10代が「自分らしく生きていく」方法って?実行機能、マインドフルネス、ジェンダー...3つのテーマで自分を知る『10代の心理をサポートするワークブック』シリーズ

ライター:発達ナビBOOKガイド
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合同出版
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10代は心と体の成長がアンバランスで、とても不安定な時期。繊細な時期を過ごす子どもたちが自分らしく自信をもって人生を切り拓いていくために、今すぐ実践できる方法を集めたのが「10代の心理をサポートするワークブック」シリーズです。『1.実行機能トレーニング』『2.マインドフルネストレーニング』『3.ジェンダークエストトレーニング』この3冊をご紹介します。

10代の人たちが、自分らしく生きるための力をつけるワークブック

今の10代の人たちが生きている時代は、かつてないほどに不安定で未来も不透明。そんな環境で二次性徴を迎えて体が急激に成長し、心身がアンバランスな状態です。そして日々やるべき課題があり、友達や家族との関係があります。

「集中して」「前向きに」「自分らしく」といった言葉は、非常に抽象的です。この『10代の心理をサポートするワークブック』シリーズは、具体的にどうしたら「自分らしく」生きていけるようになるのかを細かい段階に分けて理解し、トレーニングできる本です。

本を開くと、問題集のように自分で書き込むスペースが用意されています。参考書のようにたくさんのコラムがあり、それぞれのテーマをわかりやすくするための考え方、アドバイスや実例エピソードが登場します。最初から通して読むとよりわかりやすいですが、気になるキーワードが書かれたページを拾い読みすることもできます。
「実行機能トレーニング」「マインドフルネストレーニング」「ジェンダークエストトレーニング」。3冊それぞれが、不安な10代の人たちが自信をもって人生を歩みだせるように応援してくれます。

それでは1冊ずつ内容を見ていきましょう。

自分のやりたいことに前向きに取り組むために。「実行機能トレーニング」の本

インスタントヘルプ! 10代のための実行機能トレーニング: 準備が苦手、忘れものが多い、考えがまとまらない子どもをヘルプするワーク (10代の心理をサポートするワークブック)
森口 佑介, Sharon A. Hansen他
合同出版
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目標を達成するための力、「実行機能」

そもそも、実行機能とはなんでしょうか。
「実行機能」とは、目標を達成するために必要な力のことです。計画を立てたり、整理整頓したり、時間管理をしたり、判断をしたりと、日常生活ではいろいろな力が必要です。(P8より)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/477261401X
遅刻、忘れ物、落とし物、探し物...といったことは、日常生活をスムーズに回していくには妨げになること。たとえどんなに能力が高くてやる気があっても、目的地にたどり着けない、必要な書類をそろえられない、締め切りを守れないのでは目的を達成することができません。

物事を予定通りに進め、自分がしたいことを実現するための「実行機能」スキルをトレーニングする31の方法が本書には登場します。

前半には「いらないものを片付けよう」「時間の使い方を見直そう」「1日の計画を立てよう」といった、ライフハックスキルが問題集のように並びます。トレーニングの結果、うまくいった事例も紹介され、さらに「やってみよう」と思わせてくれるでしょう。
P39
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大切なのは衝動のコントロール

ライフハックスキルのトレーニングと同時に、10代の人たちには「衝動」と折り合いをつけるための心のトレーニングが必要です。感情をつかさどる前頭前野は年齢とともに成長しますが、第二次性徴のころには性ホルモンの影響を受けて、一時的に感情を制御する力が低下するのだそうです。10代の人が衝動的に突っ走ってしまうのは、このためです。でも、ホルモン分泌のせいだから仕方がないというわけにはいかないのでコントロールが必要です。
衝動とは、とっさに体を動かしたり、なにかをしようとすることです。結果を考えずに衝動に身を任せる人は、よく「衝動的」だと言われます。~中略~自分の衝動的な行動で、親や学校と問題が起きることがよくあります。(P66より)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/477261401X
衝動をコントロールするために、とても大事なキーワードとして「止まる」があります。何かを成し遂げるために必要なのは、まず行動する=動くことだと思われがちですが、必要なときに「止まる」という実行機能も大切なのです。
P69
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このように、立ち止まり、行動の理由を考え、自分の行動を客観視して、次はどうするのかを考えるトレーニングがあります。「止まる」という実行機能は、その次へとつなげるために必要な行動だと言うことがわかります。

