、勉強することへの抵抗感は減らしていくことができるはずです。最近、楽しいドリルもあるので、そういったものとの組み合わせも入口としてはいいかもしれませんね。
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井上先生:
例えば「しゅくだいやる気ペン」について言えば、今後のさらなる発展に向けたアイディアが一つあります。アプリを育成系のゲームと連携することで、ご褒美によってキャラクターを育てる仕組みがあったりすると、より一層好きと書くことが結びついていくのではないでしょうか。

中井さん:
なるほど!バトル系とかも面白そうですね(笑)そういう意味ではまだまだ「しゅくだいやる気ペン」として、できることの可能性はたくさんありそうです。

井上先生:
「内発的動機」というのは行動分析学では、「行動そのものが強化子になる」というのですが、親が思い描いている以上に、書くという行動自体が強化子になるのはすごく難しいと思います。だからこそまずは「しゅくだいやる気ペン」のようなツールを用いて、直接的なフィードバック(光る・すごろくが進む等)から、褒められる等のコミュニケーションで達成感を得て、最後に書くことそのものが楽しみになるようつなげていくことは大切なことだと思う。

牟田:
開発者側としても、最終的には「しゅくだいやる気ペン」を卒業してほしいという想いがあると伺いました。
話を聞く牟田
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中井さん:
そうですね、「しゅくだいやる気ペン」が無くなった後にも、子どもが書くことを通じていろんな世界を探していってくれるのが一番だと思うんです。そのためにはやはり親の働きかけが大事なのではと考えています。親子のコミュニケーションを設計した「しゅくだいやる気ペン」を通して、親としてどのように変わっていけば良いのでしょうか。

井上先生:
やったかやらなかったかだけを見ない。宿題をやらない=やらない子というレッテルを貼らない。子どもなりの頑張りに目を向けて、子どもの中にあるやる気を引き出すきっかけをつくってあげる。言葉にすると簡単に聞こえますが、親側の意識を変えていくためにもまずは「しゅくだいやる気ペン」を通して、習慣をつくっていけたらとても良いことなのではないでしょうか。

中井さん:
まさにその通りだと思います。「しゅくだいやる気ペン」は何も手に持つだけで一人で勉強ができるようになる魔法のペンではないんです。親子の関係性があり、「書きたくなる」と「褒めたくなる」のサイクルが生まれて、このペンははじめて意味が出てくるんだと思っています。
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井上先生:
子どもが変わり、親が変わる。そうすることでさらに子どもが変わってくる。その循環を生み出していくことが出来たら良いですね。「しゅくだいやる気ペン」を一つのきっかけにしつつ、そしてそれを卒業する先のことも見据えながら。

牟田:
与えたら終わり、というわけでは決してないですもんね。むしろその後に親としてどのように関わるかの方が、ずっと大事で。

中井さん:
はい、本当にその通りだと思います。これからもそのメッセージを伝え続けていきたいです。
井上先生の話に聞き入る中井さんと牟田
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親子の関係性を変えていく、「しゅくだいやる気ペン」

井上先生や中井さんのお話にもあった通り、「しゅくだいやる気ペン」は親子のコミュニケーションを大切に設計し、子どものやる気を引き出していくアイテムです。

「しゅくだいやる気ペン」さえあれば、子どもが自分から勉強してくれる、というものではありません。このペンで勉強する中で、親子のコミュニケーションを見つめ直し、関係性に好循環が生まれる一つのきっかけにして欲しい。そんな想いで生まれた商品です。
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ぜひ「しゅくだいやる気ペン」で、親子の関係性をよくするきっかけをつくり、子どもの「書きたい」「勉強したい」気持ちを応援してみてください。
写真:田村健児
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