家事によくある「物を運ぶ動作」が実は難しい?ASD息子の「できること」に合わせてスモールステップで練習中。嬉しい副産物も...!
ライター:丸山さとこ
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生活している限り発生し続ける“家事”という身近な作業は、子どもの内は「お手伝いをしてエライね」と褒められ、大人になれば突然「できて当たり前」になるスキルでもあります。
必ずしも自分で行えなくてはならないものではありませんが、子どもの頃から少しずつ関わっていくことで“自分の生活を支えている作業”に気付けたら良いかな?と考えています。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
“お手伝い”ではなく“家事の分担”として家事をすること
お手伝いというものをどう扱うかは、各家庭によって色々あるかと思います。我が家では「お手伝い」とは“親を手伝うこと”であるとしており、一般的にはお手伝いに分類されるであろう家事は「お手伝い」ではなく単なる「家事」として扱われます。
そのため、「お手伝いしていることがある」というよりは、「練習中の家事・担当している家事」があるという感じかもしれません。
(学校の課題としての“お手伝い”に家事が含まれていることはコウに説明しています)
そのため、「お手伝いしていることがある」というよりは、「練習中の家事・担当している家事」があるという感じかもしれません。
(学校の課題としての“お手伝い”に家事が含まれていることはコウに説明しています)
生きている限り家事は現れる!
子どもの頃は「偉いね」でも、大人になったら「当たり前」に!?
子どもの頃は「する子もしない子もあり、できればした方が良いが、しないこともまた子どもらしい」とされる家事ですが、大人になると「必要性に迫られてすること」になるのも珍しくありません。
必ずしも自分で行わないといけないわけではなく、外注することもできますが、全てを外注するとなると費用もかさみます。
必ずしも自分で行わないといけないわけではなく、外注することもできますが、全てを外注するとなると費用もかさみます。
練習するなら今の内?
コウには“家事は生きている限り発生するものである”と説明した上で、「大人になった時に突然『大人なんだからできて当たり前』とされるのと、今の内から少しずつ練習しておくの、どっちがいい?」と聞きました。
「必要に迫られることで身が入ることもあるし、今の内からしておいた方が楽だとも言えるし、どっちもアリだと思う」と伝えると、コウは「僕は今の内から練習した方が楽なタイプだな」と答えたので、家事を少しずつ教えていくことになりました。
「必要に迫られることで身が入ることもあるし、今の内からしておいた方が楽だとも言えるし、どっちもアリだと思う」と伝えると、コウは「僕は今の内から練習した方が楽なタイプだな」と答えたので、家事を少しずつ教えていくことになりました。
できることを少しずつ増やしていこう
家事はスモールステップで習得しやすい
家事という作業の良いところは、スモールステップで関わっていくことができるところかなと思います。
とはいえ、比較的簡単なタオルたたみであっても“布をつまんで畳む”という微細運動が苦手な場合は難しいだろうと思います。空間や布のボリュームを把握する必要もありますし、畳むことはできてもぐちゃぐちゃかもしれません。
けれど、ぐちゃぐちゃなタオルであっても使う上では問題ありません。もしそのままでは収納場所に入らないのであれば、問題を共有してから「一緒に練習しよう」と言うこともできますし、収納の仕方を変えることで対応することもできます。
とはいえ、比較的簡単なタオルたたみであっても“布をつまんで畳む”という微細運動が苦手な場合は難しいだろうと思います。空間や布のボリュームを把握する必要もありますし、畳むことはできてもぐちゃぐちゃかもしれません。
けれど、ぐちゃぐちゃなタオルであっても使う上では問題ありません。もしそのままでは収納場所に入らないのであれば、問題を共有してから「一緒に練習しよう」と言うこともできますし、収納の仕方を変えることで対応することもできます。
“できること”に合わせていけばOK!
もしタオル畳みは簡単にできるのであれば、靴下や下着→ズボン→シャツと少しずつ畳むものを複雑にしていくこともできます。
もしそれらの物を畳むことがいつまでたっても難しかったとしても「自分の服はハンガーにかけて管理することもできるよ」という選択肢を提示することでプレッシャー無く取り組むことができました。
もしそれらの物を畳むことがいつまでたっても難しかったとしても「自分の服はハンガーにかけて管理することもできるよ」という選択肢を提示することでプレッシャー無く取り組むことができました。
家事によくある“物を運ぶ動作”は、簡単なこと?