一人で解決しようとしなくて大丈夫

後半に行くほど、本書に登場する問題の解決法やスキルをトレーニングし続けるために大事なこととして、一人だけで抱え込まないで苦手なことは誰かに助けてもらうことが提案されています。
「なんでもかんでも自分一人でできることが求められているわけではありません。助けてもらっていいということを、忘れないでください。」(P105より)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/477261401X
実行機能トレーニングによって、目の前にある問題解決ができるだけでなく、もっと未来へとつながる力もつけていくことができます。

『トレーニング29 将来の自分へ手紙を書こう』そして、うまくいかなかったときには『トレーニング31 はじめはうまくいかなくても、あきらめないで!』。対処療法的な方法でその場限りの困難を回避するのではなく、休んでもいいからコツコツ続けてみることで自分の生き方が変わっていく。まさにこれは実践しながら学ぶトレーニングなのです。

集中して前向きに取り組むために。「マインドフルネストレーニング」の本

インスタントヘルプ! 10代のためのマインドフルネストレーニング: 不安と恐れで押しつぶされそうな子どもをヘルプするワーク (10代の心理をサポートするワークブック)
今井 正司 (監修), Amy Saltzman (原著), エイミー サルツマン (著), 上田 勢子 (翻訳)
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マインドフルネスを覚えるには体を意識することから

「マインドフルネス」とは、「今ここに注意を向ける」ということ。過去のことや将来の不安について考えるのではなく、今、この瞬間に実際に起きていることに注意を向けるのです。マインドフルネスを日常生活に取り入れることで不安定な気持ちを安定させ、ものごとに効率よく、気持ちよく取り組むことができるようになります。このようなマインドフルネスのトレーニングができるのが本書です。

マインドフルネスは心の状態ですが、呼吸など体の状態と深く関係しています。呼吸や体の状態を意識することによって「今ここ」に集中することができるのです。
P90
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P120
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たとえば、「マインドフルに食べる」ことは、「今ここに集中」がわかりやすく実践できる例です。私たちは食べるときに、十分に味わっているでしょうか。忙しいときには、ごはんを大急ぎでかきこんだりスマホを見たりなど、食べ物に注意を向けずに食べていることがあることでしょう。

「マインドフルに食べる」と「おいしい」だけでなく、「冷たい」「かたい」「サクサクしている」などの感覚や、口の中の動きにも注意を向けることができます。学校の宿題や友達とのケンカもちょっと忘れて、今ここにある食べ物に集中する。これは簡単にできるマインドフルネスの練習です。こうしたマインドフルネスのトレーニング方法が、本書にはたくさん登場します。

休むことは「止まる」に通じる

本書に登場する最初のワークは『休んでみよう』です。
1つ目の練習は、数分間、ただ休んで、ゆっくりくつろぐことです。日常の心配事やストレスから離れることのできる、時間のかからないシンプルな方法です。(P10)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/477261415X
P10
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「休む」ことは働かない・怠けるといったマイナスの行動と考えられがちかもしれません。でも実は「休む」ことは、「今ここにいる私」に集中することなのです。

「実行機能トレーニング」にも登場した、10代の特徴である衝動性を抑えることが「マインドフルネストレーニング」でも大事な課題となっています。いい成績をとりたいと思うあまりカンニングをしてしまう、悪い仲間の誘いにのってしまいドラッグやお酒に手を出す、無防備な性行動をしてしまう、といったことを引き起こすのが10代の衝動性です。

この衝動性を抑えるためのキーワードとして「もうちょっとでモーメント」(Almost Moment)という考え方が紹介されています。
たとえば家でネコを「もうちょっとで」たたきそうになった。いじめっ子を「もうちょっとで」殴りそうになった、算数の問題が解けなかったときや友だちと意見が合わなかったときに、「もうちょっとで」あきらめそうになった、という具合です。(P116)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/477261415X
この「もうちょっとでモーメント」をやり過ごすために、自分の気持ちを客観視するマインドフルネスが役立ちます。
P119
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休むことや「もうちょっとでモーメント」に共通している大事なことは、「止まる」です。困ったり焦ったり押さえられない衝動を感じたりしたときは、とにかく一度「止まる」ことが自分を幸せに導く分岐点だということを覚えておきたいのです。でも、このマインドフルネスも衝動が起きそうになるときに突然やってみようとしても難しいもの。ふだんからのトレーニングが必要です。

そしてマインドフルネスが実行できるようになると、自分にやさしくなります。それは、立ち止まって今ここにいる自分の姿に集中することで、等身大の自分を受け入れる、つまり自分らしくいられるということにもつながっていくのでしょう。

自分らしく生きるために。「ジェンダークエストトレーニング」の本

インスタントヘルプ! 10代のためのジェンダークエストトレーニング: 性のアイデンティティ、その悩み・不安から心と体をヘルプするワーク (10代の心理をサポートするワークブック)
渡辺 大輔, Rylan Jay Testa他
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多様なジェンダーがある、と知ることがスタート地点

