「話したいのに話せない」場面緘黙(選択性緘黙)の治療法はある?家庭でできる4つのサポートや相談先をイラストで解説【医師監修】

ライター:マンガで分かる発達障害のキホン
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場面緘黙(選択性緘黙)とは、発声器官の障害がなく言語能力がある人が、ある特定の場面や状況で話すことができなくなってしまう精神疾患です。この記事では、家庭でできるサポート方法や相談先、治療・医療機関などを説明します。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

子どもの場面緘黙。家庭でできる4つのサポートとは

子どもに場面緘黙がある場合、家庭でできることはありますか?
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子どもに場面緘黙がある場合、安心できる環境づくりや答えや反応を無理やり求めたりしないことが大事です。
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場面緘黙がある場合。非言語コミュニケーションを活用すること、できたことを褒めることなども重要です。
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場面緘黙のある子どもの場合の相談先として保健センター、子育て支援センター、児童相談所などがあります。
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子どもに場面緘黙(選択性緘黙)がある場合、家庭ではどんなサポートができるのでしょうか。
※医学的な診断基準とされるDSM‐5では「選択性緘黙」と表記されていますが、日本では一般的に「場面緘黙」という名称が用いられています。このコラムにおいては、「場面緘黙」という名称を用いて、説明していきます。

1. 子どもが安心できる環境をつくる
子どもの不安を取り除いてあげましょう。リラックスし、安心した環境を整えることが重要です。

2. 答えや反応を無理やり求めることはしない
話せないからといって、強制的に声を出させたり、答えさせるとかえって不安感、不信感が増します。しかし、話さないからといって、声をかけない、無視するのも良くありません。積極的に声をかけ、言葉による反応がなくても、表情や動きでコミュニケーションをとれるように工夫してみましょう。

3. 非言語コミュニケーションの活用
言葉を発することができなくても、ジェスチャーや筆談でコミュニケーションをとってみましょう。例えば、首の動きで、うなずいたり、首を振ったりして、YES、NOの意思表示ができるように促すことも一つの方法です。

4. できたことを褒める
今まで話すことや、感情表現することができなかった場面や状況で、話すことや感情表現することができた場合は、どんな小さなことでも褒めてあげましょう。本人の自信につながります。

場面緘黙の相談先

場面緘黙は、発症時期である4歳前後だと、まだ学校に通っておらず、他人と話す機会がそもそも少ないため、症状が見落とされがちです。また学校に通い始めてからも性格の問題だと片づけられてしまうこともあります。

場面緘黙は、本人が好きで黙っているわけではなく、本人が話したくても話せない状態であることに注意が必要です。子どもに場面緘黙があるかもしれないと思ったら、以下の機関に相談してみましょう。

保護者など周りの人が少しでも早く症状に気づくことができれば、適切なサポートも可能になりますし、生活しやすい環境を整えることができるでしょう。一方、支援や治療を受けずにいると、症状改善が遅れたり、二次障害が発現するリスクが高くなります。

家族だけで抱え込まず、専門家や周りの人たちの協力を得ながら、本人にあった接し方でサポートすることが大切です。

子どもの場合の相談先

子どもに場面緘黙がある場合は下記に相談をすると良いでしょう。

1. 保健センター
市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師が常駐しており、子どもの発達に関する相談に乗ってもらえます。医療機関や療育施設の紹介をしてくれる場合もあります。

2. 子育て支援センター
子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師または看護師が相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみましょう。

3. 児童相談所
都道府県ごとに設置されている、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれる場合もあります。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると24時間365日、児童福祉に関する相談を受けてくれます。

大人の場合の相談先

場面緘黙のある青年・成人の方にとっては、電話や対面での相談はハードルが高いかもしれません。webで予約できる相談機関や病院、メールなどで相談に乗ってくれる機関を探してみるのもおすすめです。

1. 精神保健福祉センター
都道府県ごとに設置されており、精神保健の向上を専門とした機関です。ここでは電話相談、施設によってはメール相談を受け付けているところもあります。また、精神障害者向けのデイケアを行っているところもあります。

以下は全国の精神保健福祉センターの一覧です。
参考:全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.html
2. こころの耳
厚生労働省が行っている、働く人向けの心のポータルサイトです。ここでは、メール相談を受け付けており、場面緘黙の症状でうまく話せない方や、電話や面接にハードルを感じる方におすすめです。
参考:働く人の「こころの耳メール相談」|一般社団法人日本産業カウンセラー協会
https://kokoro.mhlw.go.jp/mail-soudan/
3. 相談事業所など
上記のほかにもお住まいの地域の自治体に相談窓口が設置されている場合がほとんどです。電話や対面での相談が多いのですが、お住まいの地域の自治体に確認してみましょう。

場面緘黙の治療・支援機関

1.病院
上記の相談機関では、病院を紹介してもらえることもあります。その場合は、紹介された病院へ行くことをおすすめします。
相談機関を介さずに病院へ行く場合は、心療内科や精神科を受診してみましょう。その上で、必要があればカウンセリングを受けていきましょう。

2.療育施設、発達支援センター
子どもに対しては療育施設や発達支援センターで療育を行うことで、場面緘黙の症状が緩和されるケースもあります。

3.学校
お子さんが小学生の場合は、学校のスクールカウンセラーに相談するのも良いでしょう。
次ページ「場面緘黙のある子どもが安心できる環境作りを」

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