無学年・オンライン型のN中等部を取材!プログラミング、職業体験、21世紀型学習...公立中に通学しながら学ぶ生徒も!?【生徒インタビューも】

2021/02/01 更新

好きなときに好きな場所で学習し、効率よく高校卒業資格を得ることができるN高等学校。グローバル社会を生き抜く総合力を身につけることができると子どもたちや保護者の方からも注目を集めています。そんなN高の中学生年代向けスクールとして誕生したのがN中等部です。2019年に開設された通学コースに加え、2020年にはネットコースがスタート。今回は、ネットコースのスタッフの方々、そして、ネットコースに在籍し日々成長をしている生徒のお二人にお話を伺いました。

発達ナビ編集部
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自分の好きな時間に、好きな場所で学ぶことが実現できるN高とN中等部

中学や高校は定められた時間に学校へ行き、決まった授業を受け、夕方までを学校で過ごす。これまではそんなスタイルが当たり前のように受け入れられていました。

でももし、好きな時間に好きな場所で学ぶことができたら…。それぞれが持つ可能性はもっともっと広がるかもしれません。それを実現したのがN高等学校(以降N高)です。N高は、インターネットと通信制高校の制度を利用した新しい高校として2016年に開校しました。

N中等部が開設したのが2019年のこと。通学コースからのスタートでした。その1年後、2020年にはインターネットを駆使して学ぶネットコースがスタート。現在は通学コースとネットコース合わせておよそ1,000人が学んでいます。

N中等部は、社会で求められる総合力を身につけるための実践型学習を行うプログレッシブスクール。N中等部には、生徒たちが教養、思考力、実践力を身につけるためのさまざまなカリキュラムが用意されているのです。

N中等部の特色のうち、代表的な4つを紹介します。

1つめが「21世紀型スキル学習」。社会に対して生徒が創造力を発揮していくために、思考スキル、コミュニケーションスキル、情動スキルなどを身につけるためのカリキュラムです。

2つめの「コーチング」は、生徒が目標を見つけ、それを達成することができるように自発性を養うためのもの。1対1の面談でコーチングを行っています。

3つめが「一流のプロフェッショナル講師による映像授業で学ぶ国語、数学、英語の授業」です。生徒たちは、決められた時間や場所ではなく、好きな時間、好きな場所で学習を進めることができます。

4つめが「プログラミング」。初心者から学べる実践的なカリキュラムでプログラミング思考や技術を学ぶことができるのです。

多様なニーズに応えるカリキュラムで、社会のなかで生き抜く力を養う

今回は、N中等部のネットコースのスタッフと生徒お二人にインタビュー。まず、N中等部設立の背景や、理念、そして生徒への思いなどをN中等部ネットコース運営部部長 熊谷桃子さんに伺いました。
N中等部ネットコース運営部部長 熊谷桃子さんのポートレート
N中等部ネットコース運営部部長 熊谷桃子さん
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編集部(以下、――)まずは、N中等部の理念について教えていただけますか?

熊谷さん:ITを駆使した未来の教育をつくるということをコンセプトに、社会で求められる総合力を備える生徒を育てたいという思いを持って生徒たちと接しています。既存のフリースクールなどは「居場所」という役割を大切にしているところが多いと思います。N中等部では、生徒にとっての「居場所」であることはもちろん、さらに生徒たちが社会に出てからきちんと生き抜ける力を育むための多様なコンテンツを用意しています。

――N中等部の一番の特徴はどんなところでしょうか?

熊谷さん:通学コースとネットコースの両方があり、ネットコースは日本全国、あるいは海外に在住であっても、どこにいても学ぶことができる体制をつくっています。N中等部は学校教育法第一条に定められた中学校ではないので、中学校に在籍したままN中等部で学ぶ形になります。中学校に籍を置いて全ての活動をN中等部で行っている生徒もいますし、中学校に通って、部活もやりながら夕方からN中等部で学ぶ生徒もいます。さまざまなニーズに応えることができるというのが一番の特徴です。

――無学年制をとっていると伺いました。

熊谷さん:はい。中学1年生から3年生まで学年に関係なくクラスが構成されています。中学1年生だけれどプログラミングのスキルが高い生徒もいます。その場合は上の学年のクラスメイトに教えたり、数学が苦手な1年生に3年生が教えたりしている様子も見られますね。年齢や学年にとらわれず自分の得意なことはシェアして、苦手なことは周りから助けてもらうというスタイルが確立されています。

――授業のカリキュラムについて教えてください。

熊谷さん:ネットコースでは週に二度、一斉学習時間というものを設けています。これはZoomを通じて行う授業のことで基礎学習やプログラミング学習、21世紀型スキル学習などをクラス全員で行うものです。担任のほかに、大学生のティーチングアシスタントが加わり、30人の生徒につき、最大6〜7人のスタッフが入ります。その他は自由選択の時間。それぞれが学びたいことを学ぶ時間としていますが、具体的に学びたいことがまだ決まっていないという生徒は、専用オリジナルアプリ「N予備校」での学習を進めています。
時間割
公立の中学校にも通いながらN中等部にも通う生徒もいる。そうした生徒は、17時から始まる授業に参加しているという。
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――21世紀型スキル学習とはどのようなものですか?