ご紹介する最後の本は自分の「ジェンダー」について探求(クエスト)するためのワークブックです。10代は恋愛やセックスといったテーマの扉を開けるときでもありますが、まずは自分の「性」とはなんだろう、自分の体の性別とジェンダーは違うのかもしれない、という話題から本書は始まります。

「性別(SEX)」は、「生物学的に女性や男性であること」であり、一方ジェンダーは「頭の中にある性別」です。
ジェンダーは自分をどう考えどう感じているかなのです。社会の中で自分がどう行動し、自分をどう表現していくかなのです。人のジェンダーを生物学から決めつけることはできません。(P15)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4772614273/
第1章「ジェンダー・アイデンティティを探求しよう」には、さまざまなジェンダーの名称とそれぞれの定義が掲載されています。ジェンダーの言葉はしっくりくる日本語訳がなく、英語そのままの名称も多くあります。一つひとつの名称の定義を読むと、こんなにたくさんのジェンダーがあるんだ、とびっくりするかもしれません。

エイ(ア)ジェンダー アンドロギュヌス、バイジェンダー、シスジェンダー、クロスドレッサー、FTM/F2M/トランス男性、ジェンダー・ダイバース/ジェンダー・エクスパンシブ、ジェンダー・フルイド、出生時の性・出生時のジェンダー 等

さまざまな性の定義があると知ることで、もしかしたら「私には関係ない」と感じる人もいるでしょうか。それとも「あれ?自分で思っていた自分のジェンダーって違うかも?」と思うでしょうか。

自分自身を「ジェンダー」という視点から深く考えてみたときに、既成概念的な「男らしい」「女らしい」といったことに違和感をもつようになるかもしれません。それは「自分らしさ」はあくまで自分の個性であり、外側からはめられる枠にはおさまらないものだからでしょう。

ジェンダーは家族や友だち、周りの人との関係性の中にあるもの

ジェンダーは、他人から見た姿に現れます。『第2章 ジェンダー表現を探求しよう』では、体形、ひげを含む体毛の生え方から髪型、着る服の選び方、振る舞い、言葉について考えてみます。

ジェンダーは非常にプライベートな部分なのに、自分の中だけの問題として解決できないものです。社会の中で生きていくために、自分にしっくりくるジェンダーをどう表現し、家族、友人、職場、周りの人々に伝えるかが大切になります。ときには、勇気をもってカミングアウト(告白)する場面もあります。

もし自分のジェンダーが、周りの人が自分に対してイメージしているジェンダーとは違う場合、大きな葛藤が生まれることになります。どうしたら理解してもらえるかという前に、どうやって伝えたらいいのか。たくさん悩むでしょう。本書にはその悩みに寄り添い、どう乗り越えたらいいか、あるいは乗り越えられないと思ったときにどうしたらいいのかが、こまやかに書かれています。
P77
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「わたし」のジェンダーやセクシュアリティは、誰かに教えられて身につくものではなく、自分自身が積極的に探求(クエスト)していくなかで、試行錯誤しながら形成し続けるものなのだということの表れでしょう。この探求は自分一人でおこなうものではなく、他者と関わりながらの作業(経験)となります。もちろんこの「他者」となる自分も同じように探求する存在でもあるのです。(あとがきより)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4772614273/
ジェンダーを探求することは、自分が自分らしく生きることの根本の問題にほかなりません。とことんジェンダーに向き合うのは、勇気がいること。でも、ジェンダークエストをやり抜いた人は自分らしく生きる道を切り拓く「勇者」だと、この本は教えてくれます。

自分自身を知ることから始まり、正解がないトレーニング集

「実行機能」「マインドフルネス」「ジェンダークエスト」と、それぞれ全く違うテーマのトレーニングブックですが、共通している点が2つあります。1つは、「止まる」ことによって自分自身を客観的に見るトレーニングが大切だということ。もう1つは、「正解がない」ということ。

このワークブックは、1回やってクリアできたらおしまいというものではありません。何度でも見直すたびに、答えは違ってくるかもしれないですし、わかったつもりでも新たな視点が生まれてくるかもしれません。成長とともに「正解」は移り変わると知ることも、トレーニングとなります。

学校では教えてくれないテーマに取り組むワークによって、10代の人が自分らしく生きていくための方法を身につけていけるのが、『10代の心理をサポートするワークブックシリーズ』です。

文/関川香織

『10代の心理をサポートするワークブック』シリーズ

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