「すぐ追いつく」発達の遅れに楽観的だったワケーー2歳で50まで数え、3歳で47都道府県を暗記していた自閉スペクトラム症の息子
ライター:ゆきみ
いつもニコニコ、長男けんとが自閉スペクトラム症と診断を受けたのは3歳5ヶ月のとき。低身長だから発達がのんびりで、言葉が遅いだけ、そのうち周りの子たちに追いつける。そう思っていたのは数字が大好きで得意だった、というのもあります。
そんな息子の「もしかして?」のきっかけとは。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
周りの子たちの成長に焦りを感じる
けんとの1歳半健診へ行ったとき、言葉が出ておらず、指差しをしない、指を差したところを見ない、歩き方がぎこちない息子が、周りの子どもたちと違うことに気がつき、衝撃が走ります。発達相談をして、そのときに臨床心理士さんに勧められた市の親子教室へ通うことにしました。
親子教室には言葉が出ていない子も多く通っていて、悩みごとも同じように感じていました。毎週楽しく通い、月日が経つにつれ、気がつくと、ほとんどの子が言葉が出ておしゃべりをしていました。けんとは相変わらずお話しをする気が感じられず不安に。
親子教室には言葉が出ていない子も多く通っていて、悩みごとも同じように感じていました。毎週楽しく通い、月日が経つにつれ、気がつくと、ほとんどの子が言葉が出ておしゃべりをしていました。けんとは相変わらずお話しをする気が感じられず不安に。
親子教室の個別進路相談で「地域の幼稚園に通おうと思っています」と伝えると、臨床心理士さんに「少人数制の発達支援センターがいいと思います」と強く勧められ、専門家の方にそこまで言われるなら、と入園を決意しました。
なぜ、そんなに発達の遅れを気にしていなかったのかというと、2歳5ヶ月のときに1~50までの数字を順番に並べたり、3歳になってすぐに47都道府県を覚えたりと、むしろ記憶力の良さに驚いて、祖父にいたっては「天才だ」と張り切っていたほどだったからです。「言葉が遅いだけで、体の成長が追いつけば、すぐに平均的な成長になるだろう」と、当時は夫婦、親族みんなで思っていました。
もしかして?のきっかけは友人の娘さん
ある日、親子教室で仲良くなった友人が「うちの娘は自閉スペクトラム症なのでは」と思い始め、児童精神科の受診を決意したと聞きました。
娘さんは、タイプは違うものの、けんとと同じように発達がのんびりした子だと思っていたのでビックリ。もしかしてうちも?と、慌ててネットで調べはじめました。そして、「自閉スペクトラム症傾向チェック」ができるサイトを見つけ、たくさん当てはまってる項目があることに気がつきます。
娘さんは、タイプは違うものの、けんとと同じように発達がのんびりした子だと思っていたのでビックリ。もしかしてうちも?と、慌ててネットで調べはじめました。そして、「自閉スペクトラム症傾向チェック」ができるサイトを見つけ、たくさん当てはまってる項目があることに気がつきます。
急いで旦那、祖母に相談しました。私たち家族は、自閉スペクトラム症について全く知識がなく、笑わない子、ずっと家にこもっていて人と全く関わらない子、だと思い込んでいたので、最初は誰も「違うでしょ」という反応だったのですが、サイトを見ながらみんなで話し合い、児童精神科の受診を決めました。
かかりつけ医に相談に行くと「この子は違うと思うけどね」と言われましたが、紹介状を出してくださり、地元では有名な大病院の児童精神科に予約を取ってくださいました。
かかりつけ医に相談に行くと「この子は違うと思うけどね」と言われましたが、紹介状を出してくださり、地元では有名な大病院の児童精神科に予約を取ってくださいました。
予約は取りにくく、私は5ヶ月待ち。友人はその後1年待ちと言われ、さらには新規予約は受けつけないと言われた友人もいました。
心の準備「0」で告げられて
このころ、身長が成長曲線の下に大きくはみ出してしまい、「低身長」が気になりはじめました。そこで専門の病院で検査をしていただくことに。
問診で低身長専門の先生がけんと君にたくさん話しかけてくださいました。が、全く反応せず、マイペースに遊びだしたかと思えば、カレンダーの数字に大興奮する姿をじっくり見て、「この子、自閉スペクトラム症だと思いますよ」と、思いもよらぬ一言。
問診で低身長専門の先生がけんと君にたくさん話しかけてくださいました。が、全く反応せず、マイペースに遊びだしたかと思えば、カレンダーの数字に大興奮する姿をじっくり見て、「この子、自閉スペクトラム症だと思いますよ」と、思いもよらぬ一言。
児童精神科での診察を受ける前に「低身長」のことで病院へ行っただけなのに、自閉スペクトラム症の可能性を伝えられるという、まさかの事態になったのでありました。