“手に持った物”と“動線”の両方を意識するのは難しかったコウ
コウは、食べ物を盛った食器や数冊積んだ本などを運ぶのが苦手な子でした。“手に持ったものを意識しながら歩く”ことが難しく、持っている物を意識すれば壁や家具にぶつかり、歩くことを意識すれば食器が傾いたり本を落としたりしてしまうのです。
食器が傾けば食べ物がこぼれますし、本を落とせば本や床が傷むため、コウもショックを受けたりパニックになったりします。
一度そうなるとコウのケアをしながら事後処理をすることになり、親の負担も増えがちです。
食器が傾けば食べ物がこぼれますし、本を落とせば本や床が傷むため、コウもショックを受けたりパニックになったりします。
一度そうなるとコウのケアをしながら事後処理をすることになり、親の負担も増えがちです。
タオルなら落としても安心!片付けも簡単!
ですが、タオルであれば落としても安全ですし、落ちたタオルをただ拾うだけでOKです。落ちた衝撃で畳んだタオルが開いたとしても、もう一度畳めば良いだけです。
それでもコウにとってはストレスになりますが、経験を重ねていく内に「落としても拾えば大丈夫なんだ」「開いちゃったけど、もう一回畳めばいいね」と思えるようになっていき、パニックにならずに対応できるようになりました。
一度に手に持って運べる量が分かってきたら、「これはカゴで運んだ方がいいな」「このくらいならカゴを使わなくてもいいな」と判断できるようにもなってきました。すごい進歩です。
それでもコウにとってはストレスになりますが、経験を重ねていく内に「落としても拾えば大丈夫なんだ」「開いちゃったけど、もう一回畳めばいいね」と思えるようになっていき、パニックにならずに対応できるようになりました。
一度に手に持って運べる量が分かってきたら、「これはカゴで運んだ方がいいな」「このくらいならカゴを使わなくてもいいな」と判断できるようにもなってきました。すごい進歩です。
家事をすることで、思わぬ副産物も?
思わぬ副産物として、「お母さん、タオル畳むの早くて上手だね。流石だね」「お母さんは一度にたくさんタオルを運べて凄いね」と、私のことを褒めてくれるようにもなりました。
「そう?ありがとう」「コウも、きっとこれから上手になって、お母さんくらいできるようになると思うよ。もっと上手になっちゃうかも。」と言うと、「そうかなぁ」と言いながら嬉しそうにニコニコしています。
今の時間も将来の為の備えも、どちらも大事にしていきたいなと思いながら、時々一緒にタオルを畳んでいます。その時間が、コウにとってただ面倒なだけでなく、少しでも温かなものであったらうれしいなと思います。
執筆/丸山さとこ
「そう?ありがとう」「コウも、きっとこれから上手になって、お母さんくらいできるようになると思うよ。もっと上手になっちゃうかも。」と言うと、「そうかなぁ」と言いながら嬉しそうにニコニコしています。
今の時間も将来の為の備えも、どちらも大事にしていきたいなと思いながら、時々一緒にタオルを畳んでいます。その時間が、コウにとってただ面倒なだけでなく、少しでも温かなものであったらうれしいなと思います。
執筆/丸山さとこ
専門家コメント 井上雅彦先生(公認心理師)
将来の生活のために家事を練習・体験するのはとても大事なことです。しかし、その必要性は保護者も本人も分かってはいても、いざやるとなると大変で、躊躇しがちです。家事をやってみることで、微細な運動のコントロールの苦手さや、バランス感覚の問題に気づくことができ、解決方法もスモールステップで一緒に考えることができるというメリットがあります。たとえ衣類が畳めなくてもハンガーにかけられればOKなど、一般的な達成基準ではなく、本人の生活を見据えたゴールが設定されているのがとても素晴らしいと思います。(監修:公認心理師 井上雅彦先生)
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