熊谷さん:自分を知り、思考力を高め、チームで協働する力を学ぶためのオリジナルカリキュラムです。自己認識を促したり、不安や落ち込みの対処、アンガーマネージメントなどを学んだり、傾聴や観察などのトレーニング、デザイン思考やアート思考、倫理思考のトレーニングなど、その内容は多岐に渡ります。またその学習方法もさまざまで、個人で学ぶこともありますが、オンライン上で複数名のワークショップやダイアローグ形式で進むことが多いです。担任や生徒同士がネット上で議論をするなど、ひとつのことにみんなで取り組みながらスキルを獲得していきます。

――21世紀型スキル学習は生徒の皆さんにどのような影響を与えているのでしょうか?

熊谷さん:たとえば、絵を描くことが大好きで一生それをやっていたいと思っていても、絵がうまいだけでは仕事にならないという側面があります。絵を描くということ以外の部分、たとえば他者とコミュニケーションをとったり、自分をうまくモチベートしていったりということが必要です。そういったスキルを養うことで、好きなことを一生好きでい続けられるのではないかと思っています。

――発達に特性がある生徒へのサポートはありますか?

熊谷さん: N中等部では自学自習を基本としながら、一人ひとりに合った学びを一緒に考えるというのをすべての生徒に対して行っています。たとえば学習をするうえでの困難があれば、それを解決できるように一緒に方法を探します。発達に特性があるなしに関わらず、すべての生徒たちに行っているので、特別なサポートは行っていません。でも、一人ひとりときちんと向き合うということがおのずと発達に特性がある生徒へのサポートにもなっていると思います。

一人ひとり多様な夢や、やりたいことを持つ生徒たちをサポートしたいと語る熊谷さん。そんな熱いスタッフが揃っているところもN中等部の特長のひとつ。この後の生徒インタビューでも、スタッフとの関わりがN中等部の魅力だという話がありました。ネットを通じての関わりのなかで、生徒たちは熊谷さんをはじめとするスタッフや先生方との深い絆を築いているようです。

目標を達成するためには、どうしたらいいのか。自分で考えて進められるように、コーチングでサポート

続いて、ネットコースの担任をしている小杉 優茉 先生にもお話を伺いました。
ネットコースの担任をしている小杉 優茉 先生のポートレート
ネットコースの担任をしている小杉 優茉 先生
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――どのような生徒が在籍されているのでしょうか?

小杉先生:本当にさまざまな生徒がいます。 プログラミングに興味を持って入ってきた生徒もいますし、21世紀型スキル学習に興味を持っている生徒も多いですね。そもそもN高に進学したいから、というきっかけでN中等部を選んでいる生徒がほとんどだと思います。

――生徒たちと接するうえで心がけていることはありますか?

小杉先生:生徒たちとは一斉授業の時間のほか、1ヶ月に一度コーチング面談を行っています。面談では、生徒が悩んでいること、生活習慣や学習のことなどテーマを決めて話をするんです。コーチングのスタイルで話をするなかで、何が目標なのかを明確にして、それを達成するためには何をやればいいのか、どうやるのがいいのかなどを相談しながら、自分で考えて進められるようにサポートすることを心がけています。

――どんなときに生徒の成長を実感しますか?

小杉先生:多種多様な職業体験プログラムを用意していて、希望する生徒が参加できるようにしています。この職業体験を通して成長する生徒はとても多いですね。また、みんな自分に合ったツールを使ってしっかりと自己学習しているので、本当にすごいなと思っています。今までの学校ではなかなか学習に手が出なかったけれど、N中等部の動画学習だと自分に合っていてしっかり学習できるようになったなどという声を聞くととても嬉しいです。

――保護者からの声で印象的なものはありますか?

