発達障害の私を襲う「悪夢」の引き金は30年前の失敗体験――今だから思う、子どもの頃必要だった対処や環境

2021/07/03 更新
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発達障害があり、小さな頃からたくさん失敗体験を積み重ねてきた私。40歳を過ぎた今でも、頻繁に「私は世の中に適応できない」という不全感を象徴するような悪夢を見て起きることがあります。自分の人生を振り返り、苦手を乗り越えるコツや、子どもの時期にどんな対処や環境が欲しかったかについてお伝えします。

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宇樹義子
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30年たっても見る「失敗する」悪夢

ああ、今朝もまた悪夢で目覚めてしまった… 今回は駅の中で迷って学校に間に合わない夢。

こういう朝は気分が最悪で、なんとか1日をスタートさせられる気分までに持っていくのにとてもエネルギーが要ります。

私にはもう何十年も繰り返し見ている悪夢のシリーズがあります。ともかく、学校や何か約束事の開始時間に間に合わない。寝坊する、着ていく服が決められない・見つけ出せない、化粧がうまく決まらない、街や駅の中で迷う・電車に乗り遅れるなどで右往左往し、周囲に怒られたりしながらどんどん時間が過ぎていく。ああ、日が暮れてしまう、もう私は人として終わりだ! みたいなシリーズです。

その他、周囲はみんな服を着ているのに自分だけが裸だったり、奇異な服装をしていたり、ハードすぎるアスレチックをやらされたり、という悪夢のシリーズもあります。

悪夢の原因は積み重なった失敗体験と世の中への不適応感

「寝坊する」「着ていく服が決められない」「化粧がうまく決まらない」「遅刻する」「周囲に怒られる」などといったことは実際に少女時代から20代で経験した失敗体験の再現です。

でも、私が見る悪夢は現実に起きたことの再現ばかりではありません。いずれにしろ、どの悪夢にも「私は世の中に適応できない」という不全感が象徴的に表れていると思っています。

物心ついたときから何か世の中に馴染めない感じがあって、理由の理解できないまま強く叱責されたり排除されたりという失敗体験を多く積み重ねてきたので、自分の深いところに、世の中に対する強い不適応感がくすぶり続けているのだと思います。

なぜだかわからないけどみんなと同じようにできない、同じようにできないことを皆から責められる、自分のうまくできないことをサポートもなしにやれと要求される…小さな頃に日常的に経験していた状況が、夢の中で再生されるのでしょうね。

ライフハックで小さな成功体験を積み重ねる日々

夢の中で失敗を体験しつづけているのとは裏腹に、現在の現実の私はうまくライフハックして苦手を乗り切っています。

・服薬によって睡眠時間の後退や注意散漫を防ぎ、生活リズムを整えてタスク遂行能力を底上げする。
服薬以前の私と服薬するようになったあとの私をもっとも良く知っているのは夫です。彼は「服薬するようになって生活のテンポがよくなって、いつも時間きっちりに動けるようになったよね。別人みたい」と驚いていました。私も自分で自分の変わりように驚き、こんなに簡単に生活が変わるなら本当にもっとずっと早く服薬を始めたかったと思いました…。

・アプリやWebサービスを活用してスケジュールやtodoの管理をする。朝いちばんに必ず、今日やることを確認する時間をとる。

・そもそも心身の状態から見て無理のあるスケジュールは立てない、無理のあるスケジュールを必要とするようなプロジェクトに挑戦しようとしない。
これには自分の障害を受容する過程を踏むことも必要です。自分が障害がなかったら送りたかった理想の人生を、ある意味できっぱり諦めることが必要でした。

・スマートスピーカーを声で操作してタイマーをかけ、やらなければいけない家事や作業を忘れてしまわないようにする。
作業が後ろ倒しになることなくサクサク進んでいくので、想像以上に自己効力感に良い影響があります。

こうしたことを日々積み重ねて、私は周囲からむしろ「きちんとした人」という評価をもらえるようになっています。

子どもだった自分が欲しかった対処や環境とは?

30年以上前、自分が子どもだったときに、上述したような対処ができていたらなあとつくづく思います。

当時の私も周囲も、私に発達障害があるとはつゆほども知らず「なぜこんなに簡単なはずのことができないのだろう、心がけが悪いのだ」と思い込んでいました。

今は発達障害が早期に発見できるようになり、世間にも発達障害についての知識がかなり普及してきています。ITも発展して、さまざまな支援ツールや、支援に応用できるような技術がどんどん出てきています。

心がけの問題ではなく、障害レベルで「ふつう」に振る舞うことができない発達障害のある子どもは一定数いるのが事実です。自分や自分の子どもの障害を受け入れるのはつらいことかもしれませんが、個人的には、早期から障害について情報を集め、積極的に支援やツールを利用していってほしいと思います。そうした早期からのアプローチが、私が経験したような無用な失敗体験の積み重ねを防ぎ、その後の本人の人生をずっと生きやすくしてくれるはずです。
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