抱っこを嫌がる?赤ちゃんの「反り返り」の原因は?病気や発達障害との関係、対処法などを解説

2021/08/28 更新
抱っこを嫌がる?赤ちゃんの「反り返り」の原因は?病気や発達障害との関係、対処法などを解説のタイトル画像

一般的な育児書には「赤ちゃんは抱っこが大好き」と書かれていることが多くあります。でも、うちの子は抱っこをするととても嫌がって…ということはありませんか。抱っこをすると反り返ってしまう赤ちゃん、どう対応したらいいのでしょうか。またどうして反り返ってしまうのでしょうか。

発達障害のキホンさんのアイコン
発達障害のキホン
5659 View
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

赤ちゃんを抱っこしたときの「反り返り」ってどういう状態?

反り返る赤ちゃん
Upload By 発達障害のキホン
赤ちゃんを抱き上げたときに、背筋をピーンと伸ばし、足までつっぱったり、体をよじらせたりするようにして反り返ることがあります。

同じ大きさ・重さの赤ちゃんだったとしても、抱っこしたときに、腕と胸の中にすっぽりと納まってくれたら、そこまでつらくなるほどの重さは感じません。でも、反り返ってしまうというだけで抱っこはしづらくて、とても疲れるものです。

赤ちゃんの意思表示としての「反り返り」

「反り返り」には、赤ちゃん自身の意思が現れているようなときがあります。成長段階を追って見てみましょう。
生まれたばかりですと、まだ反り返ることはできませんが、音に反応して両手足を挙上するモロー反射などの原始反射があります。さまざまな原始反射が消失していくことで徐々に次のステップへ発達していくのです。

首がすわる少し前くらいから、赤ちゃんが横抱きにされた姿勢を嫌がって泣くことがあります。こんなときは、抱っこの仕方を変えてみましょう。座らない首を支えて縦抱きにすると、泣き止むことがあります。首がすわる3~4ヶ月ごろからが多いようですが、この時期は抱っこがイヤというよりも、横に寝かされた状態がイヤだと言っているかのようです。

心と体が成長してくると、自分の意志で体を動かしたいという欲求が赤ちゃんには生まれてきます。寝返りが始まる5~6ヶ月ころには、反り返るというよりは、腰をひねろうとする様子が見られるようになります。この寝返りも原始反射が消失しないとできません。

こうしてだんだん、興味の対象物の方向に体を向けようとして、体を動かすようになっていきます。

7ヶ月ころになると手をついて座れるようになります。このときに反り返りがあると座れません。 また、ハイハイや伝い歩きが始まって、自分の意志で行動できるようになるころにも、抱きかかえられて行動を制限されるのを、のけぞって嫌がることがあります。

反り返ったり、抱っこを嫌がったりすることは赤ちゃんの意思表示であり、成長にともなってよくあることなのです。

反り返りがあるときの対処法。こうすると安心

赤ちゃんの意思表示であることは分かっていても、抱っこしなくてはならないときもたくさんあります。抱っこをすると反り返ってしまうときには、まずは抱っこの仕方を変えてみましょう。いつも横抱きにしていたら縦抱きにしたり、前向き抱っこにしてみたり、見える景色を変えてあげてみてください。

また、あぐらをかいてその上に前向きに座らせて背中を丸めたり、丸めた布団の上にうつぶせで乗せて背中を丸める方法もあります。このとき、顔の下に玩具などを置いて見せるといいでしょう。リハビリの理学療法でよく行われている手法です。

寝転がらせたときに反り返るのは、寝返りをしたいからかもしれません。仰向けに寝かせるといやがると言う場合は、寝具や着ている服の背中が不快ではないかを確認して、着替えをしたり、肌に触れるものを見直したりしましょう。仰向けの姿勢そのものが嫌いな赤ちゃんもいます。自力で寝返りができるようになるまでは、そばで見ている必要がありますが、うつぶせにすると安心して落ち着くこともあります。

リハビリテーションとしては作業療法の一つに感覚統合訓練があります。お馬さんごっこで親の背中にうつぶせに乗せてみると、子どもは落ちないように必死につかまります。うつぶせで馬乗りすることで、反り返りを防ぐ姿勢を覚えることができます。

「反り返り」をよくする子場合は病気が隠れている?