小杉先生:21世紀型スキル学習でコミュニケーション法や他者との関わり方を学んだことで、家庭での家族との関わり方も変わってきたという話を聞きました。また、N中等部には多様な考えの生徒や、さまざまなバックグラウンドを持ったスタッフもいます。そのなかで過ごすことで、これまで囚われていた「普通」から自由になったという話もありました。好きなものを好きだと言っていいんだ。絵を描くことが好きとか、アニメが好きとか自分のことを発信していいんだと生徒が話していたと聞いたのが印象的です。

一般的な中学校とは違う、コーチングというスタイルで生徒たちと向き合う小杉先生。決して先生と生徒という画一的な関係ではなく、一人の人間として生徒を尊重している様子がとても印象的でした。

同じ時間に同じ教室で、同じ学年のクラスメイトと学ぶ。当たり前を取り払った先に見える可能性

最後にN中等部で学ぶ中学3年生の久保さんと中学2年生の鈴木さん(仮名)にお話を伺いました。

――N中等部で学ぶことを選んだ理由を教えてください。

久保さん:先にN高を知り、絶対にここで学びたいと思いました。そのときにN中等部が開設することを知ったんです。N高と同じ理念の元で中学生のうちから学べるならそうしたいと思って入学しました。

鈴木さん(仮名):中学生でも何かお金を稼ぐ方法はないかなと考えていたときに親からプログラミングスキルがあると稼ぐことができそうだと教えてもらいました。それで興味を持ち、ぜひ深く学びたいと思ってN中等部を志望したんです。

――N中等部の魅力はどんなところですか?

久保さん:インターネットでさまざまなことに取り組むことができたり、無学年制なので学年を気にせずいろいろな人と関われるところです。私は北海道に住んでいるのですが、日本中に、そして海外にも友達ができました。生徒同士はもちろん、先生や大学生のティーチングアシスタントの皆さんなど誰でもフラットな立場で話をすることができます。

鈴木さん(仮名):
N中等部はインターネットで学習を進めたり、コミュニケーションをとるので、良い意味で人との距離感が取れるところがいいと感じています。 自分のなかにあるラインを踏み越されることがなく、とても過ごしやすいです。また先生や他のクラスメイトたちがフレンドリーで接しやすいところも魅力だと思います。これまでの学校では分からないところがあっても授業を止めて質問をするのは難しかったのですが、今はSlack(※)で簡単に聞けるのも嬉しいです。

※ビジネスチャットツールのこと

――この学校で成長したのはどんなところですか?

久保さん:これまでは負の感情が出てきたときに自分を責めすぎていたと思います。でも21世紀型スキル学習で、たとえば怒りは人間の本能で危険を察知したときにそれを回避するために出てくる感情だと学び、すべての感情に理由があることを知りました。そのことで、負の感情が出てきても自分を責めすぎなくなりました。自分について深く知ることができたのが成長できた理由だと思います。

鈴木さん(仮名):以前の学校では、つい人の顔色を伺ってしまい 自分の感情や考えを出すことができませんでした。でも今は自分の考えをまわりに伝えるなど、自分を出すことができていると思います。それは、21世紀型スキル学習で自分の心や感情について学んだからだと思います。

――今後の目標を教えてください。

久保さん:以前、職業体験をしたときにプレゼンがあまりうまくいかないという経験をしました。そこで、どうすれば人にきちんと伝えたいことが伝わるかなどを自分で学んでいます。N中等部で行われるLT(※)大会に出ることも決めたので、それに向けて頑張っています。私はこれからN高に進み、やれることはすべてやって、そのなかで自分がやりたいことを見つけられればと思っています。(N中等部の)ティーチングアシスタントもやってみたいので、N高を卒業した後は大学に進むつもりです。
※LT:Lightning Talkの略で5分程度の短いプレゼンテーションのこと

鈴木さん(仮名):N高に進学していろいろなことに挑戦したいです。 プログラミングを学ぼうと入ったN中等部ですが、実は時間を友達と過ごすことに使っていて、まだプログラミングで稼げるほどには学べていなくて…。仕事としては、翻訳に興味があるんです。外国の人の気持ちや感情を日本語で伝えることに憧れがあります。好きでよく見ているアメリカ人のYouTuberが発信していることをもっと理解したいので、英語の勉強にも力を入れたいと思っています。

これまで当たり前だった、同じ時間に同じ教室で、同じ学年のクラスメイトと学ぶというスタイルを取り払ったN中等部。その取り組みから、「当たり前」のその先に大きな可能性があるということを感じました。

運営部の熊谷さん、担任の小杉先生が生徒たちをリスペクトしている姿が印象的で、またしっかりと自分を持って、自分の言葉で考えを発信できる久保さんと鈴木さんにも驚かされました。

N中等部の取り組みはまだ始まったばかり。これからもその挑戦に注目していきたいと感じました。
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