生徒にもリスペクトを。いつか一緒に働く仲間になる可能性もあるのだから

授業の終了後、講師の吉田氏にもお話を聞きました。
吉田氏のポートレート
同校講師の吉田氏
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<吉田理穂講師>
大学で芸術を学び、卒業後は出版社や広告代理店勤務。その後IT業界の株式会社ゆめみに参入。昨年はイタリアやスイスを訪れ、アーティストや技術者を取り巻く社会について考える機会を持った。

――アートシンキングという授業を通じて生徒に伝えたいことはどんなことですか?

吉田講師:私自身、現在も開発会社で働いているのですが、エンジニアと接していると高度な技術を持っているのですが、その技術が社会に対して、サービスやプロダクトを通じてどのような変化をもたらすのか、あまり意識されていないと感じる場面もあります。生徒には世の中のことを知ったうえで、自分はどう振る舞うのか、あるいはどのように表現するのかを考えられるようになってほしいと思っています。教養や課題意識がベースにあって、そのうえにITのスキルや知識を積み重ねて社会で活躍してほしいですね。

――生徒と接して感じることはありますか?

吉田講師:“一歩踏み出している生徒”が多いと感じています。自分の道を15歳で決めて、地方から東京に出てきて一人暮らしをしている生徒もいます。自分が中学・高校に通っていた頃はここの生徒のような生徒はいなかったですね。生徒たちはみんな熱い思いを持っているのでそれに応えたいと思います。
インタビューにこたえる吉田氏
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――授業で心がけていることはどんなことでしょうか。

吉田講師:自分は中高一貫の進学校で学んでいたのですが、学生だった頃を思い出すと、先生や講師に自分の思いなどを話すことはあまりありませんでした。でも、もっと話す機会があれば良かったなと思うので、生徒との対話はとても大切にしています。私の授業自体は週一回ですが、slackなどオンラインで対話の時間を設けることもあるんです。授業はきっかけであって、授業以外の対話も同様に大切に思っています。

――生徒と関わるうえでの今後の抱負をお願いします。

吉田講師:みんなきっとIT領域に近いところで働くのだろうなと思います。将来一緒に仕事をするかもしれないですよね。講師と生徒というよりも、後輩を育成するようなつもりで生徒と関わっていきたいです。職場でもそうですが、一緒に働く仲間とは互いにリスペクトしあっています。それと同じように生徒に対してもリスペクトを持って成長を後押ししていきたいです。

決して一方的ではない、対話形式授業を進めていた吉田講師の「アートシンキング」。授業中だけではなく、常日頃から生徒との対話を大切にすることで、生徒はさまざまな視点を増やし、社会で活躍するスキルの土台を培っているようでした。

これからは一般的なレールに乗れなかった人や、既存の学校に馴染めなかった人たちが活躍する時代

最後にお話を伺ったのは、高等部の出島璃空(りく)さん、専門部の上野杏奈(あんな)さんです。

――このスクールを選んだ理由を教えてください。

出島さん:普通の高校に進学することも考えて受験勉強をしていました。いろいろな学校を見たり、自分のやりたいことを考え始めたときにITと出会ったんです。しっかりとしたスキルを持てればフリーランスやノマドワーカーなど、自由な働き方ができるんじゃないかと思いました。いろいろな企業とも繋がれることに魅力を感じて、バンタンテックフォードアカデミーを選びました。

上野さん:私には発達障害者の方の支援をしたいという夢があります。私自身、感覚の過敏さがあったりと、生活の上で大変だと感じる場面があります。特性がある人たちのために何かできることはないか、コミュニケーションが得意でない私でも役立てることはないか――そう考えた時、ITスキルを身につけることが近道になるのではないかと思い至ったのです。
インタビューに答える上野さん
インタビューに答える上野さん
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インタビューに答える出島さん
インタビューに答える出島さん
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――このスクールで成長したのはどんなところですか?

出島さん:プログラミングの話を友達とできるようになったことです。また文化祭ではサイト製作の責任者を任され、責任感がついたと思います。

上野さん:プログラミング技術の向上はもちろんなのですが、自分を客観的に見られるようになったことも大きいです。まわりとのディスカッションで授業が進むことも多いので、考えを発言するために自分を見つめ直したりする機会が多かったからだと思います。「アートシンキング」の授業では社会のなかのいろいろな考え方を学んでいるので、自分自身に対する考え方も変わりました。

――今後の目標を教えてください。

出島さん:インターンでもまだ即戦力にはなれていないので、1日も早く即戦力になれるように頑張って、実績をたくさんつくりたいです。いろいろな企業でインターンをしたり、たくさんの業界の人と出会いながら、自分のやりたいことを定めていければいいなと思っています。
インタビューに答える出島さん
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上野さん:どこに行っても通用する技術を身につけたいです。今考えている企画もあるので、それを成功させたいとも考えています。卒業後は就職しようと思っているので、その段階で「ぜひ来てほしい」と言われるような人材になることが在学中の大きな目標です。発達障害の方が生きやすい社会をつくるというのが一番の夢なので、それを叶えるためにも道なき道を進んで新しい挑戦をしていきたいです。
インタビューに答える上野さん
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バンタンテックフォードアカデミーは、“世界で一番、社会に近いスクールを創る”という言葉の通り、既存の学校とは全く違う、新しい可能性を秘めた学校でした。「自由だからこそ、学ぶ人を選ばない」というスクール運営チーフ・渡辺さんの言葉が多くのことを物語っているように思います。

渡辺さんの言葉にはこんな続きがありました。
「これからは企業の終身雇用などもなくなり、新しい働き方が主流になります。これまでの一般的なレールがなくなるわけですから、そこに乗れなかった特性のある人たちや既存の学校に馴染めなかった人たちが活躍できる時代がくるということなのではないでしょうか」

バンタンテックフォードアカデミーのスタッフの皆さん、そして生徒の皆さんはどんな未来を描くのでしょうか。今後の活躍が楽しみです。
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