反り返りをよくする赤ちゃんは『もしかして病気があるのでは?』と心配になるかもしれません。医学的には「後弓反張」(こうきゅうはんちょう)と呼ばれており、乳児健診では異常姿勢の一つに挙げられています。頭が後ろに倒れ、背中が弓のように反ってしまう姿勢で、脳の器質的・機能的障害の一つの徴候と考えられています。

分娩障害により脳が損傷を受けて脳性まひを起こしていると、自分の意思とは別に体が反り返ってしまいます。ですが、脳性まひの場合のサインは、反り返りだけではありません。授乳のときにむせやすい、なかなか首が座らない、手足の関節の動きが悪く硬いなど、ほかの症状がみられるものです。ほかには脳梁欠損症などの脳の奇形、先天性トキソプラズマ感染症などの胎内感染症などでもみられます。いずれにしても、自己判断できるものではないので、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。

また、自閉症スペクトラムがある赤ちゃんも、抱っこのときに反り返りが見られることがあります。ですが、その場合も判断材料は「反り返り」だけでなく、顔を近づけても目と目が合わない、笑わない、ほとんど泣かないなど、表情にも気になる点が見つかるはずです。「反り返り」だけではわからないので、健診のときや、かかりつけの小児科に相談してみるのもいいでしょう。

発達障害がある子どもは、反り返りやすいのはどうして?

なぜ自閉症スペクトラムなどの発達障害がある赤ちゃんは抱っこすると反り返ることが多いのでしょうか。

その理由としていわれているのは感覚過敏です。感覚過敏とは、文字通り感覚が敏感すぎる状態で、視覚、聴覚、嗅覚や味覚などさまざまな感覚について現れます。このうち皮膚の触覚が過敏な子どもの場合は、抱っこされる以前に、体に何かが触れるだけでも嫌がることがあります。
一般的には気にならないような衣類の肌触りだったり、ボタンやタグの位置によっても反応したりすることがあります。また、どんなに優しく触れたとしても、前触れもなく急に触られるとびっくりしてしまうこともあります。

感覚過敏があるかもしれないと思ったら、まず赤ちゃんに触れている衣類やブランケット、抱っこひもなどを調整してみます。抱っこする大人の衣類もチェックしましょう。チクチクするニットなどが顔に触れて嫌がるということもあります。また、触覚過敏を軽減するために感覚統合訓練で用いられているボールプールなども有効です。

そして、抱っこをしたり体に触れたりするときには、穏やかに声をかけてあげましょう。おもちゃなどに集中して遊んでいるときに、急にうしろから抱き上げるといったことも避けます。赤ちゃんが顔を動かさなくても見えるところから、穏やかな声で「抱っこするよ」と声をかけてみます。言葉はまだ話せなくても、声のトーンから何かが起こるということを、赤ちゃんも感じ取ることができます。

無理に抱っこしなくても、その子らしいコミュニケーションで触れ合って

そもそも、抱っこが好きではない赤ちゃんもいるものです。例えば、危険が差し迫っていて、すぐにその場から移動しなくてはならないときにはどんなにのけぞって抵抗されても、抱き上げなくてはなりません。でもそうした状況でない場合は、その子が安心する方法で少しずつ触れ合うことに慣れさせたり、声を掛けたりして、その子オリジナルのコミュニケーションの仕方を育てていけたら良いのではないでしょうか。

まとめ

赤ちゃんの反り返りはそんなに珍しいことではありません。でも、抱っこしづらくて疲れたり、気になったりすることがあれば、健診やかかりつけの小児科医に相談してみましょう。反り返り以外の様子もよく見て、その子が嫌がらない方法で、安心できるコミュニケーションを育んでください。
【新連載】「私はこの子に必要とされていない」0歳から感じた違和感、キラキラ子育てばかりのSNSも遠ざけて...のタイトル画像

関連記事

【新連載】「私はこの子に必要とされていない」0歳から感じた違和感、キラキラ子育てばかりのSNSも遠ざけて...

新生児けいれんとは?症状や原因、対処法、後遺症やてんかんとの関係についてくわしく紹介しますのタイトル画像

関連記事

新生児けいれんとは?症状や原因、対処法、後遺症やてんかんとの関係についてくわしく紹介します

赤ちゃんと目が合わない原因と自閉スペクトラム症の関係、育児不安への対象法までのタイトル画像

関連記事

赤ちゃんと目が合わない原因と自閉スペクトラム症の関係、育児不安への対象法まで

発達ナビPLUSバナー
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。