発達障害のある子どもの言語発達においても、複数言語環境の悪影響はない
ASD(自閉症スペクトラム)、発達性言語障害、知的障害のあるモノリンガルの子どもとバイリンガルの子どもの言語発達を比較した複数の研究で、バイリンガル環境自体が発達障害を持つ子どもの言語発達に悪影響を及ぼすことはないという結果が出ています。これは音声言語だけでなく、社会的コミュニケーションの点においてもバイリンガル環境自体が不利に働くことはないとされています。
例えば日本語と中国語を使用する環境で育った子どもと日本語だけを使用する環境で育った子どもを比べたとき、語彙数などには差が見られることも多いです。しかしこれは、多くの場合一時的な差と言われています。また、比較している語彙数に関しても、バイリンガル環境で育った子どもの日本語語彙数とモノリンガル環境で育った子どもの日本語語彙数を単純に比べると前者の方が少ない傾向があっても、バイリンガルの子どもが第一言語と第二言語のそれぞれで知っている語彙数を合計した場合、バイリンガルの子どもの方が語彙数が多いという結果が見られています。このことから見ても、言語発達をさまざまな観点から包括的に分析すると、バイリンガル環境で育つことが悪影響を及ぼすことはないというのが、多くの研究で立証されている結果です。
例えば日本語と中国語を使用する環境で育った子どもと日本語だけを使用する環境で育った子どもを比べたとき、語彙数などには差が見られることも多いです。しかしこれは、多くの場合一時的な差と言われています。また、比較している語彙数に関しても、バイリンガル環境で育った子どもの日本語語彙数とモノリンガル環境で育った子どもの日本語語彙数を単純に比べると前者の方が少ない傾向があっても、バイリンガルの子どもが第一言語と第二言語のそれぞれで知っている語彙数を合計した場合、バイリンガルの子どもの方が語彙数が多いという結果が見られています。このことから見ても、言語発達をさまざまな観点から包括的に分析すると、バイリンガル環境で育つことが悪影響を及ぼすことはないというのが、多くの研究で立証されている結果です。
Multilingual Perspectives on Child Language Disorders
Multilingual Matters Ltd
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親の第一言語で子どもに話しかけることが、子どもの言語発達に良い効果をもたらす
子どもの将来を考えると居住国の言語を習得することが最優先なのではないかという認識のもと、家庭内での使用言語を日本語に絞るようアドバイスされるケースが少なくありません。しかし、親が得意としない第二言語のみを家庭内で使うことは、期待されている第二言語の上達には繋がりにくいとされています。第二言語で話すとなると、親から子に語りかける自然な発話の量が減り、使う語彙や文型も限られてしまい、子どもが触れる言語のモデルが量・質ともに下がってしまうからです。一方で、親の第一言語を家庭内で育んでいた場合、親から得る言語のインプットがより豊かになり、言語発達だけでなく、認知的能力にも良い効果が見られています。
また、家庭内で親の第一言語を使ったコミュニケーションを促すことで、親子関係の向上にも繋がり、情緒面のサポートにも繋がるとされています。更には、家庭内で第一言語を使って第一言語の土台を強くすることで、読み書きのスキルが上がり、学齢期以降に学習面で必要となる複雑な概念などの理解もしやすくなり、学習によって得た知識は第二言語へも汎化されるという研究結果が出ています。
このように、親の第一言語を家庭内で使用し外国にルーツを持つ子どもの母語支援をすることがさまざまな良い影響を及ぼすということが分かっており、居住国の言語のみに絞る減算型支援ではなく、加算型支援が諸外国でも進められているバイリンガル児童の支援の方向性と言えます。
外国にルーツを持つ子ども達の持つ背景や成育歴は非常に多種多様です。何語をどのぐらいの割合で、どんな場面で使っているのか、周りにいる大人の言語習得度はどれぐらいなのか、生まれたときから二言語に触れていた「同時バイリンガル」なのか、それとも後から第二言語に触れるようになった「後続性バイリンガル」なのか…というように、一口に「バイリンガル」と言っても、さまざまな状況が複雑に絡み合って子どもの発達に影響を与えています。外国にルーツを持つ子どもや家族のルーツはアイデンティティそのものです。彼らのアイデンティティを否定することなく、育みサポートしていく方法を、それぞれの家庭の環境に合わせて考えていけると良いでしょう。
このシリーズでは、今後複数回にわたって、外国にルーツを持ち発達障害の疑いがある子ども達やその家族の支援について、異文化理解、言語発達理論、第二言語習得論といった観点から検討していきます。
また、家庭内で親の第一言語を使ったコミュニケーションを促すことで、親子関係の向上にも繋がり、情緒面のサポートにも繋がるとされています。更には、家庭内で第一言語を使って第一言語の土台を強くすることで、読み書きのスキルが上がり、学齢期以降に学習面で必要となる複雑な概念などの理解もしやすくなり、学習によって得た知識は第二言語へも汎化されるという研究結果が出ています。
このように、親の第一言語を家庭内で使用し外国にルーツを持つ子どもの母語支援をすることがさまざまな良い影響を及ぼすということが分かっており、居住国の言語のみに絞る減算型支援ではなく、加算型支援が諸外国でも進められているバイリンガル児童の支援の方向性と言えます。
外国にルーツを持つ子ども達の持つ背景や成育歴は非常に多種多様です。何語をどのぐらいの割合で、どんな場面で使っているのか、周りにいる大人の言語習得度はどれぐらいなのか、生まれたときから二言語に触れていた「同時バイリンガル」なのか、それとも後から第二言語に触れるようになった「後続性バイリンガル」なのか…というように、一口に「バイリンガル」と言っても、さまざまな状況が複雑に絡み合って子どもの発達に影響を与えています。外国にルーツを持つ子どもや家族のルーツはアイデンティティそのものです。彼らのアイデンティティを否定することなく、育みサポートしていく方法を、それぞれの家庭の環境に合わせて考えていけると良いでしょう。
このシリーズでは、今後複数回にわたって、外国にルーツを持ち発達障害の疑いがある子ども達やその家族の支援について、異文化理解、言語発達理論、第二言語習得論といった観点から検討していきます